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独立する人材は何を見、何を考えたか| Vol.216

「事業に価値が付く」という発見

島袋
今回も天才起業家の!

福山
いやいやいや。言い過ぎです(笑)

島袋
いやいやいや(笑)福山さんに来ていただいております!

福山さんみたいなキャリアの方ってなかなかいないですよね。どういう風になるとそうなるんでしょうね。

福山
どういう風に…とにかく目の前のお客さんの悩みに応えることをひたすら続けているかなと思います。

島袋
それもそうだろうと思うんですが、売却したりその相手先に入ったり、教育事業もしたり、いろいろ多動的に動かれてて、頭の中どうなってんのかなと思うんですよね。
普通じゃないんですかね(笑)

福山
イグジットに絞って話しますと、その発想はまったくなかったです。売るって発想はまったくなくて、サイバーエージェントからいつか独立するだろうなとは考えていました。

もともと社長になりたい、独立したいってことは入社面接の段階から言っていて、子会社社長じゃなく、普通に独立したいですとお話ししたうえで内定はもらったんです。当時はそれが許されたんですが、今は多分許されないと思います。
それで最初から子会社の立ち上げをやらせてもらいました。

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実は子会社でも、当事者としてではないですがM&Aの経験をしたので、「事業ってこうやって売り買いできるんだな」とその時おぼろげに知ることができました。

島袋
サイバーの中で経験されたんですか?

福山
そうですね。
子会社の事業を作って本体に譲渡したデューデリがどこまで正確かはわからないですけれども、「そういうので価格が付くんだな」「自分が作った営業利益は、こうやって価値になるんだな」と、22~23の時にある程度知りました。ただ、それを自分ででやろうとはまったく思わなくて。
できればその子会社で、イグジットとかIPOしたいという気持ちはありましたね。

ただ、サイバーエージェントの方針としてはグループ会社のイグジットはあまり推奨していなくて、やるとしてもヴォヤージュグループさんやサイバー・バズさんみたいにMBOしてIPOするとか。
でもMBOもけっこうハードルが高いというか、自分が価値を上げれば上げるほど買えなくなっちゃうので、難しい仕組みだなと思ったんですね。

イグジットしようと思っても難しいと知ったので、それで独立して1回自分で会社を作ってIPOしたいと思ったところもありました。

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島袋
なるほどね。子会社時代に近くで売却を見て、事業の価値を伸ばしたら自分で買い取れなくなると知って、だったら出たほうがいいなと考えたわけですね。


子会社役員、禁断の選択肢「イグジット」を知る

島袋
サイバーさんいにいたから、そういうM&Aとかファイナンスの脳が付いたんでしょうか。

福山
厳密に言うと違うと思います。もちろんそれは教えないというか、知らない方がたぶん幸せですから。お互いに(笑)
ポリシーによるんですけれども、サイバーエージェントの考え方は「チームあっての個」「チームありきの個」というものなので、個が1人勝ちするみたいなのはあまり求めていないというか。
1人の富よりかはみんなで大きい夢を叶えようぜという方針なので、戦略的には教えていないと思います。

島袋
なるほどなるほど。でもわかっちゃったわけですよね。どうしてわかったんですか?

福山
やっぱりその1年目で見た事業譲渡もそうですし、グループ会社の役員になった時に自分のやっていた事業を欲しいっていう方がいたんです。
そこで話を進めているうちに「次はDDをしたいので資料ください」と言われて「DDってなんだ?」といろいろと調べていったら、僕らがやっているサブスクリプション型のビジネスにこれだけ価値が付くんだとわかったんですね。

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10億から20億くらいでどうですか」って話になって、マジかと思って。

島袋
それはマジかってなりますよね(笑)

福山
別にほしいってわけじゃないですけど、それがあったら広告メディアを作ったりして、また桁の違うビジネスができるんだなと思ったんです。その時にすごく詳しくなりました。

島袋
なるほどね、そこで学習して(笑)

福山
そのときに「ロックアップ」とか「アーンアウト」とかよくわからない言葉を言われて、1個1個調べて「ほうほうほう」と。

島袋
優秀な奴を子会社の役員にしちゃダメですね(笑)

福山
使いようだと思います(笑)
それに、GMOさんとかみたいに、子会社のイグジットで本体もメリットがある形は、ちゃんと設計すればできない話じゃないので。

島袋
なるほど、設計次第ですよね。


知ってしまうとしんどい事実。

島袋
上場企業の子会社で、特にIT領域は10年後も見えないのに、ストック無しで社長をするのはきついですよね。

福山
ですね。気づかないうちはいいんですけど、気付いちゃうときついですし、気付いたあとに株持ってない社長と話すと「なんであなた経営してるんですか?」ってちょっと思っちゃう。
「本気ですか?」と思っちゃう側面は正直ありますね。

島袋
本気でも、もらえないんですよ。(笑)

福山
僕は「給料下げてでも買います」って言ったんですけど、ダメでしたね。
やっぱりポリシーというか。

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島袋
その辺はちょっとアメリカっぽくストックオプションとかにすれば、もうちょっと変わる気もしますけどね。
まあ今後は変わっていきそうですね。

福山
そうですね。外部資本が入ったりして、何社か子会社でそういう動きはあるみたいです。
だんだん風穴は開きつつあるのかなと思いますね。


サイバーの子会社経営ってどうなの?

島袋
僕もサイバーエージェントさん出身で創業されてる方を何人か知っているんですけど、子会社の役員の方は、基本的に株を持っているんですよね。

福山
持ってないですね、一部持っているケースもありますが。

島袋
その場合は、本体じゃなくて子会社の株を持っているんですか?

福山
そうですね。

島袋
ということは、本体に吸収されたときに、キャピタルメリットはある?

福山
理論上は一応あります。

島袋
理論上は。実質的には?

福山
実質的にはちょっとわからないですね。

島袋
なるほど、SOとかもあるんですか?

福山
独自で発行している子会社もありますが、出口を認めるか認めないかはマジョリティの本体が決めることなので。

島袋
そうですよね。
でも今の流れ的に、経営者にストックを持たせた方が事業がスケールしやすいとなっていったら、新しい会社なら株を持てそうな気がしますよね。
出先もけっこういろいろありますよね。藤田ファンドがまずひとつありますし、

福山
サイバーエージェントキャピタルとか。


特殊で巨大な生態系、サイバーエージェント

島袋
古巣にいる方に何かアドバイスすることあります?

福山
いやいや、おこがましくて何も言えないですよ。
出てみて改めていい会社だと思いますし、キャリアの側面もファイナンスの側面も、事業を作る側面も、すべてが緻密に、芸術に絡み合っているので、マネできないなと思います。

サイバーの施策ってよく出ますが、一部を切り取っても全然成り立たないんですね。入口の部分から、人事制度しかり、事業開発しかり、生態系ができているので。

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島袋
そのコメントは満塁ホームランですね。

福山
ありがとうございます。(笑)
でも本当にそうですよ、サイバー出た起業家は全員「マネできない」って言ってますね。
最初はサイバーっぽいことするんですよ。表彰しましたとか、風船ぶら下げますとか。僕も全部一通りやりましたけど。(笑)

島袋
藤田さんももちろんすごいけど、役員の方がまたすごいって言いますよね。

福山
社員の愛社精神より役員の愛社精神の方が強いくらいなので、何か奇妙というか、怖いですよね。

島袋
組織としてすごいですよね。

福山
役員とかが派閥作ることとかってありがちですけど、サイバーエージェントの場合はそもそも全員が藤田派閥なんです。

島袋
あの会社だから成立するけど。

福山
本当にそうだと思いますね。

島袋
なるほど、面白いですね。
では次回は、2回経験されたというイグジットについて詳しくうかがっていきたいと思います!



出演者

■福山敦士:経営者・キャリア教育研究家
サイバーエージェントにて、入社1年目からグループ会社の起ち上げに参画、セールス記録も更新。25歳でグループ会社の取締役に就任、営業部長を兼任。27歳で独立し、株式会社レーザービーム創業。28歳で東証一部上場企業である株式会社ショーケースにM&A(売却)。29歳で株式会社ショーケース 執行役員に就任、30歳で同社取締役に就任。20代で2度のM&A(売却)を実現。

■島袋直樹:M&A BANK株式会社-取締役会長
シリアルアントレプレナー。26歳でインターネット広告代理店を創業、年商20億円規模に成長させる。2016年に同社を分社化し、インターネットメディア運営を主体とするIdeaLink株式会社を創業。2017年12月、自社メディア5媒体を上場企業に事業譲渡し、2018年3月よりM&A BANKの運営を開始。「事業は創って売る」をモットーとする。「会社は伸びてるときに売りなさい。」の著者。


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(M&A BANK YouTubeチャンネル)

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