見出し画像

渋谷区/給食費無償化について(231020時点)

こんにちは、神薗まちこです。
本日で令和5年度第3回定例会が終了しました。9-10月のタイミングは令和4年度の決算を審議しました。ポイントになる部分は、またご報告してまいりますが、今日はクローズアップされている「給食費無償化」について。

こちらに関しては、本定例会で複数の会派が質問で取り上げていましたが、長谷部区長から「来年6年度4月からスタートできるように検討したい」という答弁がありました。担当する文教委員会でも請願をいただいていますので、その経緯についてもまとめていきたいと思います。

1:前提/会派(シブヤを笑顔にする会)の意見

前提として、シブヤを笑顔にする会は、「給食費無償化」については推進すべきという立場です。私が議員として在籍しているR元年度~R4年度までの会派予算要望書には「給食費を無償化されたい」という要望を入れていました。
しかしながら、R3年~R4年にかけて有機野菜や無農薬野菜を取り入れた給食を求める声を多くいただくようになりました。(一方でその頃、給食費無償化のご要望は一切いただいていませんでした。)

複数の保護者や栄養士さんからいただいた提案書の抜粋

こういった経緯を経て、R4年度6月の第2回定例会代表質問で、持続可能な環境をつくるというテーマで給食での有機野菜や無農薬野菜の導入について、目黒区の実践例などを踏まえて、提案しています。中々に厳しい答弁であったこともあり・・・

会派の中で様々な議論をした結果、まずは区への予算要望としては、給食食材の更なる質向上を優先させようということになり、R5年度の予算要望では、給食費の無償化は一旦要望をお休みした。という経緯がありました。

給食に関する会派要望の変遷(R3年度~R5年度)

2:前提/個人でのニーズ調査(issuesをいかして)※会派は関係ありません。

R5年度の予算要望書をR4年度10月末に提出した後の12月頃、私も選挙応援を行っていた品川区森澤区長が当選され、品川区でR5年度4月給食費無償化が実現されることが決まったあたりから、給食費無償化に対する議論がより活発化するだろうと感じていました。

とはいえ、私が直接ご意見をいただいていた保護者の方々からは、給食費無償化を積極的に推進してほしい。というご意見よりは、これまで通りの有料でよいから、給食の質を向上させる取り組みを積極的にやってほしいという声が多かったので、「そのほかの皆様はどうなのだろう?」ということで、直接的に面識がないけれども区民の皆さんにご意見を伺える「issues」という政策プラットフォームにトピックスを立て、ご意見をいただきました。

33名の方が反応してくださり、賛成は21名・反対は12名でした。件数はそれほど多くはありませんが、2:1で賛成の方が多かった状況でした。

賛成の方からは、以下のような観点のコメントをいただきました。
1子どもたちの食の安全を守るのは、大人の責務。生産者を守ることにもつながる。
2一部の食材からでも始められるとよい。
3子どもたちが有機or無農薬野菜を栽培し、それを給食に使う取り組みを。
4質の良い牛乳を。(回数を減らしてもよいので)
5放課後クラブのスナックは、おにぎりなどの副食に変えてほしい。

反対の方からは以下のようなコメントをいただきました。
①オーガニックの定義も曖昧で、品質の優位性にも疑問。
②無償化すると、質と量を維持できなくなる根拠が分からない。
③質の高い給食のためにコストアップするのか?
④オーガニック給食どころか、ワンダフル給食が子どもに不評なのでやめてほしい。

①に関しては、確かに「オーガニック」という言葉が曖昧さを生んでいるなと、ご指摘で感じましたのでこちらを受けて、「有機野菜・無農薬野菜」という表現を意識して使うようになりました。(すでに令和5年度へ向けた予算要望書は提出していたので文言がオーガニックのままで残っていますが、現在制作中の要望書は変更しています。)具体的には、有機JASマークがついている食材や「無農薬」は定義があいまいなので「特定栽培農作物のガイドライン」を農水省が出しているのでそちらをクリアしているものからと思っています。
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/tokusai_03.pdf
農林水産省も「みどりの食料システム戦略」で有機農業や無農薬農業の推進と学校給食の連携をを打ち出しています。https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/

②に関しては、給食費を区のどのような事業よりも一番最優先されるものとして設定できれば、無償化したとしても質量を維持できるかもしれません。しかしながら、他にも執行しなければならない事業がある中で、予算は限られるものです。その中で現在、物価や光熱費の高騰が続いてます。無償化するならば、最低でも12億(教育費予算の1割程度)の予算を維持しながら、量と質を継続的に保つのは、結構大変なことだと考えています。(国が早く、動き出してくれたら・・・と心から思います。)ので、この点に関しては、給食費無償化が来年4月~進むのであれば、余計に具体的な試算をし、どれくらいの予算が増額されるのかをしっかり検討していきたいと思っています。

③に関しては、保護者の皆さんには今以上の費用負担をお願いするということはない。という前提で提案させてもらっていました。コストアップするならば、区の予算から。ということで検討していましたし、目黒区の事例を伺うとコストは現状維持のまま、じゃがいも・人参・玉ねぎなど、大量に調達がしやすく、給食でもよくつかわれる食材から始める。という好事例なども教えていただいていました。

④ワンダフル給食がお子さんに不評との声も1件いただきました。世界や日本の食文化を知るということがテーマになっているワンダフル給食なので、食べなれない味や触感などもあり、苦手なお子さんも一部いらっしゃるのかもしれません。先日の文教分科会でも、子どもたちからの好評の声を聴きましたし、我が子や周りのお友達も毎月ワンダフルを楽しみにしているといった話を具体的に聞いています。服部専門学校の先生方と、多くのお子さんたちが美味しいと感じていただけるよう、研究を積み重ねてもらうようにご意見は伝えています。

(ちなみに、私はissuesのトピックスはマニュフェストをあげる場所としては使っておらず、政策を考えていく過程として、様々なご意見をいただく場として利用しています。とある議員の方が都度、私のトピックス画像をあげ、「●●を、神薗が推進しようとしている!」と勝手に投稿を何度もされているのですが、あくまでマニュフェストや提案すべき政策を検討する途中段階のものですし、マニュフェストに関してはホームページに掲げているものになりますので、ご承知いただければと思います・・・)

この調査によって、前提として「現状の給食費(低学年251円、中学年(265円、高学年280円、中学生338円)を払い続けてでも、子どもたちに安全な食材をしっかりと提供してほしい」と思っている保護者の方の割合が多いということが改めて分かったこと。「オーガニック」という曖昧な言葉ではなく、農水省などが指定している有機JASマークなどの素材を取り入れるといった表現が適切であること。
また、給食費を無償化するのであったとしても、安易に進めるのではなく、これまで通りの質を最低限維持できるのか、さらには質を向上させる取り組みなどは実施できるのか?といった検討は必須であることが分かりましたので、その意向を会派の方向性に反映させていただけるよう、会派の皆様ともこれまで議論させてもらっています。

3:給食費無償化を求める請願に対して(第1・2回定例会の審議)

給食費無償化に関する請願は、以下2回提出されています。1-2のような背景もあり、給食費無償化に関して推進するのであれば、様々な観点で慎重に議論をした上で判断すべきという立場で

R5年度第1回定例会
小中学校の給食費の無償化を求める請願」ということで、令和5年3月10日受理、学校給食無償化プロジェクトからの請願でした。「区立小中学校の給食費を無償化すること、また私立小中学校に通う子どものいる世帯に対して、同程度の給食費の助成を行うこと」とありました。

請願に関しては、以下のように意見を述べ、会派としては「不採択」とお伝えしています。

こちらのnoteにも詳細を記しています。

R5年度第2回定例会
「区立小中学校の給食費の無償化を求める請願」ということで、令和5年6月12日受理、学校給食無償化プロジェクトから、区立小中学校に特化した請願項目に変更され、提出されています。

私が委員長を担当させていただいてる文教委員会で、請願を審議させていただき、結論としては「継続審査」となりました。

給食費無償化が23区内でも広まっており、渋谷区においても議論が進んでいます。本会議での質問でも複数会派からあり、区長の答弁でも「本来は国で行うべきものだが、他区の状況も鑑みながら検討している。来年・再来年を目途に考えている。」と具体的な発信がありました。また、議会の会派の代表が集う幹事長会でも自民党から、「国策として給食費無償化を迅速に実施する」ことを、特別区議会議長会を通じて国へ要望するよう提案が出され、全会派一致で賛成され、提出することが決まりました。

さらに、所属する文教委員会で給食費無償化を渋谷区に求める請願が出ましたが、こちらに関しては、国への要望を議会としても一致で出していることや区も検討という答弁もあったので、性急に区へ無償化の対応を求めるということではなく、国への要望の状況等も踏まえ、時間をかけて審議したいという意見が複数あり、継続審査と決定しました

こちらのnoteにも同様の文章を記しています。

4:第3回定例会での給食費無償化を求める請願に対して審査について

本定例会(R5年度第3回定例会)で、前段書いていますが本会議の質疑の中で、長谷部区長から「R6年度4月から給食費無償化を実施する」という、明確に時期を示す答弁がありました。

それを受けて、文教委員会で「継続審査」となっていた請願について審議を行い、結論としては再度「継続審査」となりました。今回は2回目の「継続審査」ということもあり、請願者の方々にしっかりと進捗の様子が伝わるよう、また住民の皆様にも傍聴・議事録等で確認いただけるよう、委員会を開いている中で各会派の意見を述べていただきました。こちらの進行に関しては、委員会休憩中の話し合いで、それぞれの会派が意見を開会中に伝えた方が、請願者の方々へ誠意が伝わるということで一部委員より提案いただき、全会派が快くご理解くださった結果となります。(休憩をしているタイミングの議論は傍聴が出来ない・議事録に残りませんが、委員会を開いている際の議論は全て住民の皆様も傍聴でき、議事録に残ります。)

全ての会派が「給食費無償化に関して、渋谷区でも推進すべき」というご意見でした。すぐに本請願を決着し、議会として意志を表明すべきであると、立憲国民渋谷と共産党の会派から意見ありました。一方で、区長が来年度4月と明言しており、それまでに期間があるので、対象になる範囲が区立小中学校の児童生徒のみでよいのか?といった点や、物価高騰の影響を鑑みてどれくらいの予算が必要となってくるのか等、調査研究を行ったうえで結論を出したい。といった意見が、自民党・公明党・維新・シブヤ笑顔からありました。

委員会としては、継続でという意見が多数だったので「継続審査」ということで決定しています。

また、本会議最終日に須田議員から動議が出され、本請願に対して委員会の中間報告の提案がありました。「委員会の中間報告をする・しない」という採決がはかられ、シブヤを笑顔にする会は反対の立場を取りました。私は委員長という立場でしたが、離席をして採決をお任せする形ではなく、意見を「反対」と表明させていただきました。

理由は、既に文教委員会で「継続審査」に関して、前段にも記載しましたように、委員会に所属する各会派が委員会開会中に傍聴・議事録に残る形で意見開陳をしております。よって、請願者の紹介議員となっている会派の皆さんは文教委員会に所属されていらっしゃるため、請願者にも状況はタイムリーに伝わりますし、住民の皆様にも議事録の形で経緯が公表される状態にありました。よって、私は「特に必要があると認めるとき」という判断には至りませんでした。

本会議の中間報告に関しては、議会の会議規則第44条に「特に必要があると認めるとき」とあります。委員会が定例会毎に継続審査を繰り返し、結論を出さない場合などが、「特に必要があると認めるとき」にあたり、そういった案件に対して、委員会に説明を求めるものが中間報告となります。
規則では、説明を求められた委員長も採決の場にいて賛否出してもよいのですが、これまでのケースでは離席し、自身は賛否しないというケースもありました。


給食費無償化に関しては、来年度の4月からしっかりと実施できるように、対象をどのように考えるか(対象範囲によっては運用に係るコストも鑑みる必要があります)、また物価高騰などで食材費や光熱費も上がっていますので、現状の食材の質・量の維持を最低限担保することを前提に、どれくらい予算が増えるのかといった点、時限的な対応にするか、国等が動くまでは恒久的な対応にするかといった点なども鑑みながら、より良い形で進められるよう、議論・審議していきたいと思います。



いただいたご支援は、渋谷papamamaマルシェの活動資金(イベント運営費用、取材、見守りボランティア謝礼など)として使わせていただきます。