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【PART1】【PeopleFlowで移動が見える】駅ごとに異なる流入経路の特徴とは?

MaaS Tech Japanでは、多様なモビリティデータを連携させ、分析・予測を可能とするMaaSデータ基盤「TraISARE」の開発を進めています。2021年4月から、TraISAREの活用ユースケースの一つとして「PeopleFlow」というサービスをβ版で公開しています。

PeopleFlowは、「密」を回避した移動ニーズの高まりを受け、混雑を避けるための参考情報として、駅周辺の混雑予測情報を確認することができるサービスです。エリアの混雑度や他エリアからの人の流入を知ることで、駅を取巻く人々の移動の様子や駅ごとの特徴を読み取ることができます。PeopleFlowの詳細はこちらをご覧ください。

この記事では、PeopleFlowを使い、関東圏のいくつかの駅を取り上げて人の流れを観察し、そこから読み取れる駅ごとの特徴を紹介していきます。

今回は、「東京駅」「新宿駅」「霞ヶ関駅」「お台場海浜公園駅」「武蔵小杉駅」「赤羽駅」の特徴が異なる6つの駅を取り上げていきます。コロナの影響がまだ少ないと考えられる平日*の、出勤・帰宅の時間である「午前9時」と「午後6時」の移動の様子を分析しています。
*2020年2月6日

1.東京駅 - 日本有数の大規模ターミナル駅

東京駅は日本を代表するターミナル駅のひとつ。1日の乗車人数は新宿・池袋に次いで全国3位で、46万人にのぼります。乗り入れ路線が多く、JR東日本の在来線、新幹線、JR東海の東海道新幹線、東京メトロ丸ノ内線などが発着しています。

東京駅:午前9時の流入分布
(地図上で流入分布を表示。六角形は駅への流入の出発地点を示す)

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午前9時は鉄道路沿線からの駅への流入が目立ち、電車通勤による人の流入が多いことが読み取れます。より広い範囲で見ると、京浜東北線、上野東京ラインなどを利用した、横浜方面や埼玉方面からの流入も多く確認できます。

東京駅:午後6時の流入分布

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午後6時には午前と様子が変化します。鉄道路線以外からの駅周辺エリアからの流入が多くなります。これは、東京駅周辺の職場からの帰宅や、飲み歩き・タクシーなどによる流入と考えられます。

【まとめ】東京駅はいわば「企業と商業の集積地」であり、通勤を目的とした流入とそれに伴うビジネスでの移動やランチ・飲み会、帰宅までの1日の行動を支える、大規模で多様な役割を持つ駅であることが実感されます。

2.新宿駅 - 多様な往来が交錯する最大のターミナル駅

新宿駅の1日の乗車人員は77万人で日本一。駅の西側、西新宿は日本有数のオフィス街であり、東側は繁華街・歓楽街となっています。JR東日本・京王電鉄・小田急電鉄・東京メトロ・東京都交通局の5社局が乗り入れるターミナル駅です。

新宿駅:午前9時の流入分布

新宿駅_200206_0900

全体的に東京駅と似た傾向です。午前9時の様子を見ると、中央線、京王線、小田急線などを利用した武蔵野市や調布市、世田谷区周辺からの西エリアからの鉄道流入が特徴的です。

新宿駅:午後6時の流入分布

新宿駅_200206_1800

午後6時になると、鉄道流入に加えて、周辺エリアからの流入がかなり多くなります。特に西口エリアからの流入が多くオフィスからの帰宅による流入と考えられます。また、午前には少なかった東側の鉄道沿線からの流入も見られるようになります。

(参考)その他の時間帯の様子を見ると、駅の北東に位置する繁華街歌舞伎町エリアの滞在量が午後8時以降一気に大きくなることもわかります。

【まとめ】新宿駅は特に東京の西側から非常に多くの人が集まり、昼はオフィス街、夜は繁華街に人が流入します。朝から夜まで様々な往来の絶えないエリアと言えます。

3.霞が関駅 - 昼間人口が多い典型的なビジネス駅

霞が関は官庁の集積するオフィス街。周囲に住宅街や繁華街などはほとんどなく、ビジネスを目的とした流入が主となります。東京メトロの丸の内線・日比谷線・千代田線が乗り入れています。


霞ヶ関駅:午前9時の流入分布

霞ヶ関駅_200206_0900

午前9時を見ると、周辺のオフィス街など比較的広い範囲から流入しています。新宿や四ツ谷など丸ノ内線沿い、根津や西日暮里など千代田線沿いからの流入が見られます。

(参考)午前10時〜午後6時ごろの勤務時間帯は混雑度が非常に高くなります。ただ、正午1ごろだけ少し下がっています。お昼時にこのエリアに訪れる人はあまりいないということでしょうか。

霞ヶ関駅:午後6時の流入分布

霞ヶ関駅_20200206_1800

午後6時は駅近くの庁舎からの帰宅と思われる流れが確認できます。駅の南西の色の濃いエリアは財務省や経済産業省が位置しており、それらのエリアから駅の流入が多くなり、午前9時に見られたような鉄道流入は一気に少なくなります。

(参考)休日はほとんど人の流入がなく、混雑度は終始レベル1(ほとんどなし)となります。

【まとめ】霞ヶ関駅は典型的なビジネス駅で、平日の昼間人口が非常に多く、夜にはほとんど人がいなくなります。

4.台場駅 - 様々な施設が集積する観光・レジャー駅

観光・デートスポットとして有名なお台場エリア。りんかい線東京テレポート駅やゆりかもめの台場駅、お台場海浜公園駅など目的地に応じて複数の最寄り駅があります。今回は台場駅を見ていきます。


台場駅:午前9時の流入分布

台場駅_200206_0900

午前9時は、ゆりかもめの始発駅である新橋や汐留エリアからの流入があることがわかります。台場駅はフジテレビ本社や商業施設の最寄り駅であり、周辺エリアからも流入しています。

台場駅:午後6時の流入分布

台場駅_200206_1800

午後6時は帰宅時間となり、周辺からの流入が中心のようです。

(参考比較)台場駅:イベント時の流入分布

台場駅_200124イベント時_1800

2020年1月24日はお台場海浜公園で花火のイベントが開催されました。参考までにこの日の動きも見てみます。金曜日なのでいつもなら18時以降は人出が減っていく時間ですが、この日は18:40に花火が始まるため18時ごろにピークが来ています

【まとめ】台場駅は休日も賑わいがある一方で、隣のお台場海浜公園駅や東京テレポート駅はむしろ休日の方が人出がありません。お台場というと観光をイメージしがちですが、オフィス街でもあり、普段は仕事で利用している人が多いということが読み取れます。また休日にお台場を訪れる人は台場駅を利用することが多いとも言えます。

5.武蔵小杉駅 - 通勤に便利な郊外住宅地

武蔵小杉駅はJRと東急東横線、目黒線の乗り入れる駅。東京の主要駅へは20〜30分以内、さらに横浜方面へのアクセスもスムーズであることから様々な地域への通勤・通学に便利な駅です。JR武蔵小杉駅の西側〜南側を中心に超高層マンションが立ち並びます。

武蔵小杉駅:午前9時の流入分布

武蔵小杉駅_200206_0900

午前9時は駅周辺エリアからの流入がほとんどで、駅周辺に住んでいる方が出勤や外出などで駅に流入していることが見て取れます。

(参考)午前7-8時は南武線、湘南新宿ライン沿いからの流入が非常に多く、通勤ラッシュになっているようです。

武蔵小杉駅:午後6時の流入分布

武蔵小杉駅_200206_1800

午前中は横浜や多摩区からの流入が多いのに対し、午後6時は湘南新宿ライン、目黒線、東横線などによる東京方面からの帰宅の流入が目立ちます。

午後6時以降の様子を見ると、夜間も混雑度が非常に高く、典型的なベッドタウンであることが読み取れます。

【まとめ】武蔵小杉駅は、東京と神奈川を繋ぐ交通結節点であり、典型的な近郊ベッドタウンと言うことができそうです。

6.赤羽駅 - 乗り入れの多いハブ経由駅

赤羽駅はJRの駅であり、埼京線や湘南新宿ライン、京浜東北線など5路線が乗り入れます。荒川を挟んで埼玉県と接する地域であり、東京と埼玉を繋ぐ駅と言えます。

赤羽駅:午前9時の流入分布

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午前9時の様子を見ると、埼京線や京浜東北線などを利用した埼玉方面からの流入が多いことがよくわかります。

赤羽も武蔵小杉と同様ベッドタウンです。武蔵小杉に比べ昼間の混雑度が少し高く、他の地域からの経由地としても利用されていると考えられます。

赤羽駅:午後6時の流入分布

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午後6時になると東京方面からの流入が多くなります。

午後6時以降の様子も見ると、午後7時〜8時ごろが混雑のピークで、新宿駅や池袋駅(埼京線)や上野駅(上野東京ライン)などからの流入と、浦和やさいたま新都心など埼玉方面からの流入が多くみられます。

また、駅の東側には飲食店が多いため、飲食店等から等からの流入も多いようです。

【まとめ】武蔵小杉が東京・横浜間を繋いでいたように、赤羽は東京・埼玉間を繋いでいます。川口、浦和など埼玉県から東京に通勤する人はほとんどが赤羽を通過するため、埼玉への移動に重要なハブ駅であることが改めて確認できます。

終わりに

今回は関東圏の6つの駅をとりあげ、人の流れを観察しました。駅ごとに昼夜の混雑度、利用される路線、流入の多いエリア・時間帯などの点で様々な特徴があることが読み取れました。

ある地点に人がいつどこから流入しているかが可視化されることで、混雑予測だけでなく、 駅ごとの特徴分析、利用者属性分析、それを踏まえた需要予測などにも役立てることができそうです。

次回の記事では「イベント」に焦点を当てて、駅やエリアごとの人の流れの変化を紹介します。ぜひそちらもチェックしてください!

また、記事でも紹介した交通データ×人流データを組み合わせた混雑情報を提供するダッシュボード「PeopleFlow」はこちらで公開中です!

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