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「にわかファン」は招かれざる客か(総督)

 諸君! 我が国のクリスチャン人口は「1%未満」と言われて久しい。にもかかわらず、昨今のテレビではかつてキリスト教を信奉した歴史上の人物が脚光を浴び、「キリスト教」を冠する書籍類が売り上げを伸ばしている。なぜか?

 「本物はこっちにある」「どうせ間違いだらけ」だと? 何たる不甲斐なさ。そんな言い訳をしているから、クリスマスに留まらずイースターまでもが、「春の到来を祝うお祭り」などとして持っていかれてしまうのだ。

 巷では、特定の個人や団体、作品などに入れ込んでいる者を俗に「信者」と呼ぶらしい。信者がその信仰対象の良さを他者に語り、共感を得ようとすることは「布教」、その信仰対象や関連グッズにお金を費やすことは「お布施」と呼ばれている。

 近年、熱心な「信者」が敵視しているのが、「にわかファン」である。別段「お布施」をすることもなく、流行に便乗して一時的に騒ぎ、かじった知識をひけらかすような人種に対する蔑視の意味も込め、そう呼んでいる。

 キョウカイイエローが専門とするジャンルのある女性「信者」は、デビューから10年以上、日の目を見ない時期もずっと見守って来たのに、最近「にわかファン」が増えたことで、ファンクラブ会員でもライブのチケットが取れないと嘆いていた。

 タレントの有吉弘行は某番組で、ワールドカップ前後に話題となったサッカーの「にわかファン問題」について、「『にわかだから騒ぐな』というのは好きじゃない」「にわかも巻き込んでこそでしょ?」と、「にわかファン批判」をする「信者」たちに苦言を呈し、かつてプロレス界が衰退したのも「にわかファン」を排斥したことに起因すると指摘した。

 ひるがえって、文字通りの「信者」が集う教会はどうか。観光マップに載っているから見学に来た、ロマンチックなイブを過ごすために彼女と来た、レポート課題を提出するため牧師のサインをもらいに来た……などなど。さまざまな理由で訪れる「にわかファン」も少なくない。

 しかし、看板では「どなたでもお越しください」と掲げながら、その実「一見さんお断り」な教会が多くはないか。受付で教会員らしき人から、「あなたたちのような人が来るところではない」と断られた学生もいると聞いた。

 確かに、礼拝中の私語や華美な服装、マナーの悪さなど、迷惑を被る例もある。それぞれ事情もあるだろうが、「にわかファン」を切り捨てるだけでは能がない。仮に「にわかファン」が来るべき場所でないならば、初めから丁寧に説明してあげればいい。

 いずれにしても、「にわかファン」が「信者」になる道も開かれていていい。我々キョウカイジャーの使命は、まさにこの点にこそあるのだ。

(2015年5月9日付「キリスト新聞」掲載)

【総督】 名前不明 キョウカイジャーを統括する司令塔。「神の国」建設に寄与するため、あらゆる予定調和を打ち壊し、業界の常識を覆そうと目論む野心家。地上では仮の姿でキリスト教メディアに携わる。サブカル好きの中二病。炎上体質。武器:督促メール/必殺技:連投ツイート/弱点:カマドウマ(便所コオロギ)。


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