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マッドスキッパーを飼うー③中級者編〜より効率的なレイアウトを求めて〜

はじめに

前回の記事では、マッドスキッパーを飼うにあたっての基本的な2つのレイアウトと、初心者に最適なレイアウト「深型」の詳細をご紹介しました。

ただ、深型にも弱点はあり、長期間運使うと、ろ過能力の限界や運用のしづらさ、景観の悪さを感じてきます。マッドスキッパーが陸地に向かって斜面を登るような姿が見たい人には物足りません。そこで、もっと理想的なレイアウトはないものか? 深型を1年ほど運用した私は、もっといいレイアウトを探すため試行錯誤し、1つの答えにたどり着きました。誰もが感じる「深型=簡単で楽」という常識を覆す、真に理想的なレイアウトとは…

中級者以上へおすすめの理想形

浅型オーバーフローレイアウト

浅型にオーバーフローを組み合わせたレイアウトです。水深数cmの浅いメイン水槽の底面から、水を下の濾過槽に導いて、ポンプでまた戻すレイアウトです。通常のオーバーフローと違うのは、排水口から直接水を落とすところ。濾過槽は仕切りで3つのエリアに分け、水が順に巡るようにします。

各部の説明

1.排水口
底面に穴を空け、粗目の網やサンゴ石などで魚が落ちない程度に穴を塞ぎます。その下にはウールマットを敷いて大きめのゴミを取り除きます。サンゴの砂利などを敷きたい場合も、たまに流れ落ちる砂利をここでキャッチできます。

2.水質調整槽
PHをアルカリに保つカキ殻などをここに投入しておきます。また、次第に溜まってくる硝酸系の物質を減らすために、汽水にも耐えうる植物をここに植えるとベター。我が家ではマングローブを種から植えています。また、ここにろ材を入れて、第二の濾過槽として使うのもいいと思います。

3.濾過槽
ここはよくある濾過槽です。写真ではまだ少ないですが、複数のろ材を組み合わせて、たっぷり詰めておきましょう。

※写真は一部図と違うところがあります。

4.ポンプ槽
ここには水を汲み上げるポンプやヒーターを配置します。おすすめは前回記事でも紹介したカメ用などに使う水中フィルター。上の写真ではこれは奥に縦置きしていますが、水が蒸発してくるとポンプ槽の水位だけが下がってくるので、フィルターは横置きをおすすめします。(旅行中に途中で水を吸えなくなり、大事な魚が危うく干からびるところでした) フィルターの排水口にはホースや外部フィルターに使う吸水用U字パイプなどを組み合わせて上のメイン水槽へ水を汲み上げます。ここではエーハイムの給水用パイプを使っています。ちなみにポンプが強すぎるとメイン水槽の水流が強すぎてしまうので、適度な水流を作るのには水中フィルターくらいがちょうど良いです。

5.メイン水槽
メイン水槽は底面に穴をあけるので、アクリル製がおすすめ。また、万一底面の穴がゴミでふさがることを想定し、側面などに予備の小さい穴を開けておくと安心です。水槽内には陸地で餌場となる石(輝岩石・黒甲石)を置いておくだけでOK。砂や砂利を入れたい場合は、排水口から落ちないよう仕切るなどしたほうがいいですね。景観を工夫したい方は、さらにサンゴ石や他の石でレイアウトしてみてもいいと思います。

浅型オーバーフローの設計

これを読んでる方は初心者ではないと思うので、ここまで読んだだけで作り方はだいたいわかると思いますが、見ての通りメインと濾過の2つの水槽は加工が必要なので、その設計について解説しておきます。

水槽の素材選び

2つの水槽はそれぞれ、メインは底面への穴あけ、濾過槽は仕切り板の設置が必要となります。ガラスとアクリルのどちらを選ぶかは加工の難易度と予算で決めるといいですが、ガラスへの穴あけはハードル高めなので、メインはアクリルで、濾過槽はガラスorアクリルを選ぶといいと思います。

水槽のサイズ選び

この構造では下の濾過槽の上にメイン水槽を置くため、奥行きか横幅のどちらかを2つの水槽で合わせる必要があります。(濾過槽を普通のオーバーフローのように水槽台の下に置きたい場合はこの限りではありません) 我が家では、左図の奥行きを合わせる方法を採用し、奥行き20cm(外寸)としました。濾過槽にガラス水槽を使いたい場合は、あらかじめ売られているガラス水槽のサイズを確認し、それに合わせて奥行きを設定するのが良いと思います。

奥行き合わせ(左) / 横幅合わせ(右)

奥行合わせの場合、奥行を決めたら、飼育する数に応じて横幅を決めます。できればメインで30cmほどほしいところです。ただし、濾過層よりも横幅を小さくする必要があるので注意。

水槽の設計

上記を踏まえてサイズを決めたら、設計図を書いてみましょう。私は上下の水槽ともアクリル水槽とし、メイン水槽を横幅20 x 奥行20cmとして、図面を作成しました。その時の設計データを参考までに公開しておきます。

濾過水槽:横幅30 x 奥行20 x 高さ20cm(側面図)

内側の仕切りは、左の水質調整槽の上にウールマットを敷ける高さを見ておきましょう。ウールマットを敷く際は、左上の小さな仕切りと中央左の仕切りの間に、植木鉢用の底網などを渡して引っ掛けておき、その上にウールマットを敷くと良いです。

メイン水槽:横幅20 x 奥行20 x 高さ10cm(上面図)

水槽の購入/発注

アクリル水槽の場合、ネット通販の「はざいや」などで簡単にオーダー発注が可能です。キレイに作成したい場合は全加工を依頼できますが、上記の設計の場合、濾過層の仕切りを入れると加工費が高かったので、仕切りは自分でつけました。以下はその際の濾過槽の見積り例です。

必要な資材の購入

ろ材やカキ殻、ヒーターなどは、手持ちの適当なものを使っていただけたらと思いますが、上記の設計にピッタリのフィルターやU字パイプなどについては、参考として以下で紹介しておきます。

フィルター
横置きできてパイプを繋げられる水中フィルターを選びます。同時に、高さは横置きしたときに水槽の奥行きからはみ出ないように注意。

U字パイプ
上記の水中フィルターの排水口に実はぴったり繋がるのが、エーハイムのU字パイプ(φ12-16用)です。私はこれを途中で切断し、適宜ホース(φ12-16)を挟んで水をあげる長さを調整して使っています。

排水口網
メイン水槽の排水口は、適宜石などで塞いでも大丈夫ですが、エーハイムの吸水用ストレーナーも結構使えますので参考に。


さいごに

いかがでしたでしょうか。浅型オーバーフローは水槽さえ用意できれば、あとは比較的安価に設置でき、メイン水槽の景観はシンプルできれいになります。濾過水槽の中身が気になる方は、側面を背景フィルム等で隠してもいいかもしれません。また、メインに流れ込む水は常にきれいで、糞やゴミもすべて流れ落ちていくので、マッドスキッパーも気持ちよく暮らしてくれると思いますので、ぜひ試してみてください。

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