出産後、息苦しさ、血圧の急上昇などある場合~周産期心筋症を疑うケース

こんにちは。

最近は、めっきりnoteを更新しなくなっていたのですが、病気の診断などについて少し触れても良いかなと思いましたので、少し更新。

私は、シンガポールで総合診療医をしていますが、色々な患者さんが訪れます。総合診療医(家庭医)は、風邪などの一般的な症状の場合は、薬を処方して回復までフォローしますが、適切な診断や治療を専門的に行った方が良い場合は、病気の経緯と懸念される病気などを記載して、そこに回します。

先週は、重症の患者さんが私のところを訪れたので、その病気について少し紹介します。日本では、患者数が少ないのですが、妊産婦の死因の上位を占める病気であり、発見が遅れると命に関わるものです。

症状・経緯・診断

出産6日目、すでに出産2日目に退院して、自宅で育児を開始していたが、下肢や顔のむくみがひどく、血圧が高く鼻血が止まらないなどの症状があった。息苦しさとめまいフラツキなどの症状が悪化し来院。

出産時は、児の頭の大きさが起因して、無痛分娩であったが2日間かかり、心身の負担があった。

通常は、産婦人科や出産した病院にかかることが多いが、自宅から遠いため、かかりつけである私のもとに相談しにきたという経緯。

心機能はEF20%で、普通の人の半分以下にまで落ちこんでおり、すぐにCCUに移動。

周産期(産褥)心筋症

周産期心筋症とは、心臓病のなかった女性が妊娠・出産に際し、突然、心機能が低下し、心不全を発症する疾患です。心不全とは、全身に血液を送る心臓のポンプの働きが弱くなり、全身へ十分な血液が供給されず、からだが酸欠状態に陥った危険な状態です。また、からだのさまざまな部分に水が溜まり、いろいろな症状が出てきます。

原因は、完全には特定されていないのですが、高齢(35歳以上)、多胎妊娠、慢性高血圧症、妊娠高血圧症候群、切迫早産の治療などが関連因子として考えられています。

日本は、1万~2万人に一人が診断されているわけですが、アメリカでは1000人~1万人(人種によって比率は異なる)に1人という割合の高い病気です。日本では、妊婦検診をしっかりしている確率が高く、妊娠高血圧などの危険因子をフォローしたり、過度な肥満に注意喚起をしたりという取り組みが行われているため、確率が下がっていると言われています。しかし、発生頻度が低い病気のため、総合病院ではない場合、医者や医療従事者が十分に理解していない可能性もあります。

※発生頻度:黒人(1/1,421出産) > アジア人(1/2,675出産) > 白人(1/4,075出産) > ヒスパニック(1/9,861出産)

治療

利尿薬のハンプと強心薬ドブタミンで利尿をかけて、心臓の負担を下げ、同時に血圧を下げることで、心筋を休ませ、心機能回復をまつ。

まとめ

日本では、出産後4日~5日くらい病院に入院していることが多いので、このようなケースで自宅に返されているケースは少ないかもしれませんが、出産後まもない方や退院してすぐ、このような、フラツキ、息苦しさ、むくみなどがひどく、悪化していく場合は、すぐに出産した病院などにかかってみてください。

では、今日も素敵な一日を☆


参考:



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嬉しいです^^ 美味しいコーヒーと一緒に今後の医療談義をしたいなと思います。

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