見出し画像

肺の部分切除ってどうなの?⑥手術当日

こんな話
手術当日の朝
手術室で
終わった後

R5年 夏のある日
手術は8時半から。
病棟での担当看護師さんが、熱・血圧・血中酸素など測ってくれる。
若くて頼りになる女性の看護師さん。
朝食はなし。アクアソリタも少し残っていたけど、
「もう飲まないでくださいね~」
飲み残してしまった後悔がちょこっとよぎる。

手術用の紙パンツと弾性ストッキングを着用。
ここの病院でレンタルする室内着は甚兵衛タイプであり、上衣の丈は短い。
しかし、手術着として長いサイズの病衣を受け取る。
それを手伝ってもらいながら、前後逆に着る。背中から開く着方でひもで結ぶ。
「このままで歩くと後ろが見えてしまいますので」
と言われて、こんどは普通に後ろから浴衣のように二枚目を着る。

「時間です」
移動スタッフに連れられて手術室まで歩いて行く。
外来の患者さんや見舞客に会わないスタッフオンリーのコースを進む。
普段見ることのない景色なので、「ほー、なるほどー」と思いながら進む。

早めに到着
いくつもの手術室が並んでいる。
モニターには名前が書いてあったのだが、緑内障で老眼のわたしは一目見てもよくわからない。患者の名前やスタッフの名前がどの部屋で行われるのか書かれているのかなあと勝手に思う。
わたしの手術室らしきところに案内される。
いつものことだが、ネームバンドを確認され名前と生年月日を伝える。
手術室の看護師ひとりひとりが名前を言って挨拶してくれる。確か3人。
「今日はどんな手術をするのかお話しください」のように聞かれ
「右肺〇葉切除です」と伝える。右手の丸印を確認される。
広い部屋の中央にベッドがあり筒状の装置がついている。
「コードブルー」で見たああいう感じではない。
「ドクターX」で見たああいう感じでもない。
広い空間にベッドと筒状のきっとなにかすごい装置がついているところまで確認したが、もうなんだかどきどきして、まな板の鯉になってしまい、周囲の観察どころではなかった。
とにかく広くてスゴイところ。


促されて横になる。
以下の順は記憶もあいまい。
心電図のパットのようなものつけたかも。
麻酔科の医師が来て、局所麻酔をして手の甲に点滴。
これが全く痛くない。
これまでに手の甲の点滴何度もやったけど、全く痛みも違和感もなくストレスゼロなのは初めて。
左の手首の親指の根本の動脈に血圧測定のため針を刺す。
昨日説明を受けていたので「これのことね~」と思った。
横向きにダンゴムシのように丸まった体勢をとる。
背中に局所麻酔。ちくっとするくらい。
背骨辺りを押しますよ~で硬膜外麻酔入ったのかな
いつ痛くなるの?まだ痛くないんだが……
その後の記憶はない。

目覚めた。
忘れたけれど「何事もなく無事に手術が終わった」
ようなことを言われたかもしれない。
終わったのか?
肩が痛い。
一応訴える。
「肩が痛いんです」
そして、主治医はどこか聞く。
スタッフが「先生、患者さんが呼んでます」
先生が来た。
聞きたかったことを聞く。
「ガンでしたか?」
「病理は一か月後にわかります」

ストレッチャーに乗りHCUに。
前回の乳がんの術後もこの移動が辛かった。
痛いのである。

あまりに痛いと騒いだからか、
点滴から薬追加。(記憶はあいまい)
右腕がしびれる。
痛みが出ると硬膜外麻酔につながっている追加ボタンを押してよいと言われている。
30分ごとにプッシュ。
酸素を吸いながら、壁の時計を見る。
昼ご飯の時間だけど、ない。
予定では明日の朝食は普通食。
普通食が食べられるくらい回復する予定なのだ。

手術は12時ころに終わった。(記憶あいまい)
15時あたりはしびれとの闘い。
左腕に血圧計をつけて自動で1時間ごとに計測するのだけど
計測するときに不快だったため、
若い男性の看護師さんに「足で測れないのかな」と話すと
脚用の血圧計を持ってきてくれた。
希望をかなえようとしてくれる病院。
こういうところが、ほんと好き。


やがて夜になり、
夜勤の看護師さんが挨拶にくる。
麻酔をプッシュしすぎは体に悪いかなと思い
2時間空けてプッシュ。
やはり痛いので、次は45分に。
我慢できるので1時間ごとにプッシュ。
これが一番良いようだ。
長い長い夜だった。
点滴、血圧計、尿の管、硬膜外麻酔。
いろいろな管があるので、体を動かすのも遠慮がち。

18時ころは、一晩中こんなのかなと悲しく、
20時ころは痛みとの戦いで1時間にワンプッシュ、
それから自動で1時間ごとに計測する脚の血圧計が時計代わりで
長い長い夜を過ごす。
時間の進みの遅さを感じる。
うとうとしたのかもしれないが、体感としては一睡もしていない。
時計の針にため息をつく長い長い長い夜を過ごした。


よろしければサポートお願いします。