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会話に何気なく「フレスコボール」という言葉が出てきたら勝ち――夏目脩平さんインタビュー

夏目脩平さんは4歳から家族の影響でテニスを始め、中3時には全国大会での優勝経験もあるほどのテニスエリート。2018年4月のサクラカップでは、大学の後輩である斉藤亮太さんと男子ペアで初出場しました。

フレスコボール歴は1年に満たないながら、会場の視線をくぎ付けにする圧巻のラリーを見せ、準優勝。今後の活躍も期待されますが、もともと大会に出る気はそんなになかったという夏目さんは当初、逗子海岸での練習によく参加していました。

今でこそ雰囲気は変わってきましたが、当時感じていたという都内組との温度差の話などは、いろいろと気づかされることもありました。テニスプレーヤーとしての視点も盛り込まれていて、これまでのメンバーとは違った目線で語ってくれています。

大会に出て、魅せることができてよかった

— フレスコボールをはじめてやったのはいつですか?

夏目 2017年の5月?で、鎌倉の由比ガ浜です。亮太(日本代表・斉藤亮太)と一緒に行きました。ずっと亮太に、やりましょうよ!やりましょうよ!ってぐいぐい言われてたんです。

— 大学の後輩ということですけど、夏目さんは体育会テニス部、亮太くんはテニスサークルですよね。どこで接点があったんですか。

夏目 当時亮太が、学生スポーツ新聞みたいなものの記者をやってて、僕らの最後のリーグ戦のときに来てくれたんです。2部から1部に上がったときの入れ替え戦をちょうど見てくれて、そこで1部に上がれたからたぶん印象に残ってたんでしょうね。引退した後、亮太のサークルにも僕が遊びに行ったりして、その時からの付き合いです。

— でも、由比ガ浜以降すぐ、頻繁に来るようになったわけでもないですよね。

夏目 そうですね。静岡から転職活動していたのもあって、その後はあまり。がっつりやるようになったのは、東京に引っ越した9月か10月に逗子に行くようになってからですね。

— 最初のフレスコのイメージはどうでした?

夏目 テニスに近いなと思いました。だから楽しかったし、テニスができない分、趣味も見つけたかったし、東京でのコミュニティを広げたいというのもあったので。楽しくなかったら、こんなに頻繁に来ないです。

— はじめは大会に出たいという感じでもないし、競技志向はほぼなかったですよね。

夏目 ベクトルは多少みなさんと違いましたね。今も別にそれは変わらないですけど、やっぱり、昨日大会に出て、魅せることができたのはよかったなと思いますね。(※取材日は4/15=サクラカップの翌日)

— 大会に出てみて、競技者として出てみるのも楽しいなっていうのはありました?

夏目 それはあります。でも、勝ちたいっていうよりは、大会に出るごとに上手くなっていく姿を見せたい、という方向ですかね。もちろん根本的には競技者だから、出るからには優勝したい気持ちはありますけど。

大会はお披露目の場だと思ってて。今年2月のバレンタインカップも、あきのさんが上手くなったのを見せたいというのが大きくて。だから、「あきのさん上手くなった」って会長とかみんながめっちゃ言ってくれたのがうれしかったです。

今回は亮太と組ませてもらって、(日本代表に)恥じないようにしなきゃっていう気持ちでした。周りからは、夏目はできるから大丈夫でしょって言われたりするけど、初めて見る人にも、「あのプレーすごい!やばくね?」と思わせるプレーを見せたかったんです。

— それは十分見せつけたと思いますよ!

〇サクラカップでの斉藤・夏目ペアの動画はこちら!

都内組は最初、競技者のイメージが強かった

— 競技でバリバリ!っていうのはテニスでやってきたから、フレスコボールでは違う方向で、という気持ちなんですかね?

夏目 それもありますけど…テニスでも、静岡にいたときに普及活動をしてたんです。ショッピングモールのフリースペースに仮設コートを作って、通りすがりの子どもたちを呼びこんで一緒にやってあげて。

ちびっこのお母さんに「競技やらせたいんですよね」って言われたら、「ここにテニスクラブあります」って紹介する。そういうテニスとテニスクラブの普及みたいなのをやってて。

フレスコボールもやるからには認知度上げたいし、枠広げたいし、みんなが楽しく上達していく方向に行ければと思って今やっています。

— はじめは逗子が多かったですけど、今年に入ってからは、わりと都内で練習することも増えましたよね。

夏目 そうですね。最初は、都内だと、みんなで練習できるのかな?っていう思いがあって。来てみればできるのはわかるんですけど、来る前は、都内組は競技者のイメージがめちゃくちゃ強かったんですよ。上手くなりたい、強くなりたいから個々で練習するっていう。だからペアで行かなきゃ打てないんじゃないかって。逗子はそうじゃないから行きやすかったっていうのもありました。

実際に都内に行ってみたら、全員が全員競技目線でもないから、うまくやればみんなでできるんだなと思いました。今は都内でも逗子でも、みんな和気あいあいとできるし、初めての人が入れるようなコミュニティになってると思います。

— たしかに、みんながいろんな人と打つようになって、レベルも上がってるし、仲も良くなってますよね。

夏目 今はペアの向上というより個人個人の向上に向いてる気がします。ペアがいない日でも、ここを重点的にやってとか。僕的には「まーやチャレンジ」が一番インパクトあると思うんです、勝手にだけど(笑)。

— え、何で?(笑)

夏目 あれ、めっちゃ集中するじゃないですか。あれで上手くなったり、フレスコがもっと好きになってる人もいるし。ああいうゲーム的なものを自分たちで勝手に作っていくことで、楽しんでスキルも上がるんじゃないかなって。逗子でも「10球チャレンジ」っていう練習してるらしいですよ。

— 競技じゃないところでそういうのがあるとみんな子どもみたいに全力でやりますよね(笑)

日本のトップ選手が、技術をもっと発信したほうがいい

夏目 こういう練習方法があります、みたいなのをYouTubeで紹介してもおもしろいと思います。あと今一番紹介したいのは、日本のトップ選手がどういう打ち方で、どういう意識でやってるのか。今みなさん我流でやってきて、基礎がないじゃないですか。だから一人ひとり動画に上げるといいかなって。

— 技術面も発信したほうがいいと。

夏目 そうですね。たとえば芝さんが意識してること、長ちゃんが意識してること、倉茂が意識してること、まあやさんが意識してること、みんな違うと思うんですよ。それを、「バックだったらこう持って、こう打ちます!大事なのはここで、意識としては右手から出します」とか。フォア編、バック編、アタック編みたいに、伝えるものを作った方がいいと思う。

フレスコボールやりたい!って思ってるけど、教えてもらうにはタイミング合わない人たちに対して、動画で伝えて「あ、こうやってやるんだ!」ってわかってもらうのはすごく大事じゃないかなと。

でも、こういうことも、大会に出て成績を残して、認めてもらえないと言えないし、教えられないじゃないですか。成績がちょっとでもつくと、「おお、そうなんだ」聞いてくれる感じが僕はする。だから大会に出てるっていうのもありますね。

— たしかに、今は「日本代表が体験会に行って実際に教えます」的なことしかできてないから。それを映像にできれば。

夏目 今すでに、逗子で勝手にスターターセット買ってやってる人たちもいます。そういう人たちは、YouTubeとかあったら見ますよ。あと体験会に、YouTubeで見た人が来るってなれば「おお~!あの人が来てくれるんだ!」って思うじゃないですか。

名前だけだと顔も、スタイルも、打ち方もわからないけど、動画で見てもらっていれば、「この人か!」って、実際の場にも行きやすい。それに「あの動画練習すごい参考になりました!」って言われたら、たぶんトップ選手の方もうれしいと思うんです。

最終目標は、テニスとフレスコボールの融合

— トップ選手にもいいことがある。それいいですね。

夏目 みんな特徴があるから、たとえば芝さんや亮太は魅せるフレスコボールができるから、それでかっこいいって思ってもらえればいいし、自分自身の再確認もできる。特に、男子も女子も含めて、一番基礎がしっかりしてるのは、僕はまあやさんだと思うんですよ。余計なものが何もなくて、誰でもまねができそうで、難しくない。

男子で言えば、長ちゃん、嵐さんかな。長ちゃんはレフティ(左利き)で、嵐さんはゴリゴリのフレスコボール打ちだから、そのポイントを伝えるのも大事じゃないですかね。女子は女子で何人か載せた方が良くて、男子も女子から盗めるものはあると思う。そうやって、みんなで基礎を共有して作ろうよって。

— 教える人によって言うことが違うのを逆に利用できたらいいですよね。

夏目 今だと、トップ選手のプレーを見られる場は大会とか数少ない体験会しかないし、一緒に打つためには、まずコミュニティに入る必要があって、そこにハードルがある。それに今コミュニティにいる人でも、どうやって打ってるのか知りたい人はいっぱいいると思うんですよ。それが、早くレベルアップする方法でもあると思ってます。

— なるほど。

夏目 たとえば、次のお台場カップの次の日(5/4.5)もイベントがあるので、その合間に撮るとか。そしたら、イベントをやってる雰囲気もわかるし、お台場でやってることも伝わる。そういう情報を入れておくのもおもしろいかなって。

— 今後の目標はありますか。

夏目 普通の会話に何気なく「フレスコボール」っていう言葉が出てきたら勝ちだと思います。東京、逗子、三浦、茅ケ崎、関西って、ちょっとずつ広まってきてるから、そこからいろんな進化をしていければ。大会を逗子でやりたいという話もしているので。せっかく逗子に今コミュニティができてるので、それを利用して何かやりたいですよね。

最終的には、テニスとフレスコボールを合わせたい。テニスの練習のメニューにフレスコボールのラリーがあってもいいと思うし、フレスコボールにテニスの基本技術は絶対入ってるから、そこをみんなに共有できるともっとレベルは上がるかなと。

将来的には、テニスコート、パデルコート、ビーチテニスコート兼フレスコができるところが都内に欲しいです。あとナイターでできるところ。

— 協会メンバー以外でそういう風に考える人が増えてきてるのがうれしいです。フレスコボールコートつくってください!期待してます!(笑)

次回のインタビューもお楽しみに!

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