それでも幕は再び上がった

2月に真空ジェシカのライブを観て以来、ぱったりとライブの感想は止まった。新型コロナウイルスによる外出自粛、緊急事態宣言と続いたから。密閉・密集・密接を「3密」とされ、劇場やライブハウスは言語道断で営業停止を余儀なくされた。お笑いライブが再開し始めたのは6月中旬のこと。いても立ってもいられず、お笑いライブ制作のK-PROライブ復活第1弾に足を運んだ。

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オールリスタートおしまい。演者さんがみんな緊張していて、みんな活き活きしていた。特に漫才組は楽しそうだった!井口さんとか清和さんとか、あとまんたな先生がはしゃいでいた。劇場はこの目で全部が観れること、この目で全部をみなくてもいいことが良い。定点カメラは全部を見てしまうからね。

K-PROの配慮は消毒、客席清掃、写真撮影、VTR、入退場案内、追い出しの挨拶、隅々まで行き届いていて、そこにシステムではなくむしろ人を感じた。こんなに施してくれるなら心強いというか、安心だなあ。従来と違ってやりにくいことも多々あるだろうに、児島さんもスタッフさんもありがとうございます。

今日のオールリスタートをすごくすごく楽しみにしていて、一部二部とも確保したんだけど。他劇場の解禁情報を聞いて、逆に不安が込み上げてきてしまった。でもリスタートを切るにはどんな方法があるのか、ぜひ見てみたかったので一部だけ。安心もしたし、これだけやらないといけないんだなとも思った。

私は享受する側だけでなく提供する側になることもある。エンタメは後回しとか、今はそんな気分じゃないとか、いろいろある。お客さんはそれでいいけどこっちは気分でやってないから、どうすれば「そんな気分」になれるのか、どうすれば安心して受け取ってもらえるのか、工夫が必要だと思うんだよな。

「これだけやれば大丈夫でしょ」とか「いつまでも埒が明かない」とか、実際そうなんだけど、提供側が言うことではない。どうしたらいいんだろうなー、ってずっと悩んでいるところ。だから今日のライブは裏方さんまでかっこよく見えた。

やっぱり、劇場で見ると笑ってしまう。配信を家で見ていても笑うときは笑うんだけど、劇場には「つい笑っちゃう」が存在するし、ずっと夢中で見てしまう、みんな大好きになってしまう。現場で空気を共有することには魔法がある。あれはなぜなんだろう。何度体感しても分からないなー。

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そうそう。ここに書いているとおり、この日は2部制。興奮のあまり当初は2部とも観るつもりでいたのだけれど、やっぱり私の中にも恐怖心はしっかり植え付けられていて、1部だけしか観る勇気が出ず2部はお譲りに出した。2部にはうしろシティが出たんだけどなー。まあまあまあ。

この日の感想は制作陣の試行錯誤に尽きる。苦労はいかばかりか、と思って。我々のライブハウスでの活動は微々たるものだけれど、それでも興行の末席を汚す者として他人事ではなく、工夫も対応もすごくすごく刺さった。やはり万が一というリスクは拭えないからスタッフの対応もどこかピリついたものがあったのは事実だけれど、その思いも理解できないわけではないから、胸が痛かった。

それでも、劇場が開いた、幕が上がった。これはすごいことだ、と思った。

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