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【観劇レポ】宝塚花組『CASANOVA』

前回のnoteは内容に触れずに終わったので今回は内容について書きます。

そもそも初めての宝塚を見に行こうと思った理由は、振付師でした。DAZZLEの長谷川達也さん。普段はDAZZLEとして作品を作られ、振付し、自らも踊る人。おそらく宝塚の振付師としては異色の人選でしょう。

あらすじ
「人生には恋と冒険が必要だ」
稀代のプレイボーイ、ジャコモ・カサノヴァ(明日海りおさん)。自由を愛し、数多の女性との浮名を流してきた「世界の恋人(カサノヴァ)」がカーニヴァルの時期のベネツィアで、修道院での学びを終えたベアトリーチェ(仙名彩世さん)と運命の出会いを果たす。理想の愛を求めるカサノヴァが最後に辿り着くところとは。ヴェネツィアの政治的な思惑、嫉妬などが絡む祝祭喜歌劇。

1幕

1幕。カサノヴァが審問官コンデュルメル(柚香光さん)に捕まるシーンから始まります。幕が開いた瞬間ひとり輝く方が。。。明日海りおさん。事前知識が皆無だったとしてもこの人がトップスターだとわかるオーラ? たたずまい? なんなのでしょうか? 衣装が目立つのはそうなんのですが、それ以上に引き付ける何かが。一度目にしてしまうとその後目を離すことができなくなります。

そしてこのオープニングのシーンは振付が長谷川さんでした。数十年来の宝塚ファンという友人の感想を聞いたのですが「宝塚としては異質な振付のシーンだった。けれどその異質さこそがこのシーンにはどうしても必要だったと思う」と。異質な要素というのは作品を壊すものではなく、更に厚みを持たせるために必要なものかもしれない。雰囲気としては逮捕から裁判~投獄のシーンですから暗い、暗いのに美しい。42人もの出演者が舞台のあちらとこちらで様々な物語を進めています。目が足らないと思いきや見るべき流れが整理されていてすっと入ってくる。こういった構成を考える人の頭脳はどうなっているのかしら。

実は観劇前にテレビの宝塚番組などを見ていたのですが、その際の花組の方々へのインタビューのときと本番のスイッチが入ったとき、その差がみなさんすさまじい。明日海りおさんは口角の位置に至るまですべてに隙なく美しい。娘役トップの仙名彩世さんは発光したかのように膨大なエネルギーを放っているかのよう、柚香光さんは目で殺せるのではないかというほどの目力で。。。

1秒の隙なく豪華で壮麗な夢の世界に引き込まれているうちにあっという間に1幕が終わりました。

ちなみに。オペラグラス必須です。
ここから見せ場です、ということがわかりやすい演出のため、オペラグラスに手間取って見逃すという危険性が少ないですし、次々変わる衣装の数々、これは拡大してみたほうがよい。そしてなにより…表情のひとつひとつを見たくなるほど魅力的な演技なのです。
公演中の組のカラーという嬉しい配慮付の貸し出しも行っているのでどの席だとしてもオペラグラスを持つことをお勧めします。

2幕

2幕。そういえば幕の上がる直前のこの瞬間、1幕と2幕ではステンドグラスの模様が違っているのです。お隣の方に教えていただきました。

脱出劇やカーニバルなど華やかに展開した1幕から、愛の悩み、野望など亜それぞれの登場人物なりの結論へ向けて収束していく2幕。緊張感のあるシーンもありながらも祝祭喜歌劇ということで根本はポジティブで明るい展開なのです。悪役のコンデュルメルも空回りしていてほほえましかったり。

その中でひときわ印象に残ったのが、唯一深い悲しみを背負っていた鳳月杏さん演じるコンデュルメル夫人。愛をゆがんだ形でしか表現できない不器用な人。強く見せているその裏で助けて、愛してという叫びが聞こえてくるかのような演技に思わず涙しました。
驚くべきは彼女、いつもは花男さんなのです。オープニングやフィナーレのショウでは男役として出られており、演じ分けもそうですし、髪型を含めた早替えという宝塚のすごさを目の当たりにしました。声域も違うでしょうに妖艶でとても美しかった。まさにはまり役ではないか。

そんな彼女の悲しみも含めすべてをまとめあげた圧巻のフィナーレ。
そして宝塚大劇場よりも密着度の高くなったと話題のキスシーン。客席のオペラグラスが一斉に持ち上がったのには思わずにやりとしてしまいました。(もちろん私もオペラグラスを準備。笑)やっぱりオペラグラスは必須ですね。

最後は大階段を使った宝塚とはこれ!というべき華やかなショウ。
人生初めての宝塚が、明日海りおさんの、仙名彩世さんの花組で『CASANOVA』でよかった。。。

いよいよ明日4月28日で大千秋楽。仙名彩世さんは宝塚最後の公演。
どうか華やかに成功しますように。

 

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