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はつひかり



 元日にちゃんと計画をたてないと、ロクな一年間にならないよ。
 先人は、かくも大切な教えを後世に残している。
 「一年の計は元旦にあり」という言葉を、1月1日の23時頃に思い出す…という失敗を、ここ5年ばかり繰り返している。
 あわてて一年の目標を考えて、ばたばたと元日が終わるのは情けないものだ。
 今年こそは、素晴らしい一年の計をここに打ち立てよう。
 そうしなくては、私が春夏秋冬の麗しさに心奪われているうちにぼんやりと時が通り過ぎてゆく。
 そんな2021年が容易に想像できるからこそ、私は本日に全てを懸ける。
 とにかく、今日。
 一年の計は、今日!!!

 年末の大掃除はしない宣言をしたくせに、大晦日は結構真剣に掃除をした。
 少しはさっぱりとした部屋で始まる一日、きっと素敵な計が立てられる。
 掃除して、良かった。
 片付いた部屋に、お正月のお花を飾った。
 新春という言葉がよく似合う花の淡い色合いは、寒い冬日を明るく彩ってくれる。
 

 ところで、先月飾った花束の中にちょっと変わったお花があった。
 名前はわからないが、明るいピンク色のフワフワとした花びらが上に向いていて、可愛らしい。
 その勢いのある様子を見て、勝手に「鬼滅」と命名して楽しんでいた。
 老若男女の心を揺るがし続けるあの物語のように、雄々しく華やかに!! 
 私の願い通り、「鬼滅」は生き生きと咲き続けた。
 
 「鬼滅」が家にやって来てから、三週間が経過した。
 切り花なのに長持ちだね、よく頑張ってるねー!などと褒めていたのだが、段々不思議に思い始めた。
 いくらなんでも、長過ぎる。
 葉っぱの先とか萎れかけているなら納得できるが、どこもかしこも瑞々しい。
 名前の効力のせいだろうか。
 それならば、ぜひとも部屋の主である私に全集中力を授けて欲しいものだが、そんな能力はないようだ。
 だがまだ、枯れない。
 枯れる気配すら、ない。
 可愛いけど、少し怖い。

 年が明けた今朝も、「鬼滅」は相変わらず咲いている。
    切られてから、1ヶ月近く経っているのに。
 2021年、困難にぶち当たった時に、私はこの花を思い出そう。
 小さな花瓶の中に切り取られても、いつまでも平然と上を向いている謎の花。
 不可解なほど元気に、私も立ち上がり続けよう。


 明けまして、おめでとうございます。
 皆さまにとって、嬉しいことがたくさんの年となりますように。
 本年も宜しくお願い致します!!




読んでくださり、本当に有難うございました。 あなたとの、この出会いを大切に思います。 これからも宜しくお願いします!