写真_2019-02-09_15_06_07

中村健太さんの写真展『ハロー、グッバイ。』

福岡・大牟田のin the past™さんで、 2月8日(金)から 2月17日(日)まで、フォトグラファー・ 中村健太さんによる写真展『ハロー、グッバイ。』が開催されています。

本展示は、日常の中に潜む違和感を独特の世界観で切り取るフォトグラファー中村健太さんによる、昨年5月に逝去された中村健太さんのお祖母様のストーリーを中心に、現在と過去の時代を超えて、すでに起きた「出来事」を新たな視点で再構築した世界観が体感できるというもの。

『VOGUE』のイタリア版で2016年のベストフォト100に選ばれたり、『PHOTO VOGUE』のフォトグラファーベスト30、JAPAN PHOTO AWARDのほか、ドイツやフランスといった世界各地のメディアにも特集を組まれるなど、国内外でご活躍される福岡・田川市の中村健太さん。 会場の演出はそんな中村さんが担当されているとのこと。

例えばこの味のあるおもちゃによって回っている写真の展示。これは初盆の写真だそうで、見ているとだんだんと内なるものがゆれ動く感じがしました。本来ならば「葬式」という通過儀礼は人の「死」というものが付きまとって重々しくなるはずですが、不思議となぜか、入り込めるエモーショナルな演出が会場全体いたるところにあった感じがします。

思い起こすと、誰にでもあったようなおばあちゃんと遊び、生活のひとときを共に過ごした日々。(子どものときは特にテンションが上がりますよね。)ぼくは中村さんの写真自体が気になって会場に向かったはずだったのですが、見ているとぼくにもあった、そんな面白かった日々をふと思い出させてくれました。

けれども時の移り変わりというものはあっという間のもので、いつかは巡ってくる人の「死」という課題。

そういったことが通過した直後の一時は悲しいものですが、しばらくして残されたまだ生きている人々で紡ぐその人のその後の"ストーリー"は、その人が一生のうち生きたスタイルが面白ければ面白いほど、ふと始まる思い出話しは面白くなるようなもので、それをお二人が改めて教えてくれたような余韻に浸っています。ぼくは中村さんのお祖母様の写真をみて、奥深くて面白い方なのだと素直に思いました。

オリジナルグッズや過去のポートフォリオも展示されていました。回るおもちゃのキーホルダーがいい味出ていますね。

同展開催を記念して作られたという、「in the past™」さんの自家焙煎のコーヒーもいただいてきました。コーヒーはぶどうのような独特な酸味が効いていて、今まで飲んだことのないような不思議な味でとても美味しかったです。このほか美味しそうなお菓子もご用意されています。

中村健太さんと中村健太さんのお祖母様が「今」に紡ぐ、不思議で"面白い"エモーショナルな世界観。ぜひ、温かいコーヒー片手に情緒に浸ってみてはいかがでしょうか。

(大坪 磨亜久)

【中村健太「ハロー、グッバイ。」】
会期:2019年2月8日(金)- 2月17日(日)
場所:in the past™
(福岡県大牟田市本町1-2-19 中原ビル1F)
営業時間:11:00 – 18:00
お問い合わせ:0944-88-9653
クロージングパーティー 2月16日(土)
※会期中無休・入場無料