象徴的日記 2017.10.13

彼の母親は運転が得意だった。彼女自身、それは疑いようのないことだと思っていた。何年も無事故で済ましてきた実績もある。しかし、過去の遺産が彼女に油断を与えた。
その日、車には父親以外の家族が乗っていた。つまり、母親と彼と彼の兄弟だ。それは雨が槍のように地面に投げられている日だった。母親は仕事でひどく疲れていた。昔であれば、このくらい何ともない。彼女はそう自分に言い聞かせていたが、実際、明らかに疲労は表情に表れ、あくびが止まらなかった。
彼は何度も「運転を変わろうか?」と助手席から提案した。母親は「大丈夫」と言った。彼女は自分を信じていた。また、内心、彼に運転させるくらいなら、いくら疲れていたって、自分の方が安全だと思っていた。そう、彼はペーパードライバーだったのだ。
しかし、強く張り詰めた糸はいつかは必ず切れてしまうものだ。爆音が聞こえたかと思うと、彼女の車は強く電柱にぶつかり、すでに大破していた。そのとき、彼女は無意識だった。
載っていた家族に幸い死者は出なかったが、みな重症を負った。結果的に、その後の家族はもう普通の生活をしていくことはできなかった。彼は後遺症で歩けなくなり、彼の妹は顔にひどい傷を負った。彼女は無理をした自分を何度も何度も責めた。しかし、時間が巻き戻されることは決してなかった。事故は止められなかったのだ。