見出し画像

モクセイの香りから マカピーな日々#0182

マカピーです。

二日ほど朝の散歩をさぼり、今朝歩いて驚いたのはどこもかしこもモクセイ(金木犀)の香りに包まれていたことです。

更に、黄色でなく白色のモクセイの樹も発見してとてもうれしかったのでした。

さて、モクセイはベトナムのハノイにもありました。ホータイ(西湖)の端にある鎮国寺の境内にはシロバナのモクセイがありましたがこちらは開花が1月でした。

それならば日本のように庭に大きなモクセイの樹を植えている家庭あるかと、四方歩いてみたのですがついに見かけませんでした。

日本人はモクセイが大好きのようです!!

ベトナムは一般には暑いイメージがあるかも知れませんが、北部の首都ハノイの冬はとても寒いのです。

しかも緯度はフィリピンとさほど変わらないのに、大陸性の気候なのでしょうか霖雨とよばれるシトシト雨が続くし、北部の高地では雪が見られます。ハノイの冬の気候はどうも好きになれないものでした。

一方かつての南ベトナムの首都であったホーチミン市(旧サイゴン)のほうはしっかりと亜熱帯でトロピカールな雰囲気で人々の考え方もラテン系?です。

勤勉?な農耕民族にならなくても、マンゴーやバナナはよく実がなるし、飴もあるから米だって二期作が普通です。さらにメコンデルタは豊かなんです。あくせくしない性格になるのも当然ですね。(笑)

マカピーもそうですが、政治の中心であるハノイの人々がちょっと「根暗」なのはこの冬の気象が影響していると多くの人が信じています。更に北部ベトナムは夏は日本並みに湿度が高い猛暑がありますので実は南の方がすごしやすかったりします。

さて、フィリピンで一緒に仕事をした方はマカピーの父と同じ年で大企業の技術部長を退職されとても優しいジェントルマンでした。

ある日この方がモクセイの話をしてくれたのでした。

実は彼がフィリピンに着任するのが半年以上遅れたのは一緒にフィリピン赴任を楽しみにしていた奥様が突然倒れて末亡くなられその整理が終えてたからでした。

「実は2年ほど前の事でした、10月に入れば周辺の住宅地でモクセイの香りが漂うのを覚えていたのですが、近くの小学校の体育祭のアナウンスがするようになっても一向にその香りがしてこないので不思議に思い妻に尋ねたんです」

「すると妻は今一番強く香っていますよ、というではないですか!」

「僕はその時初めて自分の嗅覚が失われていたことに気づいたんです」

「病院へ行き診察してもらったのですが、結局嗅覚が回復することはありませんでした。嗅覚が無くなると困るのは、食べ物の味がよくわからなくなるのです」


しばらくしてマカピーの奥さんがカレーライスを作って食事を一緒にすることがあり、もう一組の同僚夫妻が日本の柿を手土産に持ってきたのでした。

「わざわざ日本からの柿とは珍しくありがたいのですが、私は柿が食べられないのです」とおっしゃったのです。マカピーはてっきり嗅覚の問題かと思ったらそうではありませんでした。

「僕は終戦後大学を卒業したのですが、当時は食糧難でいつも腹をすかしていたんです」

「ある日、友達がどこからか沢山の柿を仕入れてきてたので、下宿でそればかり食べていたんです。そう、当時僕は柿が大好きだったんです」

「ところが数日して自分の便秘に気付いたのです。渋柿を沢山口にしたわけではなかったのですがとてもひどい便秘に七転八倒し、その後に好きだった柿が一切食べられなくなったんです。どうしてでしょうね?」


マカピーはモクセイが香るこの季節になると彼の話を思い出すのでした。

マカピーでした。

この文章をお読みいただき感謝します。もっと面白い話が書けるよう頑張りますので、引き続きお読みいただけると嬉しいです。

もしもサポートいただければとても嬉しいです。そのサポートは感謝のバトンタッチとして使わせていただきます!