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医学部の点数操作問題の本質を考えてみた

皆さん、こんにちは。

今日は、最近問題になった「男性の受験者に有利な点数操作をしていた医学部点数差別問題」について、研修医である筆者も思うところがあり、考えてみました。

まず、なぜ「医学部が、男性を取りたがるのか」の背景課題を考える必要があります。これは、ひとえに「医師不足であるから」につきます。

では、なぜ医師不足が起こるのか。海外の医師の権限や役割などと日本の場合を比較すると、以下の問題があります。

原因を探ってみた、

①「医者の権限と役割の範囲が広すぎて、一人の医師の任務が重すぎる」

→アメリカでは、PA(Patient Assistant)などがおり、手術の一部を請け負う職種があったりします。日本はというと、もちろん医者だけ。

②患者さんの症状の「重篤度合い」を判断する機関がない→「皆総合病院に自己判断できてしまう→外来があふれる→医者がてんてこまい」の悪のループ

→これは、アメリカもイギリスも、他の先進国では、「町のクリニックが患者さんの重篤度合いを診断する窓口」になっており、総合病院へは、基本、クリニックの紹介が無ければ、行くことができません。

日本では、患者さんは自己判断で総合病院にきます。このうち、総合病院で見なければならない症状の患者さんは、約4割程度といわれています。つまり、日本では、「クリニックが症状を診断する第一の関門になるという役割」がうまく果たされていないといえます。

そして、何より、患者さん側にその認識が周知(共有)されていません。これは、医療に携わる人間がもっと発信しなくてはならないと思っています。

③医者は、労働規則が守られる「労働組合」がない

→一般の企業で義務づけられている労働組合のようなものは、医師の世界では存在しません。ですので、場所によって、病院によって、科によって、ブラックな労働環境が存在しても是正されることはありません。というより、実態すら把握する術がありません。

という3つの主な原因があると仮設をたてると、

対策法も以下3つ

①「医者の権限を狭める」、というより、分業する中間的職種をつくる

②町のクリニックは、総合病院と連携する

→今も表面上連携している「てい」ですが、クリニックによって方針は様々。しっかりと総合病院に紹介状を出さないことも。これが起こると、いわゆる「患者さんのたらい回し問題」が起きるのです。

③医者の労働組合を作り、任務の実態を把握する(第三者機関が判断)

上記のように、この問題は、単に「女性差別の問題」ではありません。女性は、確かにライフステージによって、長時間勤務ができないのです。そして、単なる「医師不足の問題」でもありません。今の医者の役割過多の現状では、これ以上、もう病院を運営することができない瀕死状態なのです。

女性だけではなく、男性医師も含めて、ある程度の任務負荷の棚卸が必要ということです。

では、背景がわかったところで、本題。この問題の最大の問題点は

ずばり、

受験生に採点基準をしっかり明確にしなかったこと!

どんな採点基準なのかは、受験生にあらかじめ周知すべきなのです。「それを知っていたら、受験していなかった。そして、何度も落ちるはめになってしまった!」という受験生がいたら、それは学校側の大きな罪です。

受験生にとって、「1年に一回の重要な受験である」ということを学校側は認識しなければなりません。

ただ、熱く語っておいて、水を差すようですが、アメリカでは、実はこれ普通なんです。。人種によって枠があったりします。絶対にアフリカ系アメリカ人は20%とるとか、アジア系は最大30%までとか。

これ普通にいえば、「人種差別」ですよね。でも、「うちの学校は多様性を守るため、このようにしている!」と学校側が堂々と公開し、その条件で良い人だけ受験するのです。明快です。

まとめ

医者点数操作問題の問題点                     

・最大の問題は、点数操作をしていたことではなく、「受験生にそれを知らせていなかったこと」。

→今の現状で、そのスタンスを取りたい学校は、それでよいのです。堂々と公開しなさいということ。

・背景課題は、「医師不足(医者の役割り過多)」である。医者の役割の棚卸が重要。

→中間職種(PAなど)を作ったり、権限の分散(看護師にもう一段回上を設けるとか)をすべし。

→クリニックの役割と責任を明確にし、完全に総合病院と連携させる

→医者の労働組合(第3者機関)を作り、実態の把握すべし


ということで、徒然と思うことを書きました。今日も一日、ゆっくりおやすみなさい☆







嬉しいです^^ 美味しいコーヒーと一緒に今後の医療談義をしたいなと思います。