象徴的日記 2017.05.03

夢から覚めて、トイレに行くと、モディリアーニの絵が飾ってあり、パリの真っ赤なカフェにもう一度行くことができた。その赤さは、女の色でも、光の色でも、壁の色でもあるのだが、何より血の色であり、ぬるいビールと相まって、とにかく苦く感じるのだった。ふとあなたに書いた手紙と書かなかった手紙を思い出した。もうフランス語は話せない。どうしてかはわからない。ただ赤いカフェにいて、顔の見えないあなたに向かって、トイレから通じない言葉を投げかけている。モディリアーニが描いたのは実際の人物をモデルにしながらも、激しく理想化され、誇張されたイマージュだった。その女がモンマルトルの赤いカフェで永遠にビールを飲んでいる。