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RIP SLYMEを再評価してみないか。

2000年初頭、世紀末に幅を利かせていた女性ソロシンガー達がそれぞれの立ち位置に落ち着いたころ、(体感として)日本は空前のヒップホップブームとなった。

90年代からEAST END X YURIやスチャダラパーなどが日本にラップを認知させ、安室奈美恵が曲中で「楽しまなきゃ生きてる意味がない」とラップを披露し、当時小学生だった私は早口で喋るように歌うことがラップなのだなと思っていた。

90年代後半からDragon Ashやキングギドラが‟リアル"ヒップホップみたいなものを引っ提げて「featuring」という言葉を日本に持ってきた。それ以前は「篠原涼子 with t. komuro」だった。東京もしくは関東生まれHIP HOP育ちの兄ちゃんたちがどんどん出てきた。

そんな中、RIP SLYMEはユルくかっこよかった。大の大人が5人も集まって作ってるのにもう完全にユルかった。頑張ってないけどかっこいい。私はこのユルさが好きだった。なんてったってビートがいい。RIP SLYMEの曲は日曜の昼間にボーっとしながら聴くのもよし、掃除しているときにBGMとして流すのもよし、とにかく肩ひじ張らないで聞ける。歌詞も大したこと言ってないけど、日本語をここまで心地よくラップにできるのってすごい。

個人的に「かっこいい」の基準はどれだけ力が抜けているかだ。頑張ってかっこいいのは、かっこよくない。

“Effortlessly Cool”が一番かっこいい。

The Strokesなんてその最たる人たちの集まりだなぁと初期のアルバム曲たちのMVを見るたびに思っていた。

私の中ではこの“Effortlessly Cool”の対極にいるアーティストは長渕剛だと思っている。めちゃくそ熱いファンが多いレジェンドアーティストなのは否定しようがないが、私にとっては長渕剛はダサい。めちゃめちゃダサい。

2000年代も後半になるとやたらと感謝したがるヒップホップアーティストが増え、お涙頂戴もしくは応援ソングばかりになった中でも(熱帯夜くらいまでしか記憶にないけど)RIP SLYMEはゆるカッコイイというスタンスを変えなかった。(ONEは歌詞的には例外の自己啓発系だけどビートはメローでこれまた心地良い。)

そんなこんなで月日も経ち、新曲も出さなくなり、メンバーのマジでどうでもいい不倫があったりで、解散。

惜しいなぁ。実に惜しい。

まぁベストアルバム聴いてみてよ。

どの曲もイントロ最高だから。

イヤホンで聴くと尚良しだから。

MC4人それぞれ声質が違ってそれぞれいい味出してるから。

DJが奏でるビートがめちゃ良いから。

20年近く前の曲でも全然かっこいいから。

CDジャケットのイラストは20年前から赤塚不二夫スタイルなんだから。

昨今のおそ松さんブームもビックリなくらいトレンド超早取りだったんだから。

再結成しなくてもいいから。

みんなもう一度RIP SLYMEを再評価してみようよ。


追記: Dragon AshのKJとBOTS、RIP SLYMEのILMARIそしてスケボーキングのSHIGEOのSteady & Co.もかっこよかったので知らない人は是非。


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