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どうして事業会社のUIデザイナーはゼロから頑張ってしまうのか

こんにちは。B2Bサービスでデザインをやっているマドレーヌです。UIデザインするときに、仕様からUI設計まで、全てスクラッチで作るデザイナーは多いと思います。
今日は、UIデザイナーの一部はなぜ既存のデザインシステムやライブラリに頼ることに積極的でないのか想いを巡らせてみました。

1. 強い個性を持つガッツのある人が多いため?

1.1 Webデザインのなごり説
事業会社のUIデザイナーはWeb制作の経験がある方を多く見かけます。自分もその一人です。制作系のクライアントワークでは、コンペで勝てないと一銭にもならない案件がときどき発生します。
そういった勝負ごとの局面では、ロジックや目先の効率よりもクライアントを惹きつけることが成果への第一関門です。信じるものは自分のスキルと感性しかなく「人のマネをしていたら仕事がなくなってしまう」というのはレトリックではありません。
クライアントは、自分たちの売り物に話題性を付加したいと思っているかもしれません。その場合、ギミックやこだわりのないデザインは、味気ないどころか手抜きに映るかもしれません。

1.2 作家性に職業の価値を感じる説
Webに限らないところでは、デザイナーの上位職としてディレクターが存在する場合があります。下記のような職種を思い浮かべます。

・映像ディレクター
・ゲームディレクター
・ウェブディレクター
・アートディレクター

画像検索すればピンと来ると思いますが、いかにもなルックスの方々ですね。ディレクターには、自分のスキルや完成を切り売りする作家性が社会的に期待されていると言えそうです。
そのような前提に立てば、自分だけが表現できる世界感を大切にするのは当然であり、没個性の極みであるライブラリやフレームワークを採用することは、ある種敗北宣言に近いように感じる方もいるかも知れません。

1.1にせよ1.2にせよ、クライアントワークの制作系では「誰かの理屈より自分の才能を信じてもっと良いものを作ってやる!」というガッツで生き抜いて来た人が多そうに見えます。

常に常識を超えた良いものを作ろうという、熱気がいまだ冷めない熱いUIデザイナーが多いのかもしれません。

2. 手作業のフェーズが多く、意識が具象に寄りすぎているから?

あなたはピクセルパーフェクトが求められる画面の実装をしながら、価値マップやCJMが作れますか?できる人もいるかもですが…。

担当する領域がマークアップやグラフィックデザインに寄っている場合、目の前で求められる具体的な判断で手一杯になることがあります。そんなとき、ただでさえ忙しいのにフレームワークの設計思想や法則を覚えて具象へ適用する思考のコストを払うのが辛いかもしれません。

なぜリストアイテムの罫線をborderでなく、グレーの背景と1pxの余白で表現しなければならないのか?そんなルールは馬鹿げていると感じるかもしれません。
いま現実にグラフィックとして表現「出来てる」んであれば、原理と目の前の具象の対応付けを考えることにメリットが見出しにくいのでは無いでしょうか。

3. 妥協したくないという仕事へのプライド?

これはフレームワークと人間の関係の問題です。どのフレームワークを使うにせよ、その背景にある原理や方法論は一般化・普遍化された概念です。既存の常識やルールにとらわれないデザイナーなら、やりたい事とコンフリクトするでしょう。

フレームワークを使ったせいで自分の表現したいものが正確にアウトプットできないことをどう感じるでしょうか?あなたが妥協を許せない真面目なデザイナーなら、プロダクトの成長や開発の進行にあわせ、結局ほとんどの箇所を調整したくなることでしょう。

過去に、原理や方法論に従っても、思い描くビジョンとのズレが解決しないという嫌な経験をしてきたデザイナーは、スクラッチを好むかもしれません。

4. やりながら理解するため?

4.1 調べるのは意外と大変
フレームワークや解法が明らかになっている問題に対して、あえてゼロから手を動かして取り組むことは、他の職種の人もやるプラクティスです。

新しいものをつくるために調べごとばかりして、肝心の「手の動かしかた」みたいなものが身につかないかもしれない。
 http://nobkz.hatenadiary.jp/entry/2017/12/05/013531
・自分のチームで作成したものなので、何かあっても直せる
・自分のチームで作成したので、仕組みを理解できている
https://qiita.com/daijinload/items/6c7d68c23d64974ebe3a

手間暇かけてオリジナルのUIデザインを作った場合、うまくいけばデザインの全てを自分たちでハンドリングできる点も、フレームワークにはないメリットになるかもしれません。ゼロから作る労力とフレームワークを学ぶ労力を天秤にかけたとき、どちらのほうが得られるメリットが大きいかはケースバイケースでしょう。

4.2 「結局こうなるんだ」と感覚ベースで納得するため?
人間の経験から学ぶ側面を軽視する必要はないと思います。過去の多くの人が一生懸命考え、知恵をしぼった答えを、スタート地点まで遡ってリプレイすれば、歴史の正しさを感覚として実感できるかもしれません。
このような経験を経て、単なる知識としてでなく方法論を身体化したいデザイナーもいるかも知れません。

5 総括

やはり自分ではよくわからないです。答えは人それぞれかなと思います。ただし、自分の見てきたデザイナーは生真面目な方が多かったので、3は多そうかなと思います。きっちり作りたいという渇望は大切ですね。