Kenzie Ohara

50代で早期退職し、後の人生を迷走迷想瞑想中。 自分にできることと得意なこと、やりたい…

Kenzie Ohara

50代で早期退職し、後の人生を迷走迷想瞑想中。 自分にできることと得意なこと、やりたいことが頭の中を錯綜中

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エッグプラント

〜パープル〜  「フリーランスという言葉が嫌いだ。語感に自由気ままに好きなことして生きているようなニュアンスだけが誇張されている。是非ともそんな自由に仕事しているフリーランスの統計をとってもらいたい。多分数パーセントにもならないのではないか?これは私の体感的なものだが。超がいくつついても誰も違和感ないほどの超絶有名人が『好きなことで生きていく』とか発信するのは無責任だ。そういう何億円も稼いでる輩に唆されて、年収数百万円で地べたを這いずり回ってる人間を何人も知ってる。誰の心に

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      〜ホワイト〜  カオリに指定された夜、待ち合わせの六本木ツタヤ併設のスターバックスに向かったがそこは改装中だった。見たところ大規模な改装工事中のようだ。時計の針はちょうど待ち合わせ時間の夜の7時を指していた。「待ち合わせのカフェはもう潰れてなかった〜♪・・改装中だけど」 真矢が子供の頃母親がよく聴いていたピチカードファイブのヒット曲のメロディに合わせて口ずさみながら一人でうまいことを言ったような気がしてほくそ笑んでいたところにラインメッセージが届く。 「ごめ〜ん。」「今そ

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        巻末付録 ~NGトーク集~ ①(カオリ宅のリビング) 「ねぇ、真矢。そういえばさ、あんた、あんまり浮いた話ないよね。大学はあんまり馴染めてなさそうだったのは知ってるけどさ、本当に何にもなかったの?」 「え〜?ないよ〜。」 「本当に?あなた、まさか未経験なの?」 「やめてよ、もう。」 「別に恥ずかしい話じゃないじゃん。チャンスがなかったってだけなんだから。」 「いや、だから私も27だよ?んな訳ないじゃない。」 「えー、何?聞いてないよ、その話!」 「言ってない

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          〜バイオレット〜 親愛なるカオリへ  あの日、カオリに痛いところ突かれてよくよく考えてみたんんだよ、自分について。あなたが言ったように、私が本当に本気でやりたいことって何だったんだろうってね。  物書くの好きだからかな、2~3000字くらいの文章なら書くの全然苦にならないから、ついつい手を出してたのかも、今思えば。ただ、誤解してほしくないのは、ネットニュースやゴシップ記事で生計経ててる人もいっぱいいるし、読者がついてるってことなんだから、そのお仕事自体を否定されるべきも

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        エッグプラント

          エッグプラント

          〜ターコイズ〜 「わー、久しぶりだね!もしかしてちゃんと揃うのって大学卒業以来?」  蒼は屈託なく挨拶してきた。横にいる男は妙におどおどしているように見えたが、マヤには見覚えがあった。 「あ、あのグリーンモンスターなの?蒼のお相手って。」  多分いつものように独り言が言葉に出ていた。蒼の横にいる上から下までビビッドなグリーンに覆われたその男は、あの日のスターバックスで異彩を放っていた、隣に座っていたあの男だ。今日の会食で知ることになるのだが、その界隈ではなかなかの有名

          エッグプラント

          エッグプラント

          〜パールホワイト〜  京王プラザホテルのロビーまでエレベータで降りてきた二人は、軽くハグをして昨夜の余韻を最後に確かめ合ってから、男はタクシー乗り場に向かい女は新宿西口方面に歩みを進めた。ハグをした1秒後からその様子を見た人は誰一人としてその二人が同じ部屋からチェックアウトしたとは思わないだろう。  男の名はミシェル、フランス国籍のダンサーだが、最近は少し体の動きにキレがなくなってきていることを実感している。もちろん彼の不摂生がなせる自業自得の所業なのだが、日本人の奥さん

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          エッグプラント 外伝

          ~レッド~  グリーンシグナルの歩行者信号が点滅を始めた。  季節外れにカラッとしたビル風が吹く国道246号線と外苑西通りの交差点をフランフランの大きなバッグを抱えた女性、貴婦人と呼ぶにはカジュアルな、かといって女性とだけ形容するには勿体ない高貴な雰囲気をまとう女性が、足早に交差点を突き進む。彼女は~見るからに街歩きに不向きなデザインのように思える~紫色の大きなつばに同色の羽飾りがついた帽子を目深に被り、少し厚手の丈の短いバナナリパブリックと思われるグレーの半袖Tシャツを

          エッグプラント 外伝

          エッグプラント

          〜ブラック〜 「ねえねえ、ミドリちゃん〜。焼きナス発明した人って天才だよね。」  七輪の上で焼かれる茄子のヘタを割り箸でつまみ、吊し上げたらナスは力なく下にだらりと垂れ下がった。皮をポロポロと剥がしながら、クロキは続けた。 「そうそう、こないだの企画すっごく良かったね。同時間帯のTwitterトレンド世界1位に入ったんだってさ。いや〜、ミドリちゃんさすがだよ。」  ミドリはちびちびと焼酎ロックをすすりながら、時差があるので日本のプライムタイムのTwitterトレンド1

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          〜グリーン〜 「あれ、朝ごはん食べないの」  蒼はシリアルをボウルに入れながらきいた。 「うん。今日は朝からカフェで仕事に集中したいんだ。なんか『いい感じ』なんだよ。」  蒼は冷蔵庫から牛乳を取り出してボウルに注ぐ。 「早く終わりそうなの?だったら、晩御飯一緒に食べようよ。今日はせっかく私の貴重な平日休みなんだからさ〜。」 「そうだね。また後でラインするよ。」  表参道のアップルストアの脇を入ってすぐのところにあるスターバックスの二階の壁際の長椅子でミドリは旧式

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          エッグプラント 外伝

          〜サクラとウメの小さすぎる奇跡〜  夢を持つことは誰にも止められない。しかし、夢を叶える為にはストレスは不可避である。それは、世間体であったりアンチの存在であったり、時にはそれが身内であったりもする。それでも人は夢に立ち向かう。  芸能事務所サターン、この事務所は揉め事を起こして大手芸能事務所を退所した漫才師が立ち上げたいわゆる個人の弱小芸能事務所だったが、苦節20年世間の認知を得て、設立20年目にして芸人養成所を開設することになった。そして、その第一期生の1年次ネタ見せ

          エッグプラント 外伝

          スペース中間管理職

           シリウス星系に向かう交易船レンジャー号が航行中に異常な重力を感じてから既に48時間経過していた。 「おい、まだ分からないのか?」  船長のトミイはイライラを抑えきれない。  ブリッジのアオタは額に汗を滲ませがならキーボードを打ち続けている。  そして、眉間に皺を寄せながらカチンとエンターキーを押したのち画面に現れたのは絶望的な内容だった。他のクルーはブリッジの大画面が映し出した絶望的な内容をただ見つめるだけだった。  操縦士のアカノは思わず笑ってしまった。「おい、

          スペース中間管理職

          ルビー・カカオの前日

          ↑に勝手に乗っかりました。サイドストーリーというか、その前日の話です。 四人も乗れば満員になりそうな小さなエレベータを降りて、人がようやくすれ違えるような幅の廊下を進んだ先にあるそのお店の名は「キャンディ」見た感じはいわゆる場末のスナックだ。 〜ハロウィンの夜にやって来た体がゴミのゴミ人間、ひどいにおいさ〜 2020年に大ヒットした作品のテーマソングだが、かれこれ100年以上この店で歌い継がれている。 ルビー・カカオは今ではこの街イーストゴッタンシティで二番目に大きな

          ルビー・カカオの前日

          TAI-YAKI  〜夢幻鉄道〜

          #西野亮廣エンタメ研究所 #短編小説 #絵本原作 #夢幻鉄道 こちらの小説は完全なオリジナルではなく西野亮廣さんの絵本の次回作である「夢幻鉄道」をモチーフとしたサイドストーリー的な短編小説です。 オンラインサロン内では新作絵本のプロットなどが公開され、メンバー全員で意見交換したりしています。 TAI-YAKI 〜夢幻鉄道〜〜2019年6月 広尾のマクドナルド〜 広尾のマクドナルドで学生時代から50年来の友人女性三人で尽きることなく話し込んでいる。イメージがつかないだろ

          TAI-YAKI  〜夢幻鉄道〜

          〜2051年1月1日〜

           年が明ける直前までは130回目の紅白歌合戦を見ていた。  年越しを確認したが、幾多の終末予想を繰り広げた2039年よりも2050年は「しれっ」と終わり、2051年のお正月は当たり前にやってきた。僕は俗に言うミレニアムベビーと呼ばれた2000年生まれだから、今年は51歳になる年だ。平成だと12年生まれ。  年末まではどうせやることがないので、ずっと下らないが時給が割増になるので、12月末まで仕事を入れた。今日からやっと年末年始休みだ。もっとも年末は終わってるけど。  い

          〜2051年1月1日〜