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出生時の性別でお試しで生きてみる無料トライアル期間が私には必要だった。

ここ数日トランスジェンダー関係の書籍発売に際しての脅迫事件のニュース記事を目にする機会がありました。
この件についてとあるニュースサイトのコメント欄を見てみるとトランスジェンダーに対する差別的なコメントもかなりありました。まあそんなのは無視無視。私が気になったのは安易な性別変更に警鐘を鳴らす書き込みでした。
正確に言うと、子どもがネットの情報などに感化されファッション感覚で自分もトランスジェンダーだと思い込みホルモン治療などを始めて取り返しのつかない事態になるのは危険だ、というものです。

確かにこの意見には一理あると思いつつも、本気で悩んでいる当事者にとっては10代から治療を始めるのがベストではあります。理由として
・第二次性徴によって望まない性別に近づく苦痛を減らすことができる。
・望まない性別で生きる期間を減らすことができる。
などがあります。

ただ一方で先程あった意見に似た事例もあるのは事実で
・男性ホルモン投与で毛髪が禿げて更に望まない声になってしまい性別移行を後悔した海外の20代前半のFtM(女→男)の事例
・幼少期から性別に違和感があり性別変更をしたものの更に違和感が強くなり性別の再変更をしたFtMtF(女→男→女)の日本国内での事例
などがありました。
前向きに生きるためにも「こんなはずじゃなかった」というのはなんとか避けたいところです。

私自身当事者であり、幼少期から性別に違和感がありました。男であることがとにかく気持ち悪く、いつか必ず女になると心に誓ったものでした。中学生くらいには親に秘密でホルモン剤を購入することも考えました。
ただ頭の片隅に、もしこの違和感が間違いだったらどうしよう、という不安もありました。
性別移行は基本的に一方通行です。開始して一定期間が過ぎたら元には戻れません。そして死ぬまでホルモン治療を続けなければなりません。それだけの覚悟や確信が当時の私にあったのか怪しい部分はありました。

そこで私は仮に「中性的・女性的な男性」として生きられるのかどうかのトライアル期間を設けることにしました。目安としては社会人になるくらいまで。それで男性であることが苦痛で仕方ない、死にたいくらい辛い、となったら治療を開始して「女性」として生きようと決めました。性別で悩んで死ぬくらいだったら性別移行すべきです。

実際に高校・大学と男性として過ごしてみて、気持ち悪さが増大しました。自分の体が男性であることがとにかく気持ち悪い。性別欄の男に◯をつけるのもとにかく苦痛。一方で女性と間違われたり女性扱いされたりした場合は嬉しさや心地よさがありました。
やはり性別への違和感は間違っていなかったと徐々に確信に変わりました。
そして社会人になり、もう男性として生きるのは無理だ、となりました。
結果として「中性的・女性的な男性」で生きることはできませんでした。私は「女性」として生きたい、という結論に至りました。

現在ではホルモン治療を始め、徐々に身体的な変化があり本当の自分に戻っていく感覚があって幸せです。やはり子供の時にあった違和感は間違っていなかった。

性別移行するかどうか、その正解は人それぞれだと思います。移行せず出生時の性別のままが正解という人もいます。最初に話題に出したニュースサイトにはこのような内容のコメントがいくつかありました。
「中高生の頃自分の性別が嫌で仕方なかった。でも大人になったら自然とその気持ちが消えた。一過性のものだったのか。焦って何かしようとしなくてよかった。」
なるほどそういう人もいるんだな、と思いました。

確信があれば最速10代からの治療が最適解ではあると思います。一方で不安が少しでもあればトライアル期間を設けて自身を見極めてみるのも一つの手法です。
生きることが大事です。性別で悩んで死ぬほど苦しかったら移行すればいいんです。逆に生まれた時の性別でいいや、ってなればそのまま生きればいいんです。
性別移行はいつでもできます。50代や60代で移行される方々もいらっしゃいますから。いつからでも遅くありません。

ということで性別に違和感があったらサブスクのつもりで性別無料トライアルをしてみて判断するのもありです、という内容でした。

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