フレスコボールでも、いい人たちに恵まれた。年齢は関係なく、生涯成長したい――外山祐次さんインタビュー

外山祐次さんは、2016年にジャパンオープン初出場。2018年初めごろからは、逗子海岸に毎週通い、持ち前の身体能力と勉強熱心さで、どんどんレベルアップしています。

ペアの奥村和秋さんとは長年の付き合いで、息もぴったり。いつも迫力のあるラリーで周りを楽しませてくれます。

いつも明るくて熱い外山さんが、どんな人生を経て、フレスコボールに出会ったのか。どうやってうまくなってきたのか。フレスコボールに対する熱量たっぷりに聞くことができました。

「俺もできる」と思ったジャパンオープン2016

― フレスコボールをはじめたきっかけは何でしたか?

外山 最初は、奥ちゃん(奥村和秋さん)と飲みに行った帰り、「そういえば外山、フレスコボールって調べてみろ」って言われて、YouTubeを見たんです。その後、「俺とお前ならいける、8月の大会に出るぞ」って言われました。大会前に練習したのは2、3回でしたね。

― 2016年のジャパンオープン。最初から飛び込んでましたね(笑)。

外山 バレーボールをやっていたので、飛び込むのはむしろ魅せ場だと思っていました。バレーで言うと、対人レシーブの感覚で、打ちやすいところに返すっていう。でも僕は、ラケット競技の経験はないんですよ。

父が体育の先生だったのもあっていろんなスポーツはやってきました。小学校でまず少年野球に入り、ソフトボール、バスケ、陸上もやり、1か月で辞めちゃったんですけど剣道もやり。

中高はバレーボールで、卒業してからフットサル、サッカー、ハンドボール。その後、クライミング。なのでだいたい、みんなが知ってるようなスポーツはやってきたけど、その割には、ラケット競技はない。遊び以外ではほとんど初めてだから、今でも難しいです。

― でもこんなにいろいろなスポーツをやってきた人も少ないですよね。

外山 なんでもやりたいっていう性格もあって、誘われたら断らないんです。だけどどれも浅くて、のめり込むっていうのがあまりなかった。

うちの兄は剣道一筋だし、妹は卓球、母は弓道をやってきてるんです。父は74歳ですけど、まだ現役なんですよ。やり投げと、砲丸投げの選手。シニア大会で、自分でお金出して世界回ってます。僕、まだ腕相撲勝てないですから(笑)

― すごい!アスリート一家じゃないですか!

外山 そうですね。だから全然、年齢は関係ないなっていうのは思ってます。

― その環境があればそう思いますね。

外山 その年のジャパンオープンは、盛り上がりがすごく楽しかったんですよね。そこで印象に残っているのが、最後の倉茂・藤元ペアのプレーです。もう圧巻すぎた。圧倒されました。

しかも、優勝したときに藤元さんが「僕は40なんですけど、まだまだやれます」って。その一言に、ものすごい衝撃を受けて。「えっ!俺と同い年!?」って。よく聞いたら1つ上だったんですけど、そこで「俺もできるじゃん!」と思いましたね。

うまい人の話を聞き、動きをよく見て、体に落とし込む

― ここ数カ月でフレスコ熱が格段に上がっているように思いますが、そのきっかけは何だったんですか?

外山 本当に熱が入ったのは2017年の大会が終わり、秋から年末年始ですかね。年明けから、毎週逗子でやりだしました。榊さんと弥生さん(ともに逗子レギュラーメンバー)とやり取りをはじめて。僕、それまでフォアしかできなかったんですけど、そこからバックの練習をして、できるようになってきました。

― この半年で別人ですね。

外山 亮太(斉藤亮太:日本代表)が毎週来てくれるようになって、やっぱり、うまい人とやると、どうやったらそう返せるのかとか、よく見るようになるんですよ。だから芝や亮太、倉茂の動画を勝手に撮ってみたり、ブラジル人の動画を見たり、まあやのチャンネルも登録してるからね(笑)

― え、今チャンネル登録4人とかなんですけど(笑)

外山 うん、その中の1人(笑)。そういう動画とか見て、自分なりに考えてます。見てうまくなるタイプだから、風呂あがりとかに見てる(笑)。

― 動きを見て、自分の体に落とし込む。

外山 そう、落とし込むのは得意かもと思ってるので、その感覚は大事にしてます。

― やっぱりうまい人と一緒にやったり、見ることが大事ですかね。

外山 言葉でも、その時に言われるとずしっとくる言葉がありますよね。「ちょっと角度を変えれば?」とか、「もっと引けばいいよ」とか。だから、うまい人の言うことはちゃんと聞く。動きをよく見る。自分もいろいろやってきたから、反論したくなることもあるけど、我慢しつつ。

やっぱり奥ちゃんがすごくセンスがあって、あの人に負けたくないっていうのがあるんです。僕にはそういう超えなきゃいけない人が身近にいたから、スタートから得してたっていうのはありますね。

僕の人生は、周りの人に恵まれてるなって本気で思う

― 奥村さんがやっぱり強く影響を与えているんですね。

外山 奥ちゃんとは20年来の付き合いなんで。10歳上で、遊びから、酒の飲み方から全部教えてもらってきました。運動神経もいいし、みんなから愛されるキャラクター。もう、憧れですよ。だって、あの年で“かわいいキャラ”やってるんですよ(笑)。

― たしかに (笑)。

外山 あの人とはいつ会っても昨日会った感覚で接せられるし。僕の人生は、周りの人に恵まれてるなって本気で思うんですよ。沈んだときも、周りの人が助けてくれて。

― 沈んだときというのは?

外山 一度仕事で、体調を崩してしまったことがあって……。ストイックすぎるのかな、どうでもいいことを気にしちゃうんですよ。

自分で自分を追い込んでしまって、うまくコントロールできなくなって。変なプライドでなかなか人にも言えなくて、それが体に来ちゃった。2年半くらい前です。でも、その年なんですよ、フレスコボールに出会ったの。

― そうだったんですか……。

外山 そういうことがあった年に奥ちゃんがこうやって誘ってくれて、与えてくれたんでしょうね、タイミング的に。だから、すごいなって。本当に周りの人たちに恵まれていて、それは自分の宝だなと思います。行くところ行くところ、いい人たちばかりなので。

― でも、それこそ、外山さんの人徳じゃないですか?

外山 そう言われるとうれしいけどね。ダメな自分というか、自分は追い込まれるとこうなっちゃうんだっていうのを知ったっていうのは、人生の中では良かったなと。プラスに変えていこうかなと思ってます。

今、こんなに楽しんでやれてるけど、たった数年前に、まあ、そんなことがあったんですよと。でも僕は、そういう部分を周りの人が知っててもいいんだなって思えたんです。僕みたいな人でも、こんなことがある、こんなナイーブな部分もあるんだよって。

― すごく共感します。それに、そういう部分を知っているからこそ、応援したくなるのはありますよね。

今年がターニングポイント。目標とする人を1人ずつ超えていきたい

― 今、フレスコボールを飽きずにやって来られてるモチベーションはどこにあるんですか?

外山 うまくなりたいその一心です。僕はハンドボールでも相当頭を使うというか、苦労したんです。でも、フレスコボールは競技としてはすごくシンプル。なのに、なんでこんなに難しいんだろうって。

単純なんだけど、角度が1度ずれたら、全然違うところに飛んで行っちゃう。ずれたときにいかに早く修正して、ゾーンというか、入る時間を5分間で多くつくれるかですよね。5分間機械みたいになんてできないし。

この前のミウラカップは、榊さんが7月いっぱいで転勤するのもあって、奥ちゃんに、毎週一緒に練習している榊さんと一緒に出させてくださいって言ったんです。なのに、あれですよ(笑)

― 全く納得いかなかった?

外山 もう練習が良すぎて。前日も朝5時から雨が降る中で最終練習してて、奥ちゃんとの点数を超えるかもしれないなって思えるくらいでした。そしたら当日、榊さんが大スランプになっちゃって。でも、それは僕がもう少しうまく持っていけたかもしれない。

榊さんが調子悪いのがわかって、「楽しくやりましょうよ」って言うんだけど、練習中に変な空気になったりするんですよ。でも、それが大会なんですよね。いくら練習で良くて、すごい球が取れたり、落球数が10個以下でできてても、いかに大会でそれを持ってくるか。そのピーキングの難しさは、痛感しましたね。

― 外山さんの今後の目標は何でしょうか。

外山 ただうまくなりたいです。仕事を調整して、年末にブラジルにも行けたら行きたいですね。今年はターニングポイントかなと思って、妻に、「身勝手な俺を許してください」って言ってあって。寛大なので許してくれてます(笑)。

あとは、目標に置く人が前にいっぱいいるので。ランキングでは今男子の11位なので、超えるべき人は、まあや含めて11人だと思ってます。そこは1つひとつ超えていかなきゃなと。

でもペア競技だから、自分1人では超えられない。僕がいかに奥ちゃんをあげていくかが目標です。それで奥ちゃんに、「俺ばかりじゃなくて、他の人を見ろ」って言わせるくらい成長したい。42歳だけど、倉茂や、亮太や、まあやからペア組みませんかって言われたい(笑)。

― 私はいつか出てみたいと思ってますよ(笑)。

外山 じゃあ、出よう!(笑) あとは逗子を引っ張ってくれてる弥生さんから、いいところは吸収して、僕も引っ張って普及させつつ、相乗効果で盛り上げていきたいです。

僕はクライミングを見つけたときに、個人でできて、自分のタイミングでできる生涯スポーツに出会えたと思ったんです。でもまたここで違う生涯スポーツに出会えた。だから初心は忘れず、生涯楽しくやっていきたいと思ってます!

次回のインタビューもお楽しみに!

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