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[ペンタゴンペーパーズ] "The Post"(2018)

映画評論家の町山さんも紹介していたけど、近日公開の「ザ・シークレットマン」と併せて観たい作品。連作でもなんでもないのだけど、同じ時代の報道と権力の戦いを描いた作品。公開日は逆だけど、観るならこちらからの方がオススメ。
1971年、ベトナム戦況を分析・記録したアメリカ国防総省の最高機密文書、通称「ペンタゴン・ペーパーズ」の流出事件を巡り、表現の自由のため政府に立ち向かったジャーナリストたちの実話。

アメリカの歴史やペンタゴンペーパーズの内容について多少の知識がないと厳しいのではないかな…。報道に身を置くものとしてとても面白かったし、月並みだけど「政府の圧力に屈することなく真実を報道する」という大義について改めて考える作品。

ただ、話の本筋とは別に、映像として面白い仕掛けもたくさん。昔の新聞社ならではの紙が溢れるオフィスに、タイプライターの音が心地良い。階下にある印刷所に繋がるエア・シューターの中に、編集部から原稿を放り込んで送る。鉛活字をパズルのように嵌め込み使用していた凸版輪転機も、美しく描かれている。工場見学をしている気分で、ワクワクする。この辺りは、単なる社会派ドラマにならないようエンターテインメント性を盛り込んだスピルバーグの遊び心か。

登場人物たちが生き生きと描かれているのも魅力。メリル・ストリープとトム・ハンクスという二大俳優の演技が素晴らしい。それぞれの葛藤や家族との関係などきちんとドラマが描かれているので、飽きずに見られると思う。

スピルバーグ監督が「今、撮るべき作品」と語り、トランプ大統領就任のわずか1ヶ月半後に制作発表をし、 9ヶ月で完成させたとか。リハーサルもなく一発撮りがほとんどという"早撮り"で有名なスピルバーグ(「プライベート・ライアン」は撮影2ヶ月だったらしい)、だからこそスピード感のある映画制作ができて、たくさんの作品を生み出せるのだな〜。

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