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ニャーニャーとは、呼ばせないぜ

先日、言葉を覚え始めた幼い子どもと接する機会があった。わたしは子どもを出産していないし、これからもその予定はないので、積極的な子育てをしていない。

そのため、赤ん坊から、大きくなるにつれて「言葉を覚えていく過程」を目の当たりに体験したことがない。

はじめは、ママとか、パパとか、まんまとか、繰り返して言える言葉を比較的覚えて発しやすい、というのはあるのだろう。

友人の子どもは一歳半になるくらいで、ちょうどいろいろな言葉を発し始めていたところだった。

また、言葉に興味がでてきているのか、絵本を読んでほしいと、本棚のなかからいくつも本をとりだしてきては「つぎはこれ」「つぎはこれ」と本を渡してきた。

そのなかで「一才からたのしめる」といった内容の、絵本があった。写真やイラストが一ページずつ掲載されていて、「これは、クマ」とか、「これは、ブタさん」などと分かりやすく表示されているものだった。それらの絵を指さしながら「ブタ」だとか「クマ」とその動物の名称を読んでいった。

そこで、ネコのページがやってきた。その子は「ニャーニャー」と指さしながら読んでいた。けれど、わたしは「これは、ネコ。ネコだよ」といって「ニャーニャーは、鳴き声だね」とつづけた。

あまり、無理強いするのは、その家庭の教育方針を壊してしまうといけないので、さらりとページをめくったのだけれど。

ブタは「ブーブー」もしくは「ブヒーブヒー」だし、クマは……なんだろう? わたしはクマの鳴き声はよく知らないけれど「ガオー」だろうか?

なんとも理屈っぽい子育てろんではあるけれど、これはわたし自身そのように育てられたのだ。

母に言わせれば「ネコをニャーニャーって覚えたら、またどこかでネコって覚え直さなあかん。二度手間やん」という理論らしい。二度手間って……。

これと同じ理論で、母はわたしに、イヌも「ワンワン」ではなく「イヌ」。車も「ブーブー」ではなく「クルマ」とか「バス」として言葉を覚えるようしつけたといっていた。

初めて聞いたときは「えー、子どもがニャーニャーとかいってる姿、かわいいやん」とちょっと愕然とした。けれど、いざ自分が小さい子どもにネコを紹介するときに「これは、ネコ」と言ってしまうとは。二度手間とは思わないけれど、ネコとイヌだけ鳴き声というのは、なんでだろう? と思ってしまった。

ネコのこと、ニャーニャーとは呼ばせないぜ。

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