本気でやればやるほど、ペアは簡単にはいかない。だからこそ、1年間信じてきてよかった――相羽あきのさんインタビュー

相羽あきのさんは2016年のジャパンオープンから大会に参加している、女子ではかなり初期からのメンバー。芸能活動を行いながら、フレスコボール選手としてスキルを磨いてきました。

学生時代にソフトテニスで厳しい環境に身を置いていたこともあり、スポーツに対してとても真摯に向き合っています。特に、ペア結成・解消に対する姿勢は、聞いている私も考えさせられるほど毅然としていました。

多くの人が抱く見た目のイメージとは少し違う、あきのさんの一面が見られるインタビューになりました。

競技性が高くなかったからこそ、一番うまくなろうと思った

― フレスコボールに出会ったのはいつですか。

相羽 日本代表の芝選手(芝卓史)が大学のときのテニスつながりの知り合いだったんです。芝選手のFacebook に「フレスコボールやってみよう、お台場にいるよ!みんな集まれ!」みたいな感じで書いてあって。

芝選手はサークルの先輩の中で一番スポーツに誠実でまっすぐ向き合っているイメージだったんですよ。だから、その人が言うんだったら、純粋にスポーツとしておもしろいんだなって思って行ってみました。2016年のゴールデンウィークですね。

― それでお台場に?

相羽 そう。その時は本当に少人数で、男子は芝さんと倉茂選手(倉茂孝明:日本代表)、女子は弥生さん(朝倉弥生)、麻井子ちゃん(鈴木麻井子)、彩未ちゃん(細井彩未)しかいなかったですね。

昔ラケット競技をやってた経験からか、これはすぐ上手くなれそう!なんかいいな、またやりに行こうかなって思いました。突き詰めるとそんな甘くないんですけどね笑

― でも、あきのさんってかなりの人見知りですよね?

相羽 最初は本当に芝さんとしか話してなかったです。でもみんなの距離感が日本人ぽくなくて、陽気な人ばかりな環境が逆にいけるかもしれないと思ったんです(笑)

― 麻井子さんとペアを組むことになったのは何がきっかけですか。

相羽 当時は女子がその4人しかいなくて、弥生さんと彩未ちゃんが組む感じだったのと、麻井子ちゃんがそこで声をかけてくれたので。

― 当時は競技性もそこまで高くなかったですが、あきのさんははちゃんとうまくなりたいと思ったんですか?

相羽 そういうスポーツだからこそ一番うまくなりたいと思いました。みんなから「オリンピックを目指したい」とか「日本に広めたい」っていう話を聞いて、「じゃあこうやって飲みながらやってるローカルな感じだけだと良くないな」って。

「スポーツとしてもしっかり成り立っている」っていうところを出すためには、プレイヤーとして誰かが軸になる必要があると思ったし、だったら私がそうなりたいと思いました。

私は、見た目はチャラチャラしてるかもしれないけど、考え方とかはすごく堅いところがあるので。あとは、一番チャラチャラしてそうな(笑)麻井子ちゃんとかを巻き込んでやっていったら、よりかっこいいんじゃないかなって。

― その年のジャパンオープンではファッションショーもとりましたね。

相羽 毎年取ってるんですよ。“おしゃれスポーツ”っていうこともあるから、大会の華であればいいなとは思ってます。

ペアとは、同じベクトルで高め合っていきたい

― 今年(2018年)のシーズンはどうでしたか。

相羽 私は人見知りが激しいけど、もちろんやる気がある人とやりたいし、やるなら勝ちたい。それまでずっと、麻井子ちゃんとはめちゃめちゃリラックスしてやれるし楽しいけど、勝つことを考えたらペアを変えてもいいのかなって考えてました。

ただ、まだ競技人口も少ないし、ペアも固定されてたし。だけど、あとから出てきた真彩有沙ペアと、小澤風味ペアを見て、「こうなんだよな、ペアって…」って思って。スポーツを競技としてやるんだったら、お互い勝つために前に進むというか、研究したりとか、同じベクトルの感じでやりたいんです。

そんなふうにできている2組を見て、昨年(2017年)はすごく悔しかった。自分たちは練習時間が合わないとか、いろいろあったけど、まずそういうステージに立てなかったことがすごく悔しくて。初めてスポーツで泣いたんです。

― そうだったんですか…。

相羽 それで今年に向けて考えはじめたときに、初期から私のことを知っていて、真面目で、勝てる可能性があるとしたら彩未ちゃんだとずっと思ってたので、声をかけて。

― なるほど。

相羽 昨年のジャパンオープンで組んでた真彩彩未ペアが解散したときに、彩未ちゃんが「今度は自分の力で勝ちたい」って言ってて。私なら期待に応えられるかもしれないって思いました。

そこからすごく考えて、自分のスタイルがありましたが、一旦ゼロからはじめてみようと。初心者と同じように、打ち方、持ち方を改めて、やりはじめたのが今年の1月です。

最初は本当にラリーも続かなくてイライラしましたし、不安で、自分で精一杯でした。私だったら、下手な人と打ちたくないから他の人とも打とうってなっちゃうと思うけど、彩未ちゃんはずっと付きっきりでやってくれたんです。

― たしかにその時期、ずーっと2人で練習してましたね。

相羽 その時に、彩未ちゃんを裏切りたくない、だからどんなにイライラしても、絶対このスタイルを辞めたいとか逃げたいとか言わないって決めました。彩未ちゃんと組んだことによって「変わった」って言われたかったし。

なかなかうまくいかなかったんですけど、4月のサクラカップの1週間前にビーチで練習したときに、初めてちょっとだけ続いたんです。本当に嬉しかった。思い出しただけで泣きそうなんですけど…。

「サクラカップはどういう結果になるかわからないけど、夏までに見えたね」っていう話になって。彩未ちゃんを信じてよかったなってそのとき特に思ったかな。

お互いがお互いを信じていたおかげで、いい1年になった

― そこからジャパンオープンまではどうでしたか。

相羽 後半は私の仕事のスケジュールが立て込んだり、肋骨が折れていたりして、練習時間がとれなくなってしまって、たぶん彩未ちゃんは本当に、不安になったり、イライラしたりしたと思います。

でもそれを大会前に直接話してくれて。小さなことでも、大会前になるとどんどん相手を不安にさせるんだなーと思いました。私のことでこんなに悲しい思いをさせたっていうのが、よりこの子と頑張っていこうと思えたっていう。ほんと、ペアってカップルみたいですよね(笑)。

― そうですね(笑)。

相羽 ジャパンオープンも結果的にはボロボロでした。だけど、お互いがお互いを信じてたおかげで、いい1年だったなとは思えました。大会には誰よりもかわいく出場できたと思ってるし、ブラジル人も「あなたたちのファッションセンスは本当にいい」って言ってくれました。

それと、ブラジル人に「(女子の)日本代表で5人目を選ぶならあなたよ」と言われたことが、私の今後の力になるだろうなと感じました。

私は今後あまりフレスコボールをできないかもしれなくて。だから大会の日の夜に、彩未ちゃんに、「他に組みたい人がいたらそっちに行っていいからね」って話したんです。そしたら彩未ちゃんは、「まだあきのと勝ってないから…」って言ってくれて。「わかった」とか「そんなことないよ」じゃなくて、「まだあきのと勝ってない」って。

私も本当に「勝ちたい」と思ってやってたから、それが伝わってたんだなって思えて、すっごく嬉しかったですね。彩未ちゃんでよかったなって改めて思いました。

― ミックスは夏目選手と1年間組んでいましたが、どうでしたか。

相羽 ずっと彩未ちゃんにかかりっきりだったけど、私にとってフレスコボールの支えは夏目くんでもありました。最初夏目くんのプレーを見たときに、この人と組ませてもらったら自分自身が上がるかもしれないって思ったし、夏目くんとだったら、集中した時間で合わせられる相手だなって信用してました。

もちろん夏目くんにも不安な思いをさせたと思うけど、最終的には心を開いてくれてよかったなと。もしまた組める機会があるならプレイヤーとして会場を魅了するペアになりたいと思います。

競技としてやるからには、ペア解消も、スポーツマンとして受け入れる

― 濃い1年間ですね。

相羽 実質たったの半年だけど、2,3年くらいの感じがします。でも……、そうやってペアを大事にするのはすごくいいことだけど、これはスポーツだから、勝ちたいと思ったらどんどんレベルの高い人や、考えの合う人と組んだ方がいいと思うんですよ。好きな人は、好きな人。でも上に進むためには、違う選択をするときがある。

― 上をめざすなら、それも必要な決断ですね。

相羽 彩未ちゃんも夏目くんもそうなんですけど、レベルとかラリーの相性が、他にいい人がいればそっちを選べばいいと思うし、私自身もそういう考えでペアを組みたいと思っています。

だからもし「誰々と組みたい」って言って断られたとしても、それは、自分自身がパワーアップするために突き付けられた事実なんだって、受け止めないといけない。

― なるほど。競技としてやっていくときには、そういう厳しい面もあると。

相羽 夏目くんも人気プレイヤーだから、私なんかもうほっぽりだされるかもしれない(笑)。でも、ペアを組むってそれぐらい大事なことだなって。だから解消するしないの話も、スポーツマンとしてちゃんと受け止める。

もちろん「別の人とやるからごめんね」って言われた側は悔しいし悲しいと思うけど、そこで、「自分が今そのレベルにいない」ってことや、「そういう環境にいない」ことに気づかなきゃいけないんです。それは私自身に言い聞かせてる話でもありますけど。

― あきのさんがここまでアスリート的な考えを持ってることって、知らない人が多いんじゃないかと思います。今後フレスコボールにはどうなっていってほしいですか。

相羽 フレスコボール広めたいっていう気持ちが強いのであれば、上位のメンバー中心に、日本人としての誇りを持った行動をしてほしいと思います。ただ勝てばいいってだけだと、小さなコミュニティのまま終わってしまう。

メディアに出る、世界に行くってなったときに、そのいいイメージを壊すようなことはしてほしくないですよね。

ブラジルから持ってきたフレスコボールですけど、日本人としての誇りを持って、礼儀とか、ふるまいでもすばらしいスポーツだっていうのを示してほしい。これは相羽あきのとしてというよりは、いちスポーツマンとして願うことですね。

― 私も肝に銘じます!ありがとうございました。

次回のインタビューもお楽しみに!

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落合真彩

ライター・フレスコボール日本代表 2017~19年日本女子ランキング年間1位。ブラジル選手権3位入賞。年間最優秀選手(MVP)、最優秀ラリー賞受賞。 フリーランスでビジネス系のライターやってます。将来、人の心に届く本を必ず書きます。筑波大学卒業。

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どんな人が、どんな思いでフレスコボールをしているのか?ベンチャースポーツならではの視点でお届け。その人の人生とフレスコボールがつながる瞬間を見つけたいと思っています。
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