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息抜きの息継ぎ:17「蔦」




GRAPEVINE=葡萄のつる、ってことで、近しいイメージの単語、蔦(つた)、をサブタイにしてお送りします。

彼等には高校生の頃に出会いました。

ラジオから流れてきた『遠くの君へ』という曲がきっかけで、ファーストアルバム以前に発売されていた5曲入りのミニアルバム
『覚醒』、を購入したのが始まりです。(遠くの君へ、は1stアルバムに入っています)


YouTubeにもシングル曲中心に何曲かアップされています。
一応代表曲は『光について』ということになっていますが、
本当に好きな曲としてこの曲を挙げるバインファンはあまり居ない気がします笑

それはあくまで初心者に勧めるとしたら、の表面的な入口曲、であって

バインの底のない表現力に魅了されてしまった者には、それぞれに思い入れのある(気軽に人には勧めにくい)曲をいくつか持っているはず笑

それくらい、奥行きのある表現力を持つバンドです。

キャッチーな売れ線を作ろうと思えばすぐに作れるスキルを間違いなく持っているのに、
あえて作らずに、(この理由も、ファンそれぞれでなんとなく分かっているはず)
地に足をつけたまま
20年間休止期間なく、活動を続けてくれている、こちらも希少価値バンド。


ある意味前編で書いた
今まさに伸び期にあたるバンド、雨のパレードとは対照的に
既に価値を確立させてしまっている、バイン兄さんです。

8月2日、名古屋クラブクアトロ30周年記念
雨のパレード/GRAPEVINE
ライブレポート、後編行きます。


前編、息抜きの息継ぎ17「雨」で、
雨パレに対し、ただだだテンション高く、文章共に『好きだァああぁあ!!!』という感情を爆発させた私ですが

バイン兄さんのターンは
落ち着いたテイストで書かせて頂きます。


私が彼等のライブを体感するのは
2000年発売のアルバム『Here』のツアーでZepp大阪
(だったと思うんだけど・・なんばhatchだったかな、失念)に行ったきり、つまり19年振り(!)

これは19年前の自分と向き合う、ということにも繋がります。(こわ汗)


前編でロックにハマっていた10代後半からの6年間位をざっくり黒歴史、と表現してしまいましたが、まぁ色々とあった時期で(だからこそバインの音楽にも助けられまくったのですが、)

このライブは色んな意味で
それらとまとめて向き合い、区切りをつけ、越えてしまえる良い機会になる、と感じていました。


《もし2000年の自分の手元にツイッターが存在していたら》

ライブで感じた感想

・田中さんかっけええええ

・hereの歌詞
「壊れても手を差しのべる訳もなく」→「手を差しのべる人が居る」に違えて歌ってたあああ!!!感動!

・音、めっちゃ分厚いなあ



さあ、対比させましょう。


前半の雨パレで120%幸福な状態にさせられていた私は

待ち時間中も
このまま続けてGRAPEVINEのライブを体感出来る、という状況が不思議でなりませんでした。
(実感がなかった)

ここまで連れてきてくれた雨パレに感謝です。


ステージに登場したボーカル田中さんは相変わらず、背が高く細く、白いシャツがお似合い、そして明らかに非凡オーラ持ちでした。

直近のシングル曲
「すべてのありふれた光」

「Alright」

そして普段そんなに聴かない「光について」ですが
(雨パレファンに気を使い?)この場で鳴らしてくれたことは
私にとっても単純に懐かしく、とてもありがたかったです。

他の曲と違い
ステージライトの光に色がつかなかった(白、光そのものの色だった)のが印象的でした。

そして
「風待ち」には泣かされかけました。いや泣いた。
(めっちゃ好きな曲です)


後半に
「エレウテリア」や「COER」など
珍しい曲を聴くことが出来たのも嬉しかったです。


曲によって刺すように鋭く暴力的に歌ったり
寄り添うように呟くように歌ったり、
田中さんの七変化ボーカル健在。

曲のバリエーションが豊富なバンドですから
曲に合わせて音もしっかり七変化。

良い意味で「バンドの音」らしくなく
グルーヴがとんでもなかったです。
熟練者の集まり以外のなにものでもない音。

そしてライブだけで発揮される特徴として
田中ボーカルには
人の意識を一点に集中させるようなシャーマニックなところがあるな、と感じました。

アンコールでのラストソングを
「Aruma」で締めるあたりも『らしい』なあと。

武器はいらない、次の夏が来ればいい、

物語は終わらないさ、と。



私が彼等のライブから終始感じとっていたのは『余裕』

バンドを続け、
幾つものステージを踏み続けてきた経験値から生じる、
『大人の余裕』そのものでした。


(ちなみにこの日はドラム亀井さんのお誕生日でした。GRAPEVINEの曲は亀井さん作曲のものが多数です。
昔はギター西川さんも作曲をしていたんですが)


田中さんの関西弁のゆるいMCも
昔の尖りがとれて、すっかり大人の兄さんになられたんだなあ。と。


いや、昔から私にとっては大人のお兄さんなんですが、

私は未だに恋愛面の表現において『スロウ』の境地にはたどり着けないです。
あの頃の田中さんの年齢はとうに越えているはずなのに。
(今考えても、あんなの25位の若者男性が書けるレベルの詞じゃないからね、)


今さら言うことではないですが、
GRAPEVINEは田中和将さんの書く歌詞に
とても魅力があります。

私が今詩を書くうえで、影響を受けた人物として、外せない1人です。

『ネガティブなことや感情も作品、物語、曲として美しく仕上げる』

私は彼からそのやり方を教わりました。


だから曲によっては抽象的、時に攻撃的だったり、シニカルだったりする詞の中にも、ボーカルからは絶対的な優しさを感じられる。


最後に歌ってくれたArumaの詞の1番を過去の私にあて、
2番を今とこれからの私にあてることにします。

ここまで来られてよかったです。

19年振りに聴いた生の田中氏の声も
やっぱり優しかったです。










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