『ティール組織』をざっくりまとめてみる②(p24-p41 )

変化するパラダイムー過去と現在の組織モデル

組織のタイプは、その時代の人々の世界観と結びついていました。
人類の意識が新しいステージに入るたび、人々の協力体制も変革が起こり、新たな組織モデルが生まれてきたのです。

以下、過去の人類の世界観の変化と、それに伴って生まれてきた組織の特徴をまとめていきます。

・受動的パラダイム(無色)
 家族・血縁関係という最小単位。分業を必要としない。したがって、組織も存在しない。自己と他人、自己と環境の区別がつかない。紀元前10万年〰5万年頃の世界観。

・神秘的(マゼンダ)パラダイム
 数百人規模の部族。原因と結果に対する理解が不十分で、世界が神秘に満ちあふれている。(部族の儀式や巫女)。死が現実のものと見られておらず、死に対する恐れが乏しい。1万5000年前の世界観。

・衝動的(レッド)パラダイム
 首長制と原始的な王国が誕生し、最初の組織モデルが生まれた。約1万年前の世界観。

 人々は自我に目覚め、自分を脅かす「恐れ」を初めて感じる。そして、死が現実のものとして認識される。
それにより、世界は「力」が無いと自らの欲求を満たせない場所だとみなされる。現在を中心にものごとが考えられる。

○衝動的(レッド)組織
 小規模で支配的な集団。ギャングやマフィアの組織モデル。対人関係に力を行使し続けることが最大の特徴。組織のトップは力を誇示し、構成員を無理やり従わせる必要がある。恐怖と服従により組織が成立している。

 最も重要なのは「今」であり、「俺はこれが欲しい」という衝動的な行動パターンをとる。
 
 メタファーは「狼の群れ」。

・順応型(アンバー)パラダイム
因果関係が理解され、過去から現在、未来へと続く線形的な時間の流れを把握することで将来に向けた計画を立てることができる世界観。それにより農業が発展し、国家、文明、制度、官僚制、宗教団体が生まれた。

 自我と自尊心は他者の意見により左右される。自分の属する社会集団に承認され、集団の基準に適合することを求めるようになる。
「私たちか、彼らか」と集団的な二元的思考をもち、自民族中心主義となる。

 この社会では人々に受け入れられる正しい方法は一つだけであり、それに基づく単純なモラルがある。
秩序、安定、予見性が求められ、制度や官僚制を通じた統制がつくり出される。それにより、社会階級が生まれ、厳格な差別などの階層化が起こる。

 現代の先進国世界の成人人口の約半数がこのパラダイムに従って活動している。

○順応型(アンバー)組織
大半の政府機関、公立学校、宗教団体、軍隊などは順応型組織モデルにより成り立っている。
順応型組織の大きな特徴は以下の2つ。

①長期的視点
過去の経験に基づいて将来の計画を立てる「プロセス」を発明することで、長期的な大プロジェクト(万里の長城・ピラミッドなど)に取り組めるようになった。
秩序の維持と前例踏襲を何よりも重視し、「世界は不変。過去にうまくいったことは将来もうまくいく」という前提に立っている。
変化を認めず、競争には馴染まないので、支配と独占を求める。

②規模と安定
組織全体が堅固なピラミッド構造で、上意下達式の命令系統が採用されている。それにより、権力は安定している。
経営は結果を出すために命令と統制に依存しなければならない。仕事は範囲が狭いルーティンワークとなる。
人々は実質的に交換可能な資源であり、個人の才能が認められることも開発されることもない。

順応型パラダイムと組織で最も重要なのは「社会的な帰属意識」。
それにより、「営業 対 財務」「ライン 対 スタッフ」など、「自分たち」対「彼ら」という対立構造をつくる境界線があらゆるところに現れる。
従業員は会社に「所属」し、終身雇用が当たり前で社会生活は会社の周辺で営まれる。
順応型組織は集団内の人々が必ず従わなければならない手続きである「統制」を用い、組織の信頼を回復する。

メタファーは「軍隊」

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