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21社へ投資する小原氏の起業家チェックポイント|M&A BANK Vol.169

投資の状況は?

島袋
今回も、「凡人起業」の著者である小原さんに来て頂いています。
M&Aをするとお金が入るわけで、次はそのお金を使いますよね。
投資家と書かれているので、いろんなところに投資されていると思いますが、それらの会社さんはどんな感じなんでしょうか。
けっこう赤字が出てたりするんじゃないのかなと思うんですが…

小原
そうですね、ほとんどの会社が赤字ですね。

島袋
基本そうですよね。

最初の方で、社長を支援したいというお話がありましたが、具体的に1社あたり金額的にどのくらい支援していただけるものなんでしょうか。

小原
そうですね、一番大きいロットの時は3000万でした。
その会社はうまく上場しましたが、完全にレイター(ステージCでの出資)だったんですよ。

島袋
どちらですか?

小原
アクリートという会社です。粒としてはそんなに大きくないですが、今はもう時価総額は60から80憶のレンジだと思います。その会社の最後の投資ラウンドで入れさせていただきました。
ただ、この案件を知った経路としては、エンジェル投資というより、信用している方、お世話になった方からの資産運用の案件紹介に近かったです。

もう黒字化していましたし、どうやって顧客を伸ばしていくかという話だけでしたから。

でも現状は(出資額は)だいぶ落ちてます。
というのは、自分が役に立てるところ、自分のミッション・やりたいこととは「社長を応援したい」ということですから、(目的は)資産運用じゃないんです。
比較的最初の方にレイターの会社に入れたんですが、徐々にシリーズA、シードとつける(出資する)ようになりまして、今はほとんどシードです。

島袋
素晴らしい。
是非シードラウンドで資金調達を検討されている方は、小原さんへご相談してみましょう!


2回目の打ち合わせで見極められること

島袋
投資家としていろんな経営者を見られる際のポイントはありますか?

小原
シードの投資をするときに僕の中で確認すると決めているのは、やりきれるかどうかですね。

島袋
やりきれるか。本にも書いてありましたね。

小原
その確認ってすごく簡単なんですよ。
最近は投資するかどうかを勢いで決めないように、一回で決めないようにしてるんです。なので複数回会うんですね。
やりきれる人は、 打合せをしたときに必ず出る宿題だったり課題みたいなものを、2回目の打ち合わせをしたときにやっているか、その解決策を持っているかどうかで判断できます。

考えてみれば、起業家にとって投資家はかなり大切なステークホルダーの一つじゃないですか。

島袋
おっしゃる通りです。

小原
場合によっては社員よりも大切な存在にもなり得る大切な存在です。なのに、2回目に会ったときに前回の話が流れちゃったりしていたら…もう言わずもがなですね。
社員との約束や、取引先との約束もほとんど流しちゃう起業家だろうと思いますので、そこで判断します。


センスを見るもう一つのポイント

小原
あともう一つは、見積もりがちゃんとできているかどうかですね。
僕は元々営業をやっていたんですが、営業マンってだいたい顧客の確度を決めるものですよね。確度A/B/C/Dみたいな感じで。
営業マンによっては見積もり依頼も出ていないのに「確度B」と言ったりするじゃないですか。

島袋
ありますね。前の会社のとき、そう言う営業マンを詰めたことが何回もあります。

小原
起業家もこれと全く一緒です。
起業家も、「ある人から調達できるめどが立っています」言ったら、調達できないといけないと思うんですよ。

「あなたが投資してくれるんだったらこの人も(同じラウンドでの出資を)決めると言っています」言っていたのに、決めてこない投資家ってけっこういるんですよ。そういうのはダメですよね。
こっちはもう入れちゃってるので、戻せないこともあります。

確度の管理の甘さに、その起業家のセンス が出るものだと思います。

島袋
なるほど。

小原
会社を潰さない、失敗しないための原理原則の中でも分かりやすい二つだと思いますので、この二つさえむしろちゃんとできていれば、あとできないことは他の人が協力すればいい話だと思っています。
たとえば僕は財務ができないんですが、それならCFOの人に来ていただければいいし、という話ですよね。

島袋
たしかに、そうですよね。

小原さんが今後伸びると考えられている領域についても伺いたいのですが、お時間になりましたので、こちらはまた次回としましょう!


出演者

■小原 聖誉:株式会社StartPoint-創業者・代表取締役社長

2013年AppBroadCastを創業。創業3年でmediba(KDDIグループ)へバイアウト。medibaにて新規事業役員CBDOを務めたのち、退職。現在はエンジェル投資家として活動。21社に出資し、そのうちの1社アクリートはIPOを果たしている。

【株式会社AppBroadCastのM&A概要】

2016年4月、KDDI子会社で広告事業を中心に展開するmedibaへ株式を売却、連結子会社化。株式の取得数や割合については非公開。関係者によるとバリュエーション(評価額)は十数億円になると言われた。KDDIとは2014年の資金調達、業務提携などすでにかかわりを持っていた。

■島袋直樹:IdeaLink株式会社-代表取締役

シリアルアントレプレナー。26歳でインターネット広告代理店を創業、年商20億円規模に成長させる。2016年に同社を分社化し、インターネットメディア運営を主体とするIdeaLink株式会社を創業。2017年12月、自社メディア5媒体を上場企業に事業譲渡。「事業は創って売る」をモットーとする。「会社は伸びてるときに売りなさい。」の著者。