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14.大阪の難読地名をいくつか。で、大阪人でないアナタも地元についてちょっと思い出してもらえたら。

日本は漢字の国だ。
漢字は中国から伝来したものであるから、
日本オリジナルではない、といえばそうかもしれない。

だが、
漢字がやってくる前の日本には
言語がなかったか、というとそんなわけはない。

文献を調べたわけではないが、
入ってきた漢字を当時のオリジン日本語に
うまく当てはめて言語化したのはまちがいなかろう。
そして千年以上の時を経ることで
日本オリジナルの漢字も数多く生まれた。

有名かどうかはわからないが、
調べなくても頭に浮かんだのは
「働」、「峠」。
調べてみると
「躾」、「鰯」、「凧」など、数多くあるようだ。

さて、
標題の「難読地名」となんの関係があるの?
と言われそうだが、
北海道の地名はアイヌの言葉を漢字で当てたものも多いように、
おそらく日本各地にそんな地名があるのだろう。
漢字という表現用記号をうまく選択し、そして当てはめた。
もしくは元々の読みから漢字をあてたが、
撥音便化や促音便化して今に至る地名もあるだろう。
地名は漢字で表されることが基本なので、
やはり歴史と言う名の時間の経過は地名を難読化させていくのかもしれない。
だからちょっと、日本独特の進化を経た日本語、
和製漢字の話でスタートした次第なのだ。

さて、
大阪に住む者として、
大阪の難読地名をいくつか。

おそらく、すべての地名を全部読める人は、
大阪についてなにかしら勉強したことのある人だと思うので、
全部読めないからと言って大阪人じゃない、とは言わないし、
大阪以外の人からすれば読めなくて当たり前なのだから、
「私の地元にももっと難しい地名があるわ」とか
「俺の田舎は県内の人間でも読める奴はほとんどおらん」とか、
故郷や地元に思いを馳せてもらうきっかけになれば、うれしい。

まずは、
「ザ・難読地名ofオオサカ」な、
有名な地名。
おそらく、
「大阪の難読地名といえば?」
というときに出てくる地名だ。
実はすでに有名過ぎて多くの人が読めてしまう。

■放出
■喜連瓜破
■枚方
■吹田

■放出【はなてん】
 「ほうしゅつ」と読むなら、難読地名じゃない。
 「放」は「はなつ」、「出」は「でる」なので、
 【はなてん】というのは正常進化の読みで、
 「言われてみれば読めまんなぁ」な地名だ。
 たぶん、この【はなてん】という音感が、
 いかにもオオサカ、という感じがするので、有名になったのだろう。
 大阪文化圏の30代以上の人間は、
 「ハナテン中古車セン(ッ)ター♪」という、あのコマーシャルが
 耳に残っているので、内部でも有名である。
 なお、
 JR放出駅の近くに「パチンコ放出」というパチンコ屋があったが、
 名前ほど玉がたくさん出る、なんてことはなかった、
 という都市伝説がある。
 (パチンコ放出が実在したかどうかは私も知らない)
 この辺がまた、オオサカっぽい。

■喜連瓜破【きれうりわり】
 放出同様、「言われてみればよめまんなぁ」な地名だ。
 実は難読地名、といわれるが、
 正しくは『難読駅名』である。
 「喜連」地区と「瓜破」地区が隣接しており、
 その間に位置するため、
 大阪メトロ(旧大阪市営地下鉄)の『喜連瓜破駅』が存在する。
 Wikipediaにも記載があるが、オオサカの難読地名をちょっと深く勉強した人間なら当然の話として、
 当初は『喜連駅』だったが、『瓜破』地域の人が反発して、仕方なく連名にした、というのである。
 なお、
「喜連」は関東の人にとっては、栃木県の「喜連川【きつれがわ】」という難読地名のほうが
 有名なため、この問題を出すと、
 「『【きつれ】は読めるよ。ま、たしかに難読だねー』とドヤ顔をして答えてしまう人がいるが、
 これは大阪人からすると「は?まちがってんのにドヤ顔?」となるので、
 後でいじり倒されて恥ずかしい思いをするので注意したほうが良い。

■枚方【ひらかた】
 この「枚」を【ひら】と読む地名はそれほど多くないと思うが、
 人名でいうと青森弘前の戦国武将、津軽信枚(のぶひら)が有名なので、
 大阪人でなくても、青森の人は読める人がいるかもしれない。
 むしろ【まいかた】って読むほうがなんだか無理があるような気までさせる。
 まず、「枚」は薄いモノ、つまり「ひらっとしたもの」のことだ。
 なので、やっぱり「言われてみればよめんまんなぁ」な地名である。

■吹田【すいた】
 「ふきた」じゃないの?って驚かれても、
 「吹」を使った言葉に「吹奏楽」ってあるじゃない。
 なので、これもやっぱり「言われてみれば読めまんなぁ」な地名だ。
 JRの駅名でもあり、大阪でも有数のベッドタウンなので、もはや有名である。
 

結局、この有名な難読地名は、
「言われてみれば読めまんなぁ」な点で共通しているので、
一度答を知ると、2回目は正解できたりする。
だから、有名なのかもしれない。

その対極、「言われても読めまへんがな」「読めるかもしらんけど、そう読みまっか?」な難読地名は、
記憶すらしにくいので、有名にならない、ということに気付かされるのだ。
そんな「難読地名」を。

■東五百住町/西五百住町
■雁多尾畑
■廿山
■住道矢田
■茱萸木

ああ、無限にでてくるではないか。。。
■東五百住町/西五百住町【ひがしよすみちょう/にしよすみちょう】
 「よすみ」とタイピングしても「五百住」とは変換されない。
 「ひがし/にしよすみ」とタイピングしないと「五百住」を得ることができない。
 「住」は「すみ」と読めますよ。
 でも、「五百」で「よ」って読みますぅ?
 せめて「四百」なら「よ」ってよめなくもないですが。
 と言いたくなる難読地名だ。
 「五百」は「いお」と読むことができるため、
 この「いお」が短縮されて「よ」になったのかもしれない。
 ちなみに、この東五百住町のすぐ南には「芝生町」なる難読地名がある。
 当然、「しばふちょう」とは読まない。
 もう、ここでは正解の読み方は言うまい。

■雁多尾畑【かりんどおばた】
 もじどおり「かりたおはた」ってよんだほうがいいのでは?
 とおもってしまう。
 女性漫才コンビ「クワバタオハラ」のようにも聞こえるが。
 喜連瓜破のように合体タイプの地名ではない。
 由来をネットで調べると、雁が多く飛んでいた、高僧が雁林堂と言われる寺を作った、とある。
 とにかくカリンさまがどお?っていったらバタッと倒れた、と覚えるしかない。
 いやいや、無理があるがな。

■廿山【つづやま】
 読めるわけがない。
 「言われてもよめまへんがな」の代表であろう。
 まず「廿」という字をそもそも「つづ」と読む漢字であるかどうかすらあやしい。
 「吹田」なら、「吹」を一般的には「ふく」と読むから、
 「ふきた」と間違えて、「やーい、まちがえたー」と冷やかせるが、
 そもそも「廿」をなんて読んでいいかわからないのだから、
 間違い方すら予想できない。
 この漢字を知っているひとは「はつ」や「はた」や「にじゅう」と間違えるかもしれないが、
 この問題を出した人間が「廿」をそう読むと知らない可能性も高く、
 もう、カオスである。
 大阪難読地名のトリックスター、と個人的には思っている。

■住道矢田【すんじやた】
 この地域の地元人以外の大阪人が引っかかる典型的内部テロ型難読地名。
 「住道」は大半の大阪人にとっては「すみのどう」と読む。
 まったく違うところに実際に「すみのどう」が存在するのだ。
 JR住道駅が存在する。JRの駅があると間違いなく有名であるが、
 この「すみのどう」も難読地名のジャンル(初級だが)と言える、
 と思っている大阪人が多く、つい、間違える。
 だが、ここは「すんじやた」なのだ。
 同じ大阪府内で、違う読み方というトラップがこれまたオオサカっぽい。
 ちなみに、
 天王寺に職場があるから、近鉄沿線で家探しして、住道矢田に引っ越すと、
 「あー、住道矢田に『住んじゃった』のね」とイジられること間違いなし。

■茱萸木【くみのき】
 漢字を知っているひとは「ぐみき」もしくは「ぐみのき」と読みたくなるに違いない。
 そう「グミ」である。
 グミって漢字で書けるの?とお思いのあなた。
 グミは日本の茱萸がアメリカに行って、「グミ」として帰ってきたんですよ。
 ウソです。
 茱萸は植物。果実である。これまたグミっぽいという偶然。
 グミは「ガム」が由来で、まったく無関係だそうだ。
 何たる偶然。
 で、なのに【くみのき】となり、音が濁らない。
 ちなみにグミの木にはトゲがあるらしい。
 なかなか尖った難読地名、とうまいこと言ってみる。

いろいろネットで調べてみると、
難読地名100選、とか、
難読地名クイズとかがあるが、
むしろ一つの地名を深く掘るとこれまた面白いかもしれない。
最初に高尚な感じでスタートしたが、
書いていくうちに楽しくなってざっくばらん化していったのも、
この面白さの影響だろう。

言葉は進化する。
広辞苑も第七版だ。
新しい言葉は日々生まれる。

地名もいろんな変化を経て、
今に至る。
難読地名はその地の歴史の「残り香」なのだ。

大阪人ではないアナタ、
地元の難読地名を調べてみて、
並べてみて考察すると面白いですよ。


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