24卒出版内定者が、出版就活を振り返ってみる
こんにちは!
わたしは2024年の4月から新卒として出版社で働きます。思い返してみれば一年くらい前に出版社で働きたいなと思い始め、出版就活を始めました。
就活生のみなさんはESの締切に向けてそろそろ頑張り始める頃ではないでしょうか。
そこで、今回はわたしの就活を振り返ってみようと思います。何かの参考になれば嬉しいです。
出版社を目指し始めた時期
わたしは大学3年生の12月に出版社を目指し始めました。就活初期から出版社を目指していた人が多い同期の中では、遅い方だと思います。
というのも、わたしはずっと商社を志望していました。ところが、12月にとある商社のインターンに参加したところ、「あれれ少し違うかも…?」と違和感を覚えてしまいました。そこから業界を考え直し、出版社を目指すことにしました。
出版社を目指すような人はずっと前から出版社が第一志望で、とてつもない熱意を持っている人でなければならないのかも、と思ってしまいがちだと思いますが、そんなことはありません!
わたしのように直前に出版志望に変えて内定をもらっている人たちもいます。
志望動機や志望し始める時期に優劣はありません。早くから志望していたからといって偉かったり選考で有利になったりするわけでもないので、自分自身の信念をもって出版業界を目指してみてください!
まだ現時点で志望を悩んでいる人も、まだ時間はあるので焦らないで…!
志望部署は絞った方がいい [2023.12.20追記]
出版社の志望を考える上で大事になるのが志望部署だと思います。
特に、総合出版社は編集部だけでもファッション誌、マンガ、文芸、新書などなどたくさんあります。それに加えて最近人気のライツ部署、イベント宣伝系の部署、校正部や営業部など、さまざまな部署があります。
どの部署も面白そうなことをやっていて目移りしてしまうと思いますが、まずは自分が一番行きたいところはどこなのか、ひいては自分がやりたいことはなんなのかを明確にすることが重要です。
「なんとなくマンガ・アニメが好きだから漫画編集志望かな」くらいに思っていたとしても、よくよく考えてみればアニメ化に関わりたいからライツ部署の方が良かった、なんてこともあるでしょう。
特に、編集部は花形なイメージがあって憧れる人も多いと思います。憧れだけで安易に編集部を第一志望にすると、面接で動機を深く問われた時に答えに詰まってしまう、みたいなことも起こってしまいます。
少女漫画もファッションもどっちも好き!という人もいると思いますが、実際に配属される部署は一つしかないので、まずは一番やりたいことを明確にして部署を絞りましょう。
部署を絞る過程で、自分がやりたいことに真剣に向き合わなければならなくなります。これはESを書くときでも面接で受け答えをするときでも必ず触れることになる核の部分になってくるので、志望部署を絞る作業は必ず役に立つと思います!
たとえ少し興味ある部署を志望から外したとしても、面接の中で「志望していない部署に配属されても頑張れる?」みたいに聞かれることもあると思います。その時に初めて「実はファッション志望なんですけど少女漫画も大好きで…」みたいに話せば良いのです。
逆に、様々なジャンルを志望してどの部署でも活躍できますアピールは必要ないのではないかなと。むしろ、第一志望の部署に対する熱い思いを語れる方が、私は素敵だなと思います。
もちろん、自分の考えをきちんと持った上で、全く違う部署を第一志望と第二志望にすることは問題ありません!幅広いジャンルのエンタメと関わることができるのが出版社の良いところでもあります。
ただ、同期の話を聞いている限り、第一志望と第二志望で全く違う部署を志望した場合(ファッションと漫画、文芸と漫画など)、面接で第二志望のことについて深掘りされた人がちらほらいたので、気をつけて!
それぞれの部署がどんな仕事をしているところなのかは、各出版社の採用サイトで詳しく説明されています。どの会社もとても素敵なサイトが公開されています。読んでいるだけでも楽しいので、ぜひ覗いてみてください!
パーソナルな志望理由にできるとなお良い!
志望理由は、個人的な体験だったり思いに結びついた、パーソナルなものだといいとなお良いと思います。
たとえば、次のような志望理由があったとします(即興で適当に作りました)。
どう思いましたか?
誰にでも当てはまってしまうような、かなり曖昧な印象を受けます。
このような志望理由で書かれていることは嘘ではないと思うのですが、これだと他のESの中に埋もれてしまいます。
出版社の選考過程では、全体を通して「その人が何に心を動かされるのか」というかなりパーソナルな部分に興味を持っていたように思います。
ですので、志望理由も、あなたの超個人的な話と結びつけられると良いと思います。「この作品に影響されってこういう選択をした」とか「この雑誌が好きすぎてこんなことしちゃいました」とか。
字数制限の問題で全てを書くことはできないと思いますが、面接官に「おっ」と思ってもらえるような、フックのある文章を書けると良いですね。
ESの分量多いよね…
出版就活をする人がまずぶつかる壁が「ESで書くこと多すぎる問題」だと思います。
とにかく分量が多い。作文をしなければいけなかったり、A4用紙1枚分の自由記述があったり。それだけでなく、普通にウェブで提出するESも、好きな雑誌・書籍・エンタメだったりとにかくたくさんのことを書かなければなりません。
まず、誰にでも言えるのは「余裕をもって書き進めようね」ということです。
ESの分量が多いため、一夜漬けで終わらせることは至難の業です。内容の質を担保するためにも、年が明けてからの1月はまるまる1ヶ月ES書くのに費やした方がいいのではないかな、というのがわたしの考えです。(講談社の内定者エッセイを読んでいると、直前に急ピッチで仕上げた人もいるようですが… すごいな…)
次のアドバイスは、とても大変な出版社のESですが、挑戦する人には楽しんで書いてほしいと思います!
もちろん大変なことには変わりはないのですが、自分が熱量を持っていることについて語るのは楽しいことです。
自分の好きなマンガや小説、雑誌についてアツく書いたり、「面接官の人はこれを読んで笑ってくれるかな」なんて妄想しながら作文を書いたり。苦戦しながらもなんだかんだESを楽しんだ人が同期には多いように感じます。
また、これも個人的な考えですが、ESは誰かに見てもらった方がいいと思います!自分では気づけなかった頃を指摘してもらえたり、褒めてもらえて自信に繋がったり、いろんな良いことがあります。
自分を曝け出して書いたことを人に見てもらうのは、すごく恥ずかしいことですよね。ただ、そこで思い切って読んでもらうのはとてもいい経験になると思います!
実際に、わたしも出版社で働いている知人に読んでもらいました。そこで的を射たアドバイスをもらえて、まるまる書き直した設問もありました。事前に読んでもらって本当によかった…。感謝。
結論、なんでも楽しんだもの勝ちです!
ただただ大変な思いをするのではなくて、自分の「好き」をいくらでも書き連ねられる良い機会だと思って、楽しみながらESを書けたらいいなと思います!
国会図書館を活用しよう!
ESを書くときでも企業研究するときでも、とても多くの本や雑誌が必要になると思います。全部買っていたらキリがありません。
そんな時は国会図書館を利用してみてください。
誰でも無料で利用することができ、昔の出版物から最新の出版物まで揃っています。
普段読んでいないマンガ雑誌を読んでみたり、各社のファッション誌を並べて比べてみたり、なかなか買う機会のない文芸誌を読んでみたり。
いろんな活用方法があります。ぜひ一度行ってみてはいかがでしょうか?
ウェブテスト・筆記試験
出版社の中には選考の過程でウェブテストや筆記試験を設けているところがあります。今年度も試験があるのかは分かりませんので、各社の採用サイトを確認してください。ここではわたしの時の体験を書きます。
ウェブテスト
大体どこの出版社もウェブテストを実施していると思います。
正直、そこまでボーダーが高すぎるということはないと思います(確証はありません)。ただ、ウェブテストで落ちてしまった友人もいたので、油断は禁物です。
ウェブテスト対策の本を一冊買って対策しておけば、とりあえずは問題ないと思います!
一応わたしが使っていた本を紹介しておきますが、対策本はどれでも良いのではないかと。まずはご自身がお持ちの問題集を完璧にしましょう!
筆記試験
筆記試験を設けている出版社があります。私の年は、小学館と集英社で実施されました(講談社はなし)。両者とも2次面接のタイミングで試験がありました。
こいつが曲者極まりないです。
筆記試験は①漢字パートと②時事問題パートに別れています。
①漢字パート
漢字パートは、漢検2級レベルの問題だったように思います。読み書き、四字熟語などまんべんなく出題されます。
漢字は対策をすれば確実に点数を取れる部分なので、もし時間が許すようなら勉強しておいた方が良いと思います!
わたしは手応えが良くなかったので、不安で仕方なかったです。知らない四字熟語が出てきて絶望したのを覚えています…
わたしのようにならないように勉強はしておきましょう。ただ、当然のことながらESが優先です。ESを書く時間を削りながら漢字の勉強をするのは違うなと思います。
あくまでESを通過した先に筆記試験があるので、まずはきちんとESを書き上げましょう。漢字勉強は「もし時間が許すなら」くらいで良いと思います。
②時事問題パート
厄介極まりないパートです。
新聞社などで問われるいわゆる時事問題とは違って、「エンタメの」時事問題です。
今年流行ったマンガや賞をとった小説、有名人などが問われました。総合出版社は「マンガ、文芸、ファッション・ライフスタイル」の三部門に大別されます。
それぞれの志望者がいる中でみな同じ問題を解くことになりますので、時事問題も「マンガ、文芸、ファッション・ライフスタイル」に関する問題がバランスよく出題されました。
この問題は対策できないんじゃないかな…。強いて出題者の意図を邪推すると、「あなたは流行っているエンタメに、好奇心を持って幅広く触れられていますか?」ということを問いたいのではないかと思っています。
今までよりもちょっとだけドラマを見てみる、マンガを読んでみる、小説を読んでみる、雑誌を買ってみる、などなど。みなさんが今まで触れてこなかった「流行りのエンタメ」に触れてみてはいかがでしょうか。
ちなみに、それまでわたしはファッション誌を一度も読んだことがなかったのですが、出版志望に決めてからdマガジンを契約して一通り目を通すようにしてました。ファッション誌も面白い!と思えてとても良い発見でした!
面接
最も緊張するのが面接だと思います。
正直、面接に関して総合的なアドバイスをすることはできません。なぜなら、同期の話を聞いていていも、他社の内定者と話をしていても、「同じ選考過程でも面接官によって質問が全く異なる」からです。
志望動機を深掘りされた人もいれば、少女漫画についてとにかく深掘りされた人、バイトについて聞かれた人やサークル活動について話した人などなど。十人十色という感じでした。
これも考えてみれば当然の話です。とても多い分量のESを元に面接をするわけですから、深掘りして聞いてみたいところは面接官によって&志望者によって異なるはずです。
強いてアドバイスをするなら、繰り返すようですが、面接でも相手との会話を楽しみましょう!
面接官の人は「この人はどんなことに興味があるんだろう、アツくなれるんだろう」といったことに興味があるように感じました。自分の好きなことについてアツく語れるようになっておいて損はないと思います。
好きなゲーム、マンガ、アイドル、趣味、研究内容etc…。いつもだったら誰も興味を持ってくれないような自分の1人語りを、面接官は熱心に聞いてくれます。普段はなかなかできない自分語りを思いっきりする良い機会です。好きなもの・熱中していることに対する愛を、めいいっぱい面接官に伝えてきましょう。
逆に、自分の強みなどの他の企業でも聞かれるお決まりの質問はあんまりなかったな、という印象です。もっと学生のパーソナルな部分を深掘りしてくるのが出版社の面接でした。
選考過程が進むにつれて面接官の人数も3人、5人と増えていきます。「面接官たくさん 対 あなた1人」だとかなり緊張すると思いますが、面接官は敵ではありません。あなたに興味を持ってくれている味方なのです。面接官との会話を楽しみながら、めいいっぱい自分語りをしてきましょう!
内定後に人事の方とカジュアルにお話しする機会がありますが、(人事の方は私が面接で話したことをこんなにも覚えていてくれているのか…!)とびっくりしました。
面接官の脳裏に焼きつく熱量のこもったお話ができることを祈っています!
おわりに
さいごまで読んでいただいて、ありがとうございました!
ここで書いたことはあくまで私個人の考えであって、唯一絶対の成功法ではありません。
出版社は採用人数が少ないこともあって、みんなそれぞれ個性があります。その裏には、みんなそれぞれの就活のやり方があります。
一番大事なのは、周りに流されずに「自分なりの考えを持つ」ことだと思います。
就活期間中は不安になることも多く、いろんなアドバイスにすがりたくなってしまう気持ちもあると思います。私の体験記を含め、いちいち鵜呑みにせずに、自分なりに考えた上で行動してみてください!
あくまでわたしの場合をお伝えしました。出版社の公式見解でもありません。一個人の意見として読んでもらえると嬉しいです。
ご意見、ご質問などありましたら、お気軽にX(旧Twitter)まで連絡ください!
それでは!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?