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「感謝経済」宣言

コミュニティコインのアプリ「KOU」のiOS版リリース直前。
このタイミングに、ツクルバ創業からこれまでの活動を通じて考えてきたこと、そしてこれからの世界への希望を、「感謝経済」という言葉に託して書いてみたいと思います。

・「シェア」から10年
・これまでの経済システムで捉えにくい価値
・バランスのゆらぎの中で
・人の心をベースにした「感謝経済」

「シェア」から10年

ツクルバを2011年8月に創業しました。3.11でそれまで続いてきた価値観が「焼け野原」になった衝撃を受け、思わず「何か声を上げなければ」と創業し、まず始めたのは「co-ba」というコワーキングスペースの事業でした。当時は人と人の繋がりをもう一度取り戻そう!という空気が東京に流れていました。シェアハウス、コミュニティ志向のカフェなど「シェア」の文脈の中でそれらは形になっていきました。そんな中で、僕らはこれから会社を作っていく当事者として、世の中に共に仕掛けていく仲間が集まる場所が欲しくて「co-ba」を作りました。

SNSで繋がりが可視化されたことも、世の中に「シェア」を広めていく追い風になったように思います。情報空間と実空間での繋がりは相互に補完し合い、様々な場が生まれていきました。

そして、いつしか「シェア」の場は商業化され、運営者と利用者が対峙する関係になっていきました。コモディティ化していく流れの中で仕方ないことでもありますが、初期のDIY的につくっていたシェアハウスやコワーキングスペースなどのコミュニティにあった、「主客一体」な空気感は薄れてきているように思います。

一方では、特定の場所に紐付かないオンラインサロンのような新たな場も生まれてきました。ある価値観を共有している実空間の場から、情報空間の場へ。少しづつ領域が広がりつつあるのが「シェア」視点でのこの10年なのでしょう。

これまでの経済システムで捉えにくい価値

「シェア」から10年。血縁や地縁ではない、「選択縁」のような同じ価値観軸で集まるコミュニティが増えてきました。その中には、カリスマとフォロワーで構成されるような「コミュニティらしきもの」もありますが、個々が市民意識を持って互いに助け合う「新しい村的コミュニティ」も多くあります。(ここでは深く掘り下げませんが、僕の考えるコミュニティは後者を指します。)

助け合いというと大げさに聞こえますが、困っている仲間のためにちょっとアドバイスをするとか、SNSで応援コメントを書いて拡散するとか、そういったものでも立派な貢献です。仲間にオススメの本や映画を教えてあげることで、その人の人生が変わるきっかけになることもあるかもしれません。他にも、クラウドファンディングなどを通じて、仲間の活動を支援することもあるでしょう。例えば、上の例のようなことを、現代的な選択縁のコミュニティの中でやり取りした経験が、皆さんにも少なからずあるのではないでしょうか?

SNSやオンラインサロンなど、テクノロジーの追い風もあり「原始的な村」のようなコミュニティが多く生まれてきている。そして、その中では原始的な贈与経済のように仲間のためのGiveから始まるやり取りがあり、貨幣を介した等価交換を前提とした経済システムでは捉えにくい価値が循環しつつある。これが今の状況なのだと思います。

バランスのゆらぎの中で

人は集まり、社会をつくってきました。
はじまりは、生活するエリアに根ざした地域コミュニティがベースにあり、生活の多くは助け合いで成り立っていました。そのコミュニティ同士が貿易をし始め、やがて大きなまとまりとして国家が生まれてきます。地域コミュニティ内で支えあっていた生活に関する助け合いは、国の役割になり、税金という仕組みが機能するようになりました。そして現代。国のまとまりを超える企業体が世界を再編集し、一方では国が担ってきた役割は民間企業のサービスへ移ってきています。

地域コミュニティから、国へ、そして企業によるサービスへ。
3者のバランスの重心が移り変わり、偏りが生まれ、あらゆるものが「サービス」になろうとしている世の中は、果たして気持ちのいい世界なのでしょうか?資本主義のルールの中での強者が、豊かさをサービスとして享受するとして、それ以外の人はどうなるのでしょうか?世界が資本主義的なモノカルチャーに向かっていく流れは、それぞれにとって幸せな流れと言えるのでしょうか?

そこで考えたいのが、コミュニティの復権です。(国の復権というのも議論の余地ありですが、ここではパスします。)かつては地域コミュニティだけだったものは、今では場所の制約を超えた選択縁のコミュニティに拡張できます。この現代的なコミュニティごとに、サブシステムになり得るような社会モデルを作り出せるならば、それぞれの人にとって生きる世界を選ぶことができるはずです。メインシステムとしての資本主義的世界を否定することなく、補完する多様なサブシステムを生み出すこと。これがコミュニティによって実現できることなのではないか、と考えています。

人の心をベースにした「感謝経済」

長く書いてしまいましたが、これで最終章です。ここまでを簡単にまとめるならば、「コミュニティの中での助け合いには、既存の経済システムでは捉えられない価値があり、その価値を価値だと認識することからオルタナティブな社会モデルがつくれるのではないか?」という主張です。

では、資本主義的な経済のものさしでは捉えられない価値を、どのように価値として認識するのか?この問いへの僕の答えが、人の心をベースにした「感謝経済」です。

法定通貨にしても、仮想通貨にしても、総流通量は決まっています。その中で多くを持とうとすればするほど、どこかの誰かが少なくなることになります。どのくらい持っているか(=ストック)が指標になる、かつ、総流通量が決まっている世界観だと、世界に疎密の分布を生み出すことにつながります。この価値観を裏返すものは何か?つまり、どのくらいやり取りを生み出したか(=フロー)が指標になる、かつ、総流通量に限界のない世界観のベースになるものは何か?という問いです。

そのひとつの答えが、人の心に生まれる「感謝」だと考えています。
一日を同じように生きても、ある人はより多くの感謝の気持ちと共に過ごすかもしれない。そこで生み出される感謝には、特に原価もかからなければ、元になるエネルギーすらも必要ではないのです。必要なのは心の持ちようだけです。そして、感謝を誰かに伝え、そして誰かに感謝される。そのフローこそが価値だと言えます。

このような感謝が循環する経済システムのことを「感謝経済」と呼んでみたい。そして、「感謝経済」にフィットする新しいお金をつくることで、この価値観を広めていきたい。これが今回の「KOU」につながる原点の想いです。

「感謝経済」は、人の心が豊かになるほど流通が盛んになり、それによってまた心が豊かになる、というポジティブな螺旋階段をつくりだしていくはずです。つまり、人の心を幸せにする経済システム。この「感謝経済」には、これからの世界への希望があると、僕は信じています。

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(追記)
この記事を書いた本日、無事にKOUのiOS版アプリをリリースしました。
KOUを通じた「感謝経済」で、世界をより素敵なものにしていきます。壮大な社会実験のスタートです。

サービスの詳細はこちら
https://kou.by/

iOS版「KOU」のDLはこちら
https://itunes.apple.com/jp/app/kou/id1385303997


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