競合相手を分析する際に重要なこと
マーケティング戦略を考えるうえで、大切な要素の一つが競合分析です。数十年前は、「誰もやらなかったこと。」、「誰も思いつかなかったこと。」が多々ありました。しかし、成熟した現代社会では、誰もやらなかったこと、真新しい事を見つけ出すのは容易ではありません。
「全く競争のいないブルーオーシャンだと思って飛び込んだ市場が実はレッドオーシャンであった。」ということは現代社会では多々あります。
そこで、市場と競合を分析して、差別化させ、顧客に選択してもらいやすくする戦略がメジャーとなりました。
▼一般的な競合分析のやり方
私の経験上、競合分析のやり方に“一般的”なものはありません。
・フレームワークを使う
・実際に競合のサービスを受けたり、製品を使ってみる
・ホームページを見たり「SimilarWeb」を使って解析する
など、会社や人によって様々。それぞれのやり方で一長一短があるので、複数のやり方を組み合わせるのがいいでしょう。私自身は、他社のホームページを見る事と、実際に商品を購入したり、サービスを受ける事が多いです。ここで注意しなければならないことが
あります。当たり前の事ですが、これらの競合分析は、分析対象が競合だとわかっている際にやる事です。競合分析の失敗の多くは、競合ではない相手を競合相手と誤って判断し、対策を立ててしまう事です。
▼それは本当に競合か?
【A:1杯900円でラーメンを売っているラーメン屋】の正面に【B:1杯600円でラーメンを売っているラーメン屋】がオープンしたとします。Bは明らかにAを意識してラーメンの価格を600円にしたと思われますが、ここでAの取るべき対策はなんでしょうか?
最もやってはいけない対策は、Aのラーメンの値段をBと同程度かそれ以下に下げる事です。
外食をする際の気持ちになってみてください。まず大枠として、頭の中でだいたいの予算を決めてから食べるものを決めるのではないでしょうか。絶対にラーメンを食べると決めて900円のラーメンを食べるか600円のラーメンを食べるか迷った末に、安いラーメンを食べようと判断することは稀です。それよりも、580円の牛丼セットを食べるか600円のラーメンを食べるか迷う場合が多いです。Aのラーメン屋の競合はBよりもむしろ同じ価格帯のイタリアンや定食屋になるはずです。そこを安易にBへ価格を寄せると、自ら競合へとなってしまいます。
そもそも、価格は差別化をする上で大きな要因となります。価格が異なるだけですでに差別ができているので、それを相手に合わせる事はマーケティングとしてはレベルの低い判断です。もし、コスト・リーダーシップを得るために値下げをするのであれば、値下げではなく、生産・流通・運用コストを下げる事が先になります。
Bがとるべき対策は値段を下げる事ではなく、麺の量を増やしたり、スープの質を変えたりして、900円以上の満足感を与える事になります。
▼競合を見誤った代表例
競合を見誤って戦略を立ててしまった例は多数ありますが、最近よく取り上げられているのが大塚家具です。大塚家具は内部対立後、大塚久美子社長が指揮をとりました。
大塚久美子社長は大塚家具の競合を低価格路線でカジュアルな家具を販売するニトリやIKEAと考え、それに対抗すべく戦略を立てました。
しかし会員制の高品質なサービスと富裕層向けの高級家具でニトリやIKEAと差別化できていたはずが、その市場を取り込もうとサービスを富裕層向けからやや一般向けに下げてしまいました。今まで差別化して競合せずにいたのに大塚家具が自ら競合しにいった形です。ただ付け焼刃の戦略なので、予め低コストを意識して戦略を立てたニトリやIKEAに分があります。
確かに富裕層は一般層に比べてが絶対数が少ないためそこを取りに行きたいのはわかりますが、マーケティング、ブランディングな観点では組織を変えるのではなく、それに合わせた別組織を立ち上げた方が良かったかもしれません。この意見は、結果的に大塚家具の売り上げが大幅に下がったから言えるわけで、実際にそれを防げたかどうかはまた別の話になります。
▼競合相手を決める際に重要視すること
商品やサービスの質や特徴は千差万別であり、同じ商品やサービスを提供していれば必ず競合というわけではありません。私が競合相手を決める際に重要視していることは
・価格帯
・場所
・時間帯
※ターゲットの年齢や性別が同じとした場合
の3つです。これらが異なっていれば、多少の特徴やサービスが似通っていても競合を避けやすいです。逆に、これらの全てが一致してしまうと、商品やサービスが異なっていても
競合してしまう事は大いにあります。(例えば、飲食店、アパレル、習い事、小売り店など)
ネットショッピングで販売する場合は、最も価格の安いものが選ばれてしまうので、差別化が大変です。
今回、私が記述したことは、マーケティングに触れたことのある人であれば、「あたりまえじゃん」と思うほど基礎的な内容です。これからマーケティングを意識する場合、内容の全てを網羅する必要はありません。まずは、「今まで競合と考えていた相手は本当に競合か?」
と疑問を持つところから始めてください。
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