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三谷かぶき「月光露針路日本 風雲児たち」が最高だった

六月一日に歌舞伎座にて初日を迎えた「三谷かぶき・月光露針路日本 風雲児たち」を見てきました。

歌舞伎見物はこれで三回目ですが、今回は公演初日に見に行くことに。以前、ほぼ日の学校で「歌舞伎は初日と千穐楽、または中日当たりのいつ見るのがおすすめですか?」といったお話があって、答えは「最初と最後の二回、見比べても面白い。中日には中日の安定感もある。答えとしては、いつでも、面白さがある」と、お話しされていました。(ほぼ日の学校・オンラインクラスで近日配信されると思うので、気になる方はぜひお申し込みください。)

いつか、初日に見に行けたらいいなあ、なんて思っていたところ思わず早い段階で初日に行くことに。もっとも、チケット購入に出遅れて、二階席・三階席の手ごろなチケットが売り切れてしまったので、空いているなら初日で! という勢いにまかせて購入。

往年の歌舞伎ファンにとっては、三谷かぶきは純粋な歌舞伎といえるのか、わたしにとっては分からない。過去には「決闘! 高田馬場」という演目をPARCO歌舞伎として上演されたこともある。(わたしは見たことはないのだけれど、俄然、見たい)

今回の演目は「風雲児たち」というみなもと太郎さんが原作の歴史漫画をもとに脚本が作られている。「風雲児たち」と三谷幸喜さんと言えば、2018年に放送されたNHK正月時代劇「風雲児たち~蘭学革命編~」が記憶に新しい。

純粋に歌舞伎を見にいく、というよりは、三谷幸喜さんの脚本でどんな歌舞伎になるのかが興味深くて、どうしても見たかった。また、わたしは三谷幸喜さんのドラマ「王様のレストラン」が大好きだ。これまでにみたドラマの中で一番好きなドラマはなにか? ときかれたら「王様のレストラン」と答える。また、そのドラマに登場する「千石さん」が、とにかく好きなのだ。千石さんを演じていたのは、九代目松本幸四郎さん、今では二代目松本白鷗さんに襲名されている。

三谷さんの脚本でお芝居されている白鷗さんも見たい! という理由もあった。

さて、今回のチラシがこちら。

このチラシからもわかるように、八嶋智人さんも出演されている。かなり重要な役どころだったけれど、チラシでの扱いが「集合写真を撮影する日に欠席した人」みたいなあつかいになっている。ややひどい。そうは言っても、花形俳優が名を連ねる、歌舞伎座のポスターに、小さくても載っているのはすごいことだと思う。ただ、ちょっと心配でもある。歌舞伎座で、歌舞伎役者と共に、ひとりだけ違う立場の人が演じる違和感であったり、アウェイ感がないだろうか。もちろん、舞台に立つ役者さんたちには「ひとつの舞台をつくる」という意識があるので、問題ないだろう。けれど、見ている人たち(おもに長年の歌舞伎ファン)にとって、受け入れられるのだろうか? がんばれ、八嶋さん! と、見る前にはすこし祈ってしまった。


初日には「本日初日」の幕が張られるんだな、と、外観を写真に収めた。特別な感じが、ちょっと嬉しい。(サムネ画像です)夜の部に来るのは、初めてで、それもちょっとドキドキ。あらすじが書いてあるパンフレットも購入。パンフレットを読めば、話の筋はほとんどわかるので、「うーん? これはどういう場面?」と置いてきぼりにならない。これも「ほぼ日の学校」で観劇した際にまなんだこと。イヤホンガイドもよさそうだけれど、個人的に、耳に問題をかかえているので、使わないでおく。

わたしの席は一階の、花道からは一番遠い場所にあった。それでも、役者さんの顔は割とはっきり見える。さてさて、楽しみになってきた。

開演時間になると、「始まるよ、そこ! 静かに!」と、大きな声で花道から誰かが登場した。尾上松也さんだ。口上としての役割らしいけれど、口上って、こういうのもありなんだ、というか三谷さんだからな、という感じ。口上だけでも、もう一度聞きにいきたい。

以下はあらすじを一部抜粋。

「月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと)」の舞台は、ほとんどが船の上かロシアである。
鎖国によって外国との交流が厳しく制限される江戸時代後期。大黒屋の息子光太夫は、商船神昌丸の船頭(ふながしら)として伊勢を出帆します。しかし江戸に向かう途中で激しい嵐に見舞われて帆は折れ、大海原を漂流することになるのでした。(中略)
流を始めて8カ月─。神昌丸はようやく発見した陸地に上陸します。ところがそこは日本ではなく、なんとロシア領のアリューシャン列島アムチトカ島。異国の言葉と文化に戸惑いながらも、島での生活を始める光太夫たち。厳しい暮らしの中で次々と仲間を失いますが、光太夫らは力を合わせ、日本への帰国の許しを得るため、ロシアの大地を奥へ奥へと進みます。
異国から来た日本人である光太夫たちに対して、親切なキリル・ラックスマンをはじめ、行く先々でさまざまな人の助けを得て、ようやく光太夫はサンクトペテルブルグにて、女帝エカテリーナに謁見することが叶い…。(https://spice.eplus.jp/articles/238663より、あらすじを一部抜粋)

大黒屋光太夫を松本幸四郎さんが演じ、船員に白鷗さん、猿之助さん、愛之助さん、染五郎さんなど、有名どころがずらり。贅沢です。セリフのやり取りが三谷さんらしく、ギャグをまじえて笑わせるところもありつつ、感動シーンももちろん盛り上げます。

キリル・ラックスマンを演じるのは、八嶋さん。心配は無用でした。八嶋さんが登場すると歓声が沸き上がって拍手喝采。なじんでいる、けれど、ロシア人として違和感を与えなくっちゃいけない役どころとして、もう八嶋さんしかいない、くらいのはまり役。八嶋さんの見せ場で大向さんの掛け声が響いていて、「八嶋さんの屋号ってなに?」と不思議に思っていたものの、ご本人のツイッターで「トリビ屋」と決められていたそうです。ヘェボタンを押したい!

幕間に、歌舞伎座内をうろうろしていると、Hayano歌舞伎ゼミで講義してくださったカメラマンの福田尚武さんのお姿も。

二階に上がる階段の踊り場に飾られている絵にもうっとり。この絵、大好きです。

大好きな白鷗さんは、二役演じておられました。割と早めに死んでしまう役と女帝エカチェリーナに仕えるポチョムキン(まんがには出てこないオリジナルキャラクタだそう)。ポチョムキン、仕事できそうな、有能オーラがすごい。

最後のシーンも圧巻でした。ああ、ようやく、そしてみんなも……。ぐっと胸が熱くなりましたが、これは実際に見ないと伝えられない、お芝居の良さだなあと感じました。

これから見る人にひとつだけ言うならば、ロシアの地名がたくさん出てくるから、その距離間だけ掴んでおくとよいかもしれない。アリューシャン列島にある島、またはカムチャッカからサンクトペテルブルグって、どのくらいの距離? パンフレットには簡単な地図が表記されていたので、助かりました。旅程が分かるのと、分からないのでは、壮大さが伝わらないかもしれないです。(わたしが無知なだけですが)

初日はスタンディングオベーションがおこるほどの大歓声で幕が下りました。大満足だけれど、できることなら、もう一度見たい!  





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間詰ちひろ

主にエッセイ。ときどき物語。イベントレポートなども書いています。BOOK SHORTSで開催された「LOVE KAMATA AWARD」大賞受賞。横浜にあるnaludesign・onedafulldaycafeに在籍。連絡先 wachikarin@gmail.com

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