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逗子は週末の拠りどころ。たった半年前が、すごく昔のことのように感じる――榊善彦さんインタビュー

逗子のムードメーカー榊善彦さんは、今年(2018年)7月まで毎週逗子海岸に通い、フレスコボールの腕を磨いてきました。身軽さと身体能力の高さ、そしてサッカーのゴールキーパー経験を生かしたダイビングで、いつも見る人を盛り上げています。

8月から地元青森に転勤となり、これまでのように逗子に来ることは難しくなりますが、青森でもフレスコボールの楽しさを広めてくれるということで、期待は膨らみます。

インタビューは、榊さんの誕生日会兼追い出し会となった日に、逗子海岸の海の家で決行。南部弁独特のなまりや、ユーモアあふれる語り口調で、とても楽しいインタビューになりました。

「じいちゃん」「ばあちゃん」息ぴったりのペアで大会に

― フレスコボールを始めたきっかけは?

榊 きっかけは同じ職場の奥村さんから去年(2017年)の秋ぐらいに声をかけてもらったことです。俺は昼休みにソフトボールをしてたんですよ。その隣で奥村さんたちがフレスコボールをやってて。ノックしたりキャッチボールしたりしてたら、「お前、動きいいな」って奥村さんに言われて、「やってみない?」って誘ってもらいました。

それではじめてラケットを握りましたね。最初は、「これ、何ですか?卓球より大きいですよね」って感じで、思うようにボールは飛んでいかないし、「難しいですね」って言って、その場は終わったんです。

― そこから、何でやろうと思ったんですか?

榊 その後もソフトボールをしながら隣で見てて、今度は、「ちょっとやらせてください」とこっちから声をかけたんです。

― 気になってたんですね。

榊 中学校3年間、卓球をやってたので、それに近いのかなって。もう1回やらせてくださいって言って、そこから昼休みにやるようになりました。

― 榊さんは中学で卓球、高校ではサッカー部なんですよね?

榊 そう。高校1年からゴールキーパー。だからよく「無駄に飛ぶ」って言われるけど (笑)。でも、立ち上がるのはすごく早いんですよ。ダイビングして打った後、ボールが返ったのを見てるから、すぐホームポジションに戻って待ってる。そしたら、「うわーボール返ってこない!」ってこともよくある(笑)。

― 相手は返ってくると思ってないから(笑)。

榊 でも、「じいちゃん」「ばあちゃん」って、いつしかね、本当にいいコンビを組ませてもらいましたよ。

― やっぱり榊さんは弥生さんとのミックスのイメージが強いですね。

榊 俺らの本番の弱さは半端ない。練習はめっちゃうまくて、5分間で5球使わないのに、本番だと1分間で5球使う(笑)。ミックスのペアランキングだと暫定1位(2018年7月現在)だから、もうみんな出ないで!って思ってます(笑)。

やりたくてもできない……年明けからフレスコ欲が爆発

― 逗子に来るようになったのは何がきっかけですか?

榊 奥村さんと昼休みにフレスコする仲間に入って、どうしたらボールが返るんだろうって考え出してから、おもしろくなったんですね。簡単に見えるけどやってみると意外と難しいし、すごい奥が深いんです。

― 昼休みは毎日やってたんですか?

榊 そうそう、毎日。それで、去年の冬に入る前、奥村さんに逗子でやってるっていうのを聞いたんですよ。まさに、晩秋の頃ね。

― 晩秋…(笑)。

榊 行ったら誰かやってるなら、そこで仲間に入れさせてもらおうかなと思って、初心者ラケットを握りしめて、逗子に行きました。1人で。だけど、その時誰もいなかったんですよ。。

― 誰かと約束してなかったんですか?

榊 全くなく、飛び込みで。休みの日に、いてもたってもいられなくなって。その頃って逗子もまだ今ほど人がいなかったから。

― そのときはまだ常にいるわけじゃなかったですもんね。1人でどうしたんですか?

榊 ずっと待ってたの、太陽の塔の辺りで。晩秋の逗子の海で。その日はそのまま帰りました。すごく切なかった(笑)。

― えー!寂しい!その後どうやって逗子メンバーに入ってきたんですか?

榊 その後奥村さんと1回逗子に来て打たせてもらったんです。そして、訪れる転機は、年末ですよ。打ち納めっていうのを逗子でやりましょうって話になって。だけどその時は俺、地元の青森に帰ってたので参加できなくて、すごく悔しかった。でもラケットを持って帰ってたから、その日、青森で壁打ちしてたんですよ。

― 12月の青森で!?

榊 そう。そのときやりたくてもできなかった、その爆発がついに1月の3連休に来ました。

― 3日連続で打ってたんですよね。

榊 そう。3日間、朝から通ったんです。あの3連発はすごかった。そこにいたのが弥生さんと外山くんと俺。そこからですね。

― そうだったんですね!榊さんはいつも朝早くから来てましたよね。

榊 海岸のトイレに向かって壁打ちしてました。寒い中。とにかく楽しくてしょうがなくて。

― 何でフレスコボールを楽しいと思ったんですか?

榊 昔から、バレーボールで輪になって、落とさずにラリーを続けるみたいな遊びが好きだったんですよ。落とさないことに執着を燃やすっていうのが楽しくて。フレスコボールも、「ラリーを続ける」っていうことを知ったときに、自分にぴったりだと思ったんです。

― じゃあそこから弥生さんとも話をするようになったんですね。

榊 そうです。2月のバレンタインカップに出たいけどペアがいなくて、どうしようかなと思ってたら、「じゃあ出ます?」って弥生さんが。それでバレンタインカップ以降、みんなとまた近くなっていけたんです。だからキーマンは奥村さんと弥生さん。それで今の俺がある。誰も拾ってくれなかったら、ラケットを誰もいない海に捨ててたと思います(笑)。

逗子フレスコは、週末の拠りどころだった

― 逗子のコミュニティは榊さんの中でどんな存在ですか?

榊 来ればいつもそこにあるというか、拠りどころっていうのかな。もう本当に週末の自分の居どころになっていました。家族は八戸にいて、俺は単身赴任なので、フレスコに出会う前は休日の暇を持て余してたんです。だからランニングしてるか、昼から飲んでるか、1人でカラオケ行ってるか。

― 榊さん、歌がうまいと噂は聞いてますよ。

榊 のど自慢出たことあるんですよ、青森に勤務していたときは。

― えー!!

榊 NHK 青森の「お国ことばdeのど自慢」っていう番組で、実際にテレビに放映されました。お国ことばだから、方言で歌うんです。青森の中でも津軽弁とか南部弁とかいろいろあるから。

― そのときは何を歌ったんですか?

榊 俺は、「OH MY LITTLE GIRL(尾崎豊)」を南部弁で。

― それ、聞きたい!!!(※インタビュー日の夜、スナックで聞かせていただきました)

榊 全部方言に変えるから、「♪こんなにも~」が「♪こったらにも~」とかになる。地元に勤務することなんてなかなかないから、記念になればいいなと思って応募したんです。歌詞をどう変えるかも全部はがきに書いてね(笑)。

― 榊さんって、結構目立つの好きですよね?

榊 ……好きかもしれないなあ(笑)。だからそれまでも、やりたいものはいろいろあるんだけど、個人ではじめられるものって本当に限られていて。だったらもうランニングとかしかないなと思ってたんです。でも、フレスコボールに出会って、こういう風に仲間が増えて休日が忙しくなりましたね。

「これで終わらせるつもりはない」

― 8月から青森に転勤になるそうですが、今後はどうしていきたいですか?(※インタビュー日は7/29)

榊 俺はこれで終わらせるつもりはないです。

― どうするんですか?

榊 2年間のイメージトレーニングに入ります!

― 悲しい、夢がない(笑)。

榊 いやいや(笑)。職場で、フレスコボールやろうっていうのはもう言ってありますよ。テニス経験者を引っ張ってきて、青森支部をね。妻が硬式テニスの経験者で、他の知り合いもいるので、そこでもみんなとやろうって言ってあります。

― いいですね。東北にも支部ができると。奥さんはもうやったことあるんですか?

榊 一緒にやりました。そうしたら、のっけからうまいのね。だから説教してやりました。なんでそんなにうまいんだ!って(笑)。俺はどれだけ時間かかったんだ、と思って。でも、そうやって少しずつ拡大していこうと思ってます。

― 榊さんがいなくなると逗子のみんなも寂しいですね。

榊 弥生さんと外山くんと3人でやってたあの時が本当にたのしかった。あの頃に比べるとみんなめちゃめちゃうまい。外山くんなんか別世界の人になりました。たかだか半年なんだけど、本当に昔のことみたいに、いろいろありましたね。こんな時代もあったなあ、みたいな。

俺の中でフレスコは終わってないけど、今となってみれば、みんなとこうやって仲良くできる時間も限られてたんだな、最初からきっと終わりが見えてたんだなって思います。

― 本当に濃密な半年ですね。

榊 でも、半年でこれだけできるようになったってすごくないですか?しかも47歳ですよ。

― いやー、本当にすごいですよ。

榊 ただやっぱり、若い人が一生懸命やってると、心が折れるところもあるよね。「やっぱり俺はやっちゃダメなのかなー」って。40半ば過ぎたおっさんがやってるってどうかなって。でも、奥村さんという熱いオヤジがいるし、まだ動けると思ってるしね。

― 十分動けてると思います。

榊 動けるんだけど、年齢考えるとね。横っ飛びとかも久々にやってみて、体が覚えてるんだなって思うところはありました。でも昔はもっと届いたから、全然動けなくなったなっていう悔しさもあります。

そんなことを感じながら、現実を知っていかなきゃならないと思って、でもまだ知りたくない。そういう狭間にいながらも、やっていきますよ。

― また大会にも、逗子にも来てくださいね!ありがとうございました。

次回のインタビューもお楽しみに!

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