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【MaaS体験記番外編#1】柏の葉スマートシティに行ってみた(後半編)

はじめに

このnoteでは、全国各地のMaaSのサービスを実際に体験して、その感想などを発信していきます。

今回も本流を離れて、柏の葉スマートシティの取り組み後半を紹介します。
前半の紹介は下記の記事になりますので、まだ読んでいない方はぜひ読んでみてください。

柏の葉とは

千葉県北西部の柏市にある地域です。2005年8月のつくばエクスプレス(TX)が開業されてから「柏の葉国際キャンパスタウン構想」という計画をもとに現在も開発が進められています。

この構想は、社会課題解決モデル街づくりを実践するための構想で8つの目標と28の方針で構成されており、目標・方針のそれぞれで重点施策が設定されています。

この8つの目標に沿って、柏の葉の取り組みを紹介します。

目標は次の8つになります。
 目標1:環境と共生する田園都市づくり
 目標2:創造的な産業空間の醸成
 目標3:国際的な学術・教育・文化空間の形成
 目標4:サスティナブルな移動交通システム
 目標5:健康を育む柏の葉スタイルの創出
 目標6:公・民・学連携によるエリアマネジメントの実施
 目標7:質の高い都市空間のデザイン
 目標8:イノベーション・フィールド都市

この記事では、目標5〜8について解説します。

柏の葉国際キャンパスタウン構想

◆目標5:健康を育む柏の葉スタイルの創出

若者から高齢者まで地域の中で一生健康で暮らすことのできるまち
 ○方針5ー1:健康でアクティブな暮らしを支える生活空間、方向環境を
        充実させる
 ○方針5ー2:農や食の文化を育む空間と生活を充実させる
 ○方針5ー3:人々が生きがいをもって支え合うコミュニティを育む
 ○方針5ー4:最先端の知識と技術を用いた健康サポートを行う
 ○方針5ー5:”ワーク&ライフ・ハーモニー”を実現する多様な働き方・暮
        らし方を支援する

この目標の方針の1つに「健康でアクティブな暮らしを支える生活空間、歩行空間を充実させる」があり、住民の健康づくりをサポートする取り組みが行われています。

TXの高架下近くにはウォーキング啓発のため、「ウォーカブルサイン」があります。歩くきっかけづくりになりますね。

ウォーカブルサイン

また、まちの健康研究所「あ・し・た」という施設があり地域の健康づくりの拠点になっています。

まちの健康研究所「あ・し・た」

「あ・し・た」は、歩(ある)く・しゃべる・食(た)べるの頭文字を取っているそうです。

ホームページには健康づくりのイベントが掲載されていました。

TX高架下には「かけだし横丁」という飲食店が建ち並ぶ施設もあり、「食」の健康の一翼を担っています。

かけだし横丁

◆目標6:公・民・学連携によるエリアマネジメントの実施

支えあいによって地域の暮らしと活力を持続・向上させる自律的なまち
 ○方針6ー1:暮らしの質を高め、地域への愛着を育む
        (住民満足度の維持・向上、地価水準の維持)
 ○方針6ー2:柏の葉独自の価値を育み、発信する
        (交流人口の増加、外部からの評価)
 ○方針6ー3:柏の葉キャンパス駅周辺を起点に公・民・学の連携による
        自律した都市経営の仕組みを整える

この目標の方針の1つが「自律した都市経営の仕組みを整える」です。

公・民・学が連携した「UDCK」(アーバンデザインセンター柏の葉)により公共空間の管理運営が行われています。

UDCK外観

柏の葉キャンパス駅周辺は、公道と私有地をまとめてUDCKが管理しているため歩道の幅が広く統一されたデザインになっています。

駅周辺の街並み

歩道にイスが置かれているのですが、そこは公道なんだそうです。これもUDCKが管理することにより特別に許可されたものとのことでした。

公道に設定されているイス

時期によっては駅前のイルミネーションが点灯されます。キレイですね!

柏の葉キャンパス駅前のイルミネーション

また、柏の葉地域ではAIカメラが設置されていました。

AIカメラ

AIによる解析により、危険行為やうずくまり等の異常行動が検知されると警備員が現場に駆けつけてくれるそうです。

安心・安全な街づくりが進められていますね。

◆目標7:質の高い都市空間のデザイン

 大学キャンパスのように豊かな緑のなかに賑わいが映える快適なまち
 ○方針7ー1:国際キャンパスタウンを象徴する新たな街並みを形成する
 ○方針7ー2:受け継がれてきた緑地環境を活かした緑園のまちを形成す
        る
 ○方針7ー3:UDCKを中心にアーバンデザインを推進する

この目標の方針の1つが「国際キャンパスタウンを象徴する新たな街並みを形成する」です。

目標6で紹介した駅周辺の歩道も含め、柏の葉キャンパスエリア一帯はUDCKが中心となりデザインを行っています。

柏の葉キャンパス駅北側の国道16号線沿道エリアを、複合用途型産業創出地区「イノベーション・キャンパス地区」として整備を進めています。
エリアの中心にある調整池は整備され、住民の憩いの場になっているようです。

アクアテラス(調整池)

周辺には柏の葉T-SITE(蔦屋書店)があり、その2階には日本一のタイトル数を誇る児童書専門のフロアがあります。

柏の葉T-SITE

また、親子や子ども向けのイベント教室が開催されるなど親子で過ごしやすい工夫がたくさん見られました。

国道16号線沿いにあるシンボルサイン「リボン」です。常磐道の柏ICから車で来る方にはよく見える場所にあります。

シンボルサイン「リボン」

◆目標8:イノベーション・フィールド都市

 常に最先端の取り組みにふれあいながら、変化しつづけるまち
 ○方針8ー1:Society5.0の実現に向けた実証実験基盤を構築する
 ○方針8ー2:企業や研究機関へのPRを通じて新たな実証実験を呼び込む
 ○方針8ー3:実験の成果を評価・蓄積するとともに、柏の葉モデルとして
        市全域・県内各所・全国・世界に普及・展開する

この目標の方針の1つに「Society5.0の実現に向けた実証実験基盤を構築する」があり、先進的な取り組みが行われています。

UDCK・柏市・三井不動産が中心となり「柏の葉スマートシティコンソーシアム」を設立。その提案が国土交通省のスマートシティのモデル事業に選定されています。

柏の葉キャンパスタウン構想の8つの目標をより推進するため4つのテーマを掲げ、そこから得られるデータを蓄積するプラットフォームを構築し都市づくりを進めているそうです。

テーマは次の4つになります。
 テーマ①:モビリティ
 テーマ②:エネルギー
 テーマ③:パブリックスペース
 テーマ④:ウェルネス

完成がとても楽しみですね。

まとめ

さて、初めての番外編は2回に渡って、柏の葉スマートシティの取り組みを紹介しました。

大きな枠組みとして「柏の葉国際キャンパスタウン構想」があり、その構想には8つの目標が掲げられていて、目標の推進のために公・民・学、そして住民が連携しています。

ある課題に対して、設計から社会実装までができるプロセスが実現できていて、良いサイクルが回っている印象でした。

2030年に向けて今も街づくりが進んでいますが、取り組みや景観など現在の「柏の葉」も十分に驚かされます。

ぜひ、一度訪れてみてはいかがでしょうか?

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