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最終版「好きなマンガTOP10」

今回が最後です。1位~3位についてレビューしていきます。

1位 東京トイボックス
2位 大東京トイボックス
3位 G戦場ヘヴンズドア
4位 蒼天航路
5位 監督不行届
6位 鉄腕ガール
7位 ストッパー毒島
8位 ルーザーズサークル
9位 ピンポン
10位 サンクチュアリ
次点 ろくでなしBLUES

「G戦場ヘヴンズドア」

「少女ファイト」で有名な日本橋ヨヲコ先生の不朽の名作

主役は堺田町蔵長谷川鉄男

堺田町蔵
父は大ヒット漫画家の坂井大蔵。
太蔵の商業主義的なマンガを蔑視しており、親子関係は険悪(というか町蔵が一方的に嫌っている。)
何者でもない自分や周囲のすべてに苛々を募らせている。

長谷川鉄男
一方の鉄男は、天才的なマンガの才能を有しているが、
感情をうまくコントロールができず、時に狂気を孕んだ一面をみせる。
町蔵の原作をたまたま目にし、共作マンガをを描くことに。
病に伏した母親を見捨てた父親を憎んでいる。
(自分を認めて欲しいという気持ちもあり、この親子関係・感情は碇ゲンドウとシンジの関係性に似てます。)

それぞれ鬱屈とした想いを抱える、二人の少年の感情。
漫画に憑りつかれた登場人物たち、それぞれが秘める狂気。
それらが丁寧に描かれ、感情移入度の高いマンガです。

2人とも自分ではなく、相手方の父親とも接点があったりストーリーも巧み。(これが物語のキーになっているのです。)

加えて、割と長めな名ゼリフのオンパレード。
これこそが本作最大の魅力。

詳細は買って、その目で見て欲しいですが、
あるセリフの一節だけをご紹介。


かわいそうになあ。
気づいちゃったんだよなあ、
誰も生き急げなんて言ってくれないことに。
-----------------------------------------------------------------------------------これは漫画家という生き方を体現した名ゼリフ。
衝動的に描きたいものがあり、追い立てられるようにペンを走らせる漫画家という職業の過酷さと、そんな一握りの選ばれし者になる覚悟を問うようなセリフです。

「描きたいものがあるか否か」はこのマンガのテーマでもあり、
ある種の漫画家の孤独が浮き彫りになっています。

内に秘めた狂気じみた熱量に触れ、やっぱ漫画家ってずげえや!
特別な存在であると再認識させられました。

「まんが道(もちろん好き)」や「バクマン」など漫画家マンガは数あれど、もっとも熱く読み応えがあるのは、たった全3巻の本作で間違いありません。全3巻で完璧に完結していることに感動すら覚えます。
マンガ好きを自称する人で、まだ未読の人はこの機会に。

正直読んだ直後は感化されまくって「バクマンなんてクソだ」と思い、
周りの人にも、とにかく買いまくって布教してました。(累計10セットは買った。)

余談ですが、10年以上前に仕事で知り合った本田翼さんとお互いの好きなマンガを進めあって、全3巻をプレゼントしました。
本田翼に紹介されたマンガは・・・覚えてない。何だったかな。

「東京トイボックス」「大東京トイボックス」

物語の主人公は天才ゲームクリエイター天川太陽
ゲームを心から愛し、自らの手で最高のゲームを作ることに執着し過ぎる男。
常にゲームを面白くすること、面白いゲームを作ることに固執するあまり、周りから悪口や嫌味を浴びせられ、揶揄され、その上で来れなくなるチームメンバーが離脱し、ゲーム開発を中止せざるを負えなくなった過去がある。
大手ゲーム会社「ソリダスワークス」で居場所を失い、自由を求めて「スタジオG3」を立ち上げるが、自転車操業を強いられ、本来やりたいゲーム作りに向き合えていないのが現実。
そして「ソリダスワークス」を見返すことが一つのモチベーション。
(余談だが、ゲームの開発部門に勤めていた友人に聞くと大手でもザラにある話とのことでリアリティが凄いです。モノ作り系の世界のあるある話。)

そんな太陽を支えるヒロイン&パートナーが月山星乃
自他ともに認める”しごでき”ウーマン。
太陽が社長をつとめる「スタジオG3」に親会社から出向させられた彼女。
最初は毛嫌いしていた月山も、太陽や他メンバーの想いに触れ、この「スタジオG3」の業績回復を目指すことに。

前述したとおり、<お仕事もの>としてのディティールの確からしさ、
思わず熱くなるセリフの応酬が本作の魅力。

このマンガを読むと、
自分の想いを貫くこと、人を動かすこと、働くとは何か、
そんな意識を問いかけられてるような感覚に陥ります。

「東京トイボックス」は2巻での完成度は凄まじく、その分<できる人>にフォーカスしたある種のスタープレイヤーの物語
続編にあたる「大東京トイボックス」は、そんな<できる人>だけでなく、
<凡人>であるメンバーの成長物語の側面が強いです。

加えて、ゲームビジネス、大企業の出世争いなどゲーム業界絵巻としてスケール感のある展開に。
それでも続編にありがちな弛みを感じさせずに全10巻を走り切ります。

個人的に好きなのは、
同人ゲーム出身の「電算花組」と協業でゲームを作るシリーズ。
個性の違う両社が、ぶつかり合いながらも、お互いの強みを活かして立ち向かうことで、徐々に互いをリスペクトし合う展開が昂揚感溢れ、胸熱です!

何を表現したいのか。妥協はしていないか。
そんな想いを込めて、

「魂は合っているか」

太陽は自分に他者に問い続ける。


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