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起業前の自分へ伝えたいこと|M&A BANK Vol.165

起業する勇気がない人へのエール

島袋
では次はこちらの著作について、どういった内容が書かれているのか簡単にご説明いただけますか?

小原
もちろんです。この本は、一言で言うと昔の僕に宛てて書いた本なんです。
起業する前の僕が読みたかった本」をコンセプトに書きました。

先ほど申し上げましたが、私は起業するまでに15年かかったんです。「えいやー」みたいのができない。
その代わりに今与えられているチャンスのなかでコツコツ積み上げていく、ということを社会人として非常に意識しました。

最近投資を受けやすい市場環境になっていると言われていますし、実際にそうだと思うんですけど、若い方のほうが比較的投資を受けやすい状況だと思うんですね。それはそれでいいことだと思います。
融資と投資の違いは、過去の実績ではなく将来の期待値に対して投資されるということですから、それは若い人の方が期待値も高いし、投資は受けやすいと思います。それはそれでいいと思うんです。
ただ、私みたいな就職氷河期にいた失われた世代といいますか、そういうような30代半ばから~40代くらいの方にもチャンスがあると思っていて。

島袋
松坂世代ですね。

小原
そうですね、松坂さんが羨ましいなと思った世代ですね。

※正しくは松坂大輔と同学年にあたる、1980年4月2日から1981年4月1日までに生まれた世代。


氷河期世代が経験したことの価値

小原
実はこの世代にチャンスがあるという理屈はあるんですよ。
この世代の人たちは、同じ業界でパラダイムシフトを経験したことがあると思うんです。

例えば私は1999年に起業家の人と仕事をして創業に立ち会って、その会社に9年間いたんです。
その当時、フィーチャーホン、いわゆるガラケーで、アプリで遊べる端末が初めて出ました。2001年の1月にドコモさんが出した503iという端末が0代で、テトリスのようなゲームが携帯上でできる。そうなると、ゲームを検索するサービスへの需要も当然出てくるわけです。
ゴールドラッシュがあった時に、ジーンズのビジネスを始めたリーバイスの発想が有名ですが、それと同じです。
当時私がいた会社は小さかったですから、モバイルのゲームを作るのではなく、モバイルのゲームを検索する方に回りました。2001年から「アプリゲット」というサービスを立ち上げて、それがうまくいったんです。

そこから2008年にスマートフォンが出ましたが、まだ全然メインではない。携帯電話は1億台ぐらいありますけど、スマートフォンは0台。
これが2011年~2012年ぐらいになると、スマホの普及率が30%ぐらいになってきて、このガラケーショックみたいなのがパラダイムシフトになるわけです。
ガラケーのモバイルコンテンツの市場がスマートフォンへ移行するというのは誰しもが理解できる。
もし僕が20代で、初めて手に取ったのがスマートフォンだったら起業のテーマは見つけづらいんですが、モバイル端末・モバイルコンテンツのビジネスをずっとやっていましたから、2001年に経験したことが2013年に活きてくるんですね。

若い時にやった経験があり、しかも自分は優秀じゃないと理解した上で目の前の仕事を丁寧にやるようにしてきた。そうすると、この業界がどういう風に始まってどういう風に終わっていったのか、成長期と成熟期の経験をしているんです。
どんなプレイヤーが出てきて、どんなコンテンツが売れたか、売れたコンテンツのマーケティング手法といったものが、20代~30代の間に刻まれています。

これはモバイル端末・モバイルコンテンツ業界のみならず、20代の時にちゃんと仕事をしている人――同じ業界の中であれば、かもしれませんが――、ないしは成長した会社に属していて、なぜ成長したかを読み解けるのであれば、パラダイムシフトがあったときに対応できるんです。

端末の変化以外にも、いろんなパラダイムシフトがありますしね。

島袋
確かに、なるほどなあ~
そろそろ、この動画のパラダイムシフトが訪れたみたいですので、続きはまた次回とさせていただきます!
皆様どうぞお楽しみに。



出演者

■小原 聖誉:株式会社StartPoint-創業者・代表取締役社長

2013年AppBroadCastを創業。創業3年でmediba(KDDIグループ)へバイアウト。medibaにて新規事業役員CBDOを務めたのち、退職。現在はエンジェル投資家として活動。21社に出資し、そのうちの1社アクリートはIPOを果たしている。

【株式会社AppBroadCastのM&A概要】

2016年4月、KDDI子会社で広告事業を中心に展開するmedibaへ株式を売却、連結子会社化。株式の取得数や割合については非公開。関係者によるとバリュエーション(評価額)は十数億円になると言われた。KDDIとは2014年の資金調達、業務提携などすでにかかわりを持っていた。

■島袋直樹:IdeaLink株式会社-代表取締役

シリアルアントレプレナー。26歳でインターネット広告代理店を創業、年商20億円規模に成長させる。2016年に同社を分社化し、インターネットメディア運営を主体とするIdeaLink株式会社を創業。2017年12月、自社メディア5媒体を上場企業に事業譲渡。「事業は創って売る」をモットーとする。「会社は伸びてるときに売りなさい。」の著者。