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【PART3】【PeopleFlowで移動が見える】コロナ前後の移動の変化とは?

MaaS Tech Japanでは、多様なモビリティデータを連携させ、分析・予測を可能とするMaaSデータ基盤「TraISARE」の開発を進めています。2021年4月から、TraISAREの活用ユースケースの一つとして「PeopleFlow」というサービスをβ版で公開しています。

PeopleFlowは、「密」を回避した移動ニーズの高まりを受け、混雑を避けるための参考情報として、駅周辺の混雑予測情報を確認することができるサービスです。エリアの混雑度や他エリアからの人の流入を知ることで、駅を取巻く人々の移動の様子や駅ごとの特徴を読み取ることができます。PeopleFlowの詳細はこちらをご覧ください。

2020年1月に初めて日本国内で感染が確認された新型コロナウイルスは、3度の緊急事態宣言の発令を経た2021年5月現在も落ち着く気配がありません。この記事では①移動の自粛がほとんどなかった2020年1月、②1度目の緊急事態宣言発令中の4月、③2度目の緊急事態宣言直前の11月の各エリアの人流の様子を紹介していきます。

今回は、都心主要駅、レジャー駅、空港駅、住宅駅を対象に、人出が大きく減ったと考えられる都心主要駅、レジャー駅、空港駅と、反対に自粛によって人出が増えた可能性のある住宅地について見ていきます。

1. 渋谷駅 - 人出が8割ほど減少した都心主要駅

①緊急事態宣言前(2020年1月23日13時)の渋谷駅の流入分布

渋谷駅20200123

渋谷駅は平日の方が人が多いため、木曜日のピーク時間である13時を選んで見ていきます。
緊急事態宣言前の人出のピークは午後12〜15時ごろ。周囲のエリアからの流入が中心で、駅のエリアは非常に滞在量が多くなっています。

②第一回緊急事態宣言中(2020年4月23日13時)の渋谷駅の流入分布

渋谷駅20200423

1日を通して混雑度が非常に低く、人出が大きく減ったのがわかります。路線からの流入はありますが、周囲からの流入が減ったことで中心エリアの滞在量はかなり小さいようです。

③第二回緊急事態宣言直前(2020年11月26日13時)の渋谷駅の流入分布

渋谷駅20201126

緊急事態宣言が開けていた11月ごろには、各路線から人が集まっており、人出が戻りつつあることがわかります。しかし、1月に比べるとだいぶ少ないようです。

【まとめ】渋谷駅は1度目の緊急事態宣言中に大きく人出が減り、その後も全体として人出が少ない状態が続いています。11月ごろは若干回復していたようですが、Beforeコロナの状態まで戻ってはいません。


2. 舞浜駅 - 休園による劇的変化が見られたレジャー駅

①緊急事態宣言前(2020年1月18日15時)の舞浜駅の流入分布

舞浜駅20200118

舞浜駅は休日の方が人出が多いため、土曜日を見ていきます。緊急事態宣言前の15時の舞浜駅はディズニーリゾート内からの流入が多いことがわかります。園内でも移動が活発で、特にシンデレラ城など人気アトラクションのあるエリアへの流入が多いようです。

②第一回緊急事態宣言中(2020年4月18日15時)舞浜駅の流入分布

舞浜駅20200418

4月の様子は衝撃的です。東京ディズニーリゾートは政府からの要請を踏まえ、2020年2月29日から約4ヶ月間臨時休園に入りました。このとき、園内からの流入は全くなく、混雑度も1日中レベル1となっています。多少駅利用者が流入している程度です。

③第二回緊急事態宣言直前(2020年11月21日15時)の舞浜駅の流入分布

舞浜駅20201121

東京ディズニーリゾートは7月1日から営業を再開しましたが、チケット販売方法の変更や入場制限、営業時間短縮、イベント中止など様々な対策を行った上での再開となりました。11月の土曜日は時間帯によっては結構混雑していたようですが、感染拡大前と比べるとピーク時間帯は短くなっています。来場時間が分散した結果と言えるのかもしれません。

【まとめ】東京ディズニーリゾートの臨時休園の影響で、舞浜駅の人出は大きく減少しました営業再開後は、対策の影響もあり、ピーク時間をずらしながら人が集まっている様子が見受けられます。


3. 羽田空港国際線ターミナル駅 - 利用者少が続く空港駅

①緊急事態宣言前2020年1月15日9時)の
羽田空港国際線ターミナル駅の流入分布

羽田空港20200115

緊急事態宣言前の羽田空港国際線の朝の様子です。京急空港線や空港内からの流入が見られ、羽田空港に向かう人、羽田空港から市街地へ向かう人が多いことがわかります。羽田空港の出発便数は10時台、11時台が最も多いため、その時間の流入が多くなります。駅のエリアの滞在量はかなり大きく、混雑している様子です。

②第一回緊急事態宣言中2020年4月15日9時
羽田空港国際線ターミナル駅の流入分布

羽田空港20200415

4月には需要が大きく減少したことで、利用者が明らかに少なくなっていることが読み取れます。2020年2月以降、世界の多くの国と地域で渡航が制限され、日本からの出国も海外からの入国も難しくなりました。また、羽田空港では2020年4月11日以降、国際線の搭乗を第3ターミナルに集約し、第2ターミナルの国際線施設の利用を一時的に見合わせるほか、一部施設の閉鎖や減便も実施しています。

③第二回緊急事態宣言直前(2020年11月18日9時)の
羽田空港国際線ターミナル駅の流入分布

羽田空港20201118

11月にはある程度人出が回復していた渋谷駅、舞浜駅に比べ、羽田空港国際線ターミナル駅は11月になっても混雑度・滞在量ともに非常に小さいままとなっています。国内線の利用者は徐々に増加しているものの、国際線の利用者は入国制限などの事情から回復には時間がかかりそうです。(参考リンク

【まとめ】空港は新型コロナの影響を最も大きく受けた施設の一つであり、現在も大変な状況が続いています。ある程度人手が回復した渋谷駅、舞浜駅と異なり、利用者は少ないままとなっています。


4. 中板橋駅 - 人流が増加した住宅駅

①緊急事態宣言前2020年1月15日9時)の中板橋駅の流入分布

中板橋駅20200115

コロナ禍で移動の自粛やテレワークが進む中、住宅が多い地域ではむしろ最寄り駅周辺は人流が増えているようです。今回対象とするのは、日本で最も人口密度の高い市区町村である豊島区に位置する中板橋駅です。

緊急事態宣言前、2020年1月の平日朝を見ていきます。中板橋駅は日中は流入が少なく、他の地域に移動していると考えられます。東武東上線で池袋駅へ向かう流れや、池袋駅からの流入が見られます。

②第一回緊急事態宣言中2020年4月15日9時)の中板橋駅の流入分布

中板橋駅20200415

2020年1月の日中の混雑度がレベル2〜3であったのに対し、緊急事態宣言中の4月はレベル3〜4へ増加しており、日中の滞在量が増えていることがわかります。内訳としては、東武東上線からの流入がほとんどなくなっています。駅周辺にはスーパーや公園、飲食店などもあり、移動自粛の影響で、自宅に籠る人たちが家の周りで用事を済ませている様子が伺えます。

③第二回緊急事態宣言直前(2020年11月18日9時)の中板橋駅の流入分布

中板橋駅20201118

11月になると、周囲からの流入も多いのに加え、池袋駅や東武東上線からの流入がまた見られるようになっています。一方で、時間別混雑度の傾向は4月とあまり変わらず、周囲からの流入も結構あるようです。自粛と移動とが混在している様子がわかります。

【まとめ】住宅が多くもともと日中の流入が少ないエリアでは、緊急事態宣言中は自粛の影響で若干流入が増えていたようです。他にも周辺に住宅が多いと考えられる世田谷区、中野区、豊島区などのいくつかの駅でも同様の傾向が見られました。

終わりに

今回は新型コロナウイルスの感染拡大前後の人流の様子を、都心主要駅、レジャー駅、空港駅、住宅駅、4つの駅を中心に観察しました。施設や地域によって受ける影響が大きく異なり、PeopleFlowでその特徴を把握することができました。

次回の記事では「電車の遅延・運休」に焦点を当てて、路線やエリアごとの人の流れの変化を紹介します。ぜひそちらもチェックしてください!

また、記事でも紹介した交通データ×人流データを組み合わせた混雑情報を提供するダッシュボード「PeopleFlow」はこちらで公開中です!



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