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「『YMOのONGAKU』のDAIGAKU VOL.1」 at DOMMUNE 2019.4.1(MON)

先週2019.4.1(MON)のDOMMUNEは藤井丈司(著者/音楽プロデューサー/アレンジャー/シンセサイザー・プログラマー)による著作『YMOのONGAKU』のDAIGAKU特番VOL.1でした。

そこで気になったことを列挙してみました。

※著者の藤井丈司さんはYMOのアシスタントを『増殖』から散開までやっていた方で、その後サザンオールスターズ『KAMAKURA』、玉置浩二「田園」、ウルフルズ「明日があるさ」などに携わった現音楽プロデューサーです。

◎マーティン・デニーとエキゾチカの話。
YMOのコンセプトはアメリカのラウンジジャズをエレクトロニックミュージックにしたらどうなるか、の話。
ディスコとエキゾミュージック。マーティン・デニーの「ファイアークラッカー」をカヴァーの話。

◎社会現象となりモンスター化した初期YMOに嫌気がさし、「NO!」を突きつけた坂本龍一さんの『B-2ユニット』。
そのことが結果的にYMOの方向性を大きく変え、バンドの第二章に導き、その後83年まで延命させることになった

◎DOMMUNE宇川さんは、小5の時に放送部で昼休みにYMOの『増殖』をかけまくっていた。これは結構その当時では各地でよくある話ですねw その後、坂本龍一のラジオ『サウンドストリート』にて『増殖』の本質を知る。

◎YMOは最初期にフュージョンバンドだと思われていた。

◎デトロイトに最初にYMOを紹介したラジオDJはElectric Fine Mojo。
デトロイトに1978年にすでにYMOが紹介されていた。
アトキンスもデリックもそれを聴いていたという話。

◎ アフリカ・バンバーターのアルバム「DEATHMIX」は、「ファイヤークラッカー」を、レコード2枚かけループして流していた。

◎アフリカ・バンバータ話から坂本龍一「ライオット・イン・ラゴス」from 『B2-unit』の話に。田中フミヤがDJの時によく使っていたりケン・イシイがMIX-UPにも入れたりとにかくみんな大好きRiot In Lagos。

◎フライング・リザーズのデヴィッド・カニンガムがまだパンクという新しい音楽があるという話を噂でしか知らなかった頃に、ラジオで「I FEEL LOVE」を聴いて「これがパンクか」と思ったっていう話。ドナ・サマー、ジォルジオ・モロダー。

◎Dennis Bovellのインタヴューにて、坂本教授がプロフェット5でRiot In Lagosのベーシックトラックを独りでつくる様子が語られていた話。デスニ・ボーヴェルのスタジオでまだ当時子供だったスリッツのアリ・アップが走り回って坂本教授に怒られたという話。

◎最初はfusionバンドだったKYLYNの話。

◎楽曲『コンピューター・ゲーム』が、その名前に反してすべて手打ちって話。
3人でテーブルを囲んで録音したという。

◎Holgar Czukay "Persian Love”の話。

◎シンセ、エレクトロミュージックがプログレ、フュージョンの文脈からパンク、ニューウェーブへ移行していく流れの話。

◎『B-2 UNIT』こそが、これまた日本の一つのポストパンク、NWの先駆けだと。
日本発のこのエクスペリメンタルダブは驚異的だという話。時系列的にいって。

◎坂本教授はロンドンに行った時にスロッビング・グリッスルのPオリッジに会ってYMOのTeeを渡した、そしたらその後に撮影時に着てくれてたとう話。

◎細野さんが徹子の部屋に出た時に、最近何聞いてますか?と黒柳徹子に問われ、スロッビング・グリッスル聴いてます、というちょっと凄いギャップの話。お昼時のああしたマスな番組にスロッビング・グリッスルというワードが流れるという。
徹子の口から『Throbbing Gristle のYMOの感想』を細野さんに伝えるという奇跡的な場面の話。

◎スログリの話だと、教授はやはりその感性のアンテナの種類、深度からしてそのあたりのポストパンクやジャンク、スカム系統の辺境も当時よりいってたらしく、TGのAdrenarineかけてたりもその後Flying LizardsとかPop Groupとかもラジオでかけてたという話。

◎『B-2 UNIT』に一番影響与えたのは多分XTC「GO2+」という話。

◎リールテープの話で、テープ切り張りといえば一つの頂点が
Adrian SherwoodプロデュースのPOP GROUPのMark Stewart +Mafia "Learning to cope with Cowardice”かな、という話。

◎このアルバムの多様性の中でのDUB的要素の話から、B-2 UNIT のスペシャルサンクスにドン・レッツの名前も入っているのも重要という話。DON LETTS、初期はパンクのレコードのリリース自体が少ないからレゲエかけていたんだけど、そのうちパンクのレコードかけてもレゲエの方をみんな聴きたがったっていう。

◎THE POLICEってバンドはレゲエとロックが合わさってNWになった最高の例の話。
メロがレゲエで、ビートはロックでという話から、矢野顕子さんの在広東少年は影響受けてるんじゃないかな、という話。

◎この頃の矢野顕子さんはエロいという話。

◎坂本教授のポストパンク志向でいえば、デビッド・カニンガムの存在が大きいのでは、そして矢野顕子がその方向を避けるように坂本さんを軌道修正させたのではないか、という話。

◎教授のprophet5の音色が最高だという話。

◎スリッツのマネージャのドン・レッツの存在、彼はロキシーのオーナーの一人だった。
親がジャマイカ人なのでその影響下にてパンクのバンドのギグの合間にレゲエをかけていた、それを聴いてたクラッシュがレゲエ/ダブ化する、そうしたイギリスパンク〜ダブ混交の歴史の話。

◎FLYING LIZARDSのFOURTH WALLをかけながら、それは確実にYMOの『テクノデリック』のサンプリングに接続するんじゃないかという話。

◎YMOのツアーにてギタリスト大村さんが不在の時があり、代わりに藤井さんが出る際の話で、「譜面は見ていたけど、ギターで弾いたことはなかった。1音ごとにちがうコードが付いてて、こんな難しいのか! 大村さんが弾いていたソロのパートに来たら坂本さんから〈弾かなくていい〉と合図が出た」という話。

◎ペンギンカフェオーケストラの話。

◎B2-unit 1曲目のドラムはmori ikueさんのノングルーヴドラムを模しているような、、坂本龍一さんは確かDNAも聴いていたはずでVarious NO NEW YORK(Brian Eno produce)も重要ですよ、って話。

◎NWは下手でもできる、やってよかった、そしてその一環でのシンセの使用とか、それも置き換えの一種だという話。

◎ブライアン・イーノ、デビッド・ボウイの話。イーノはボウイの『LAW』やスロッビング・グリッスル、DEVOなどとの作品で先進的なポップを推し進めつつも、また一方ではU2やコールドプレイのメジャーなバンドともやり、更にはまた別の軸としてアンビエント(環境としての音楽)も実験音楽も十全にやってしまうという、それはYMOともカブるとこだよねって。イーノといえは卓球さんも大好きYAMAHA DX7。

◎エキゾチック、フュージョン、ロック、グラム、ポストパンク、現代音楽、クラシックにゲーム音楽、ノイズ、エレクトロ、歌謡曲まで入ってるんだからYMOは奥が深い。

◎レック(フリクション)とモリ・イクエが一緒にNYに行った話。
のちにレックは帰国しフリクションをモリ・イクエはアート・リンゼイとDNAをやる。
TEENAGE JESUSの話も。

この辺りからポストパンク、ニューウェーブの話によりシフトし、ボウイが最初出てきた頃の衝撃の話になり、スターマンとかあの辺のセンス、男が美しく化粧してバイセクシャルまたは両性具有的な魅力も地下シーンから表に出てきたという話、からのニューロマンティック、グラムロック、ゴシックパンク、ポジティブパンク、の流れへ、もっと時間があればあのままパンクからの文脈のハードコア、スカム、アヴァンギャルド、ノイズ、またビートや構造がパンクではないけれどその各要素/ジャンル(便宜的に言う処の)流れへ行ってたかもしれないけ残念ながら時間切れ。

◎ヨーロッパのデカダンスの話。
戦火を自国の領土でもろに浴びたヨーロッパからデカダンスなど陰鬱な表現が出てくるのは必然というか理解できるという話。アメリカとの感覚の違いの話。

◎欧州のデカダンスの闇、その歴史の体積は深いが、日本は日本で固有のいびつな形の変化の仕方があるという話。
例えば70年代のバンド、村八分はVoの柴田(チャー坊)がサンフランシスコから帰国する時に当時は合法とされたアシッドをリュックサックいっぱいに詰め込み持ち込んだ後の影響もあるのではないかと。つまりストーンズのコードよろしくブルース由来のコード展開が海を渡り人種のフィルターを跨げば普通にカラっとヌけて能天気だけだろうと思われるのに、どこかいびつなサイケデリアを感じたと、大まかに言えばこんな感じの宇川さん談。

◎紅蜥蜴(のちの有名なパンクバンドのリザード)はグラムの影響で眉毛を剃っていた。
その話の流れ、グラムからの文脈でゴス、ポジパン、そしてAUTO - MODの話へ。

◎Visage、Ultravox、Soft Cellら一連のNew Waveの話へ。
VisageのMVを見つつ、肩パッドが入ったジャケットを着て両腕をぶらんと脱力して振る当時の流行の話。

Visageの『moon over moscow』はモロYMO。CUEと言えばウルトラヴォックス
初期ヒューマンリーグやヘヴン17の話。

◎80年代のイギリスのBAT CAVEというクラブの話。

◎僕も本当に心底憧れる、正に憧憬そのもののDavid Sylvianの話。坂本教授とJAPAN話。

Blonde Redhead feat.David Sylvianの話。
耽美系のバンドスタイルとベストマッチング、幽玄なる美しさ。
Blonde RedheadはDNAの楽曲からとったバンド名。

◎YMOのCamouflageが流れる。
これはデリック・メイのフェイヴァリット。
『BALLET』も流れる。

◎アルバム『BGM』『TECHNODELIC』は従来のYMOファンを切り離したというより日本を切り離した。
英国NWの若いバンドと共振して世界に出ていく方向を選んだ。

◎未来の音楽だ! の話。
石野卓球は子供の頃に親に連れてってもらった縁日でYMOのカセットテープを買ってもらって、の発言。

ドナ・サマー「I Feel Love」を聴いたブライアン・イーノがデビッド・ボウイの部屋に駆け込んできて、これが未来の音楽だよ!って言ってたいう。ジョルジオ・モロダー偉大だなという話。

◎Sandiiの声って特別だよねって話。

ざっとこんなとこですか。
ほんと趣味どツボな話ばかりだったので最高でした。

YMOも3人のソロや関連音源もポストパンクもNWもダブもグラムもニューロマもゴスもポジパンもシカゴもデトロイトも一連の文脈でまた今一度回顧してみようと思いました。同時代的に何が並走していたのか、考えると面白いですよね。

YMOはどの時期もほんと大好きだけど、『BGM』『TECHNODELIC』はやっぱ特に想い出味わい深いです。

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