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トマトと、頬と。

「父さんごめんね、助かるわ」

エプロンで手を拭きながら玄関先に見送りにいくと、すっかり日焼けした父は白い歯を見せて笑っていた。

「夕飯に食べられそうなのがあったら、もいでくるよ」そういって、二人は手をつないで歩いていった。

わたしが子供のころも、同じように母を困らせ、父と手をつないで畑に出かけたことがあったことを思い出す。

特に夏の野菜は成長が早く、朝と夕方では違った景色が広がっている。父にとっては時々しか会えない孫の成長と、重なって見えるのだろうか。

「ただいまあ! おっきなトマト、とれたよう!」

ぷりぷりとみずみずしいトマトを誇らしげに見せてくれる。日に当たり、すこし赤らんだ我が子の頬はトマトと同じように光って見えた。


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