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努力が好きになる方法~「戦略」と「選択」に注目すると良い理由

こんばんは。

皆さん、いかがお過ごしですか。

シンガポールは、相変わらず暑いですが、スコールの回数は心なしか減り、日照り感もやわらいでいる今日この頃。毎日淡々と過ごしております。

さて、今日は、教育心理学で有名な”キャロル・S・ドゥエック氏”の著書「MINDSET(マインドセット)」から、「努力が好きになる方法」について、ご紹介します。

MINDSET(キャロル・S・ドゥエック)

これは、自分自身にも活用できますし、育児中の方のお子さんへの教育でも活用できると思いますので、一読をオススメしたい一冊です。

まずは、手を当てて、自分に問いかけてみてください。

・努力をしていれば、とりあえず「やっている感」を感じてしまっていませんか?

・お子さんの教育で、いたずらに「才能を見出そう」としていませんか?

・自分自身や子供、もしくは部下や後輩に対して、「努力」を必要以上に過大評価したり、褒めていませんか?

「YES」と答えたあなた。

「心当たりがある」そこの君。

はい。私もね (^ ^:)

ヤバい思考かもしれません。

「努力」は、結果につながる「適切なベクトルを持った努力」でなければ意味はありません。

そして、そのために必要なことは、「戦略」とベストな選択肢を考え実行すること」です。

ここでは、上記で問うた「ヤバい理由」について、本の中の言葉を引用しつつ、簡潔に説明します。「努力の天才」になる秘訣がみえますよ。

さっそくですが、ドゥエック氏によると、人間のマインドセット(考え方)には以下2種類あります。


◆硬直マインドセット

人間の「才能」は既に生まれながらに決まっており、「性格」や「能力」は変えることはできないという考え方


◆しなやかマインドセット

人間は、「努力」をすることで、自分の意思により、「性格」や「能力」は変えていくことができるという考え方

結論から言えば、

「しなやかマインドセット」に自分を変えていくことで、生まれつきの「天才」ではなくとも、長期的に見れば、それに匹敵するような力を身につけ、才能を発揮できるようになるということです。

「しなやかマインドセット」とは、いわゆる「努力の天才」と呼ばれる人たちが持っている性質ですね。

私は、学生時代に、中高生の家庭教師や塾講師をしていたのですが、心底思うところがありました。

数時間の講義を週1,2回提供したところで、その子自身が、「自分の成長を楽しみたい」、「これができるようになったら、どんなことが起こるだろう?」と思うようにならなければ、どんな講義をしても無意味なのです。

当初は、「よりわかりやすい説明の仕方」について追及し続け、半年後には、地元では人気の講師になることができました。しかし、結局、元々やる気のある子にしか響かず、はっきり言って、私に出会えなくとも勝手に成長するであろう人達だと気づいたのです。

そして、ふと初心に返ったときに、当初は、「自己肯定感が低い子に、勉強の楽しさや目標に向かう達成感を届けたかった」と気が付きました。それは、昔、私がそうであったからに他なりません。

これは、ドゥエック氏の著書に従うと、「硬直マインドセット」から「しなやかマインドセット」にいかに書き換えられるのかということです。

◆子育てでは、「才能」ではなく、「努力、戦略、選択」を誉めよう

子育てでは、「いかに自信を持たせられるか」、「才能を発揮させられるか」を迷うことがあるかと思いますが、

欧米での研究では、「才能を誉められた人間は、それに過信して努力を怠るようになる」という結果が出ています。ですので、子育てでは、「才能」ではなく、「努力、戦略、選択」を誉めましょう。

ドゥエック氏によれば、親が子供にしてあげられる唯一のことがあるとすれば、「好奇心を養ってあげること」と「しなやかマインドセットを身につけさせてあげること」だけだとしています。

私も、家庭教師をしていた子や塾の生徒には、徹底的にこれを実行しました。

点数を取れない子は、ほぼ全員に共通して、「硬直マインドセット」を持っていたのです。「自分は、能力がない」と思い込んでいるのです。

そこで、私は、子供たちに、「結果や才能」を誉めるのではなく、「努力や、そこまでにいたる戦略と選択を共に考え、誉めまくる」ということに注力しました。

「努力自体ではなく、それに至るまでの戦略と用いた選択を褒める」
・勉強の目標を具体的に書いてもらう
・それにいたる戦略をいくつか書き出し、一緒に議論する            
・そこまでに考えられる選択肢を出せるだけだし、一緒に考えて選択する
・トライ&エラーを続ける」を実行し、結果が出たことは褒める

これで、かなりの子たちが「やる気」を出し、自ら、勉強の魅力にはまりだす人が続出しました。

◆日本人の仕事能率が悪い理由

日本では、「努力をすることが美徳」とされている傾向がありますね。

実際に、日本の教育本などを読むと、「努力や才能を誉める」ことを推奨しているものが多いです。

しかし、これは、個人的にとてもヤバい考え方だと思います。

だって、「才能が無い場合」はどうしたらよいのでしょう?

また、「当て外れの方向に努力をして、結果が出なくとも、それは良いこと」なのでしょうか?

統計的に見ても、98%以上は「凡人」なのです。

「秀でた才能を見つけよう」と言われても、私も含めて、ほぼ皆凡人で、特別な才能なんて残念ながらありません。

皆さんもそういう方も多いのではないでしょうか。

悲観する必要はなく、統計的にも自然な反応ですので、大丈夫。むしろ多数派です。

この「才能を見出そう」とか、「努力自体に重心をおく」となぜヤバいかというと、「挑戦を恐れ、自暴自棄になってしまう」からです。

また、「努力自体を誉めてしまう」場合も危険で、「努力していればよい」と勘違いをしてしまい、これが、取捨選択のできない日本の世の中を作り出している一因かもしれません。

注目すべきは、「努力をする戦略や方向性、もしくは、そこまでにいたる選択肢はベストなのか」ということであり、

同じ結果を導くためには、時間をかける必要もなく、「楽できれば、なおよし」というシンプルな考え方が重要です。

(かといって、カンニングしたり、ハッキングしたりは論外ですが)

◆米国人は、なぜ効率的なのか

ここで、私の米国大学留学中に感じたことを紹介すると、米国では、「楽をして、同じ目標を達成する」という考え方をポジティブにとらえています。

米国での教育は、「議論である」と言われますが、「議論」というよりも、「戦略と選択を皆で出し合い、その結果について、議論して共有しあう」という授業形態なのです。

つまり、「努力それ自体」よりも、「そこまでの戦略とベストな選択肢について学び、自分に合ったものを見つけていく」というスタイルなのです。

米国人が効率的と言われているのは、この「戦略と選択肢」を小さい時から、鍛え上げられているためだと感じます。

そして、親や先生も、その子の「戦略や選択肢を自ら考えてトライする過程」を誉めるのです。なので、子供たちは、挑戦を恐れることはありません。トライ&エラーを繰り返すことで、成功への道が近づき、自分なりの「戦略」を身に付けていくのです。

努力には、ベクトル(方向性)があります。結果につながっている努力を誉めることが大事です。つまり、「良い戦略や選択」をしている場合に褒めるということです。

◆小さな差の積み重ねが長期的にみて大きな差になる

私は、小さい時、「大人になれば、皆良い人になる。人格者になっていく」と信じていました。

しかし、今は違うと感じます。

「適切な努力を繰り返した人」と「そうではない人」では、大きな差が開いていくと思うのです。

「才能」に固執し注目すると、「硬直マインドセットモード」になり、自己肯定感が低くなり、挑戦をしなくなる傾向になるのです。もちろん、挑戦をしなくなると、成功する可能性が低くなり、さらに自己肯定感が低くなるという悪循環が起きる原因になります。

「才能」だけではなく、下の図のように、「戦略」と「適切な努力」が、「成果」につながるのです。

「自宅から300キロ離れた箱根に到着する」という目標があるとして、

「もちろん、48時間かけて走って行きます!」という人は、いませんね。

「車で行きます」とか、「車だと渋滞に巻き込まれるかもしれないから、友人にバイクを借りて行きます」など、いくつかの「戦略と選択」があるはずです。

上記のような例を問われると、「走って行くという人は、愚かだ」と思えるのですが、受験や就職、または仕事の仕方など、実生活においては、何の疑問もなくしてしまうことがあるので、気を付けたいですね。

まとめ
◆「しなやかマインドセット」を持つことが重要
◆子育てで大事なのは子供の好奇心と「しなやかマインドセット」を養うこと
・「努力」、「戦略」、「ベストな選択肢」について褒めよう。「才能」や「ベクトルの外れた努力」は褒めないことが大事

◆「しなやかマインドセット」を持っているかどうかは、長期的に大きな差が出る

いかがでしたか。ぜひ、全米ベストセラーである「MINDSET」読んでみてくださいませ^^

では、今日も素敵な一日を☆

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嬉しいです^^ 美味しいコーヒーと一緒に今後の医療談義をしたいなと思います。