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遺族厚生年金と中高齢寡婦加算

夫が死亡して遺族厚生年金を受けらえるようになった際、妻にいわゆる中高齢寡婦加算という手当が加算される場合があります。(厚年法62条)

中高齢寡婦加算の金額は、遺族基礎年金額に4分の3を乗じて得た額となります。つまり、780,900円(遺族基礎年金額)×0.75=585,700円/年(50円以上端数切り上げ:令和3年度)。(厚年法62条)

遺族厚生年金の額に加算されるわけですから結構大きな金額ですよね。


中高齢の加算には夫と妻それぞれに条件があります。

死亡した夫・・短期要件(厚生年金加入中又は1,2級の障害厚生年金受給者又は厚生年金加入中の初診日から5年経過していない傷病で死亡)に該当するか、長期要件の場合は厚生年金加入期間が20年以上必要です。つまり短期要件に該当せず、厚生年金加入期間が20年未満の場合は加算されません。

死亡した夫の妻・・夫が死亡した時に40歳以上。または、40歳に達した時に遺族基礎年金を受給している(一定年齢の子がある)。つまり、夫死亡時に40歳未満であって子がいない場合は加算されません。

ちなみに、40歳に達していても遺族基礎年金を受給中は中高齢寡婦加算は支給停止になり、遺族基礎年金が終了してから再開されます。(厚年法65条)

中高齢寡婦加算は65才到達時に終了します。これは妻の老齢基礎年金が併給して受け取れるようになるためです。

昭和31年4月1日生まれの妻は65歳以降も経過的寡婦加算が支給されます。(昭和60年改正法附則73条)


65歳以降の遺族厚生年金は、中高齢の寡婦加算が無くなり、遺族厚生年金部分も妻の老齢厚生年金との調整(いわゆる先あて)になるため、それまでの遺族年金額から大幅に減ってしまいます。

老齢基礎年金+老齢厚生年金+遺族厚生年金(先あて後)の合計がこれまでの遺族年金の総額より上回ればよいのですが、老齢基礎年金が中高齢寡婦加算(585,700円)より低い場合、65歳前の遺族年金額より、65歳以降の年金総額が低額になることもあります。


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