機会に恵まれることと、好奇心の問題。

「こういう競技って、もっと色々できる人いるんじゃないかな? って思うんだよね」

25日に閉幕となった平昌オリンピック。
ダイジェスト番組を見ながら、夫がこう言ったのだった。

画面にはスノーボードハーフパイプ(男子)が映し出されていて、ショーンホワイトが見事な技を決めていた。

私は少し怪訝に思って「なになに? ショーンホワイトにいちゃもんつける気?」と追及した。すると、夫はそうじゃなくて、と前置きしてこう続けた。
「こういう競技って、チャレンジしてみようっていう機会が少ないでしょう? スノーボードだけじゃなくて、カーリングとかも。やってみたいと思っても、このあたりじゃすぐにできないよね」

たしかに、あの熱戦が繰り広げられたカーリングを見た人は「一度やってみたい競技」として心に刻まれるに違いない。けれど、「じゃあちょっと、カーリングやってくるから」と気軽に体験できるかといえば、なかなか難しいだろう。

夫はさらに続けた。「なにも、日本に限ったことじゃなくて、世界で考えたとして。赤道付近にある国の人達は雪に触れることもないでしょ? だから、そういう国の人たちの中に、もしかしたらめっちゃ才能がある人がいるかもしれないなって思うんだよ」

確かにその通りかもしれない。なにも冬の競技に限ったことでもない。知っている競技、例えばヨットとか、カヌーとかアーチェリーだとか。競技そのものに触れるきっかけがない限り、一度も体験せずに人生を送っていくだろう。

夫がこんなことを思うには、夫自身、高校3年間で競技自転車部に入部していたからだという。

競技自転車。競輪、と言ったほうが広く知られているかもしれない。
中学の頃はサッカー部だかバスケ部だかに所属していたらしい。まさか高校生活3年間を自転車に乗って過ごすことになるなんて、考えてもいなかったという。

入部のきっかけは「部員が少なくて気楽だから、やってみない?」と友人に誘われたから。気楽ならやってみてもいいか、と軽い気持ちで入部。しかし、そこからが大変だった。授業が始まる前に40kmの山道コースを自転車で走る。授業が終わってからも、ひたすら練習。気楽って、一体なんだろう? と思わずにはいられなかったらしいが、当時はただ自転車に乗ることだけで精一杯だったらしい。夫の通っていた高校はそれほど強豪校ではないものの、競技人口が少ないことなどもあり、運よくインターハイにまで出場したという。大学では競技自転車を続けることはなかった。競輪選手を目指したい、とかオリンピックに出場したい、というレベルではないということを本人が理解していたし、高校生活ほど熱心に自転車に乗りたいという気持ちはなくなったそうだ。なにせ、しんどかった。もう思い出したくない、と顔をしかめながら時折話している。

夫のように、ひょんなことから「やってみない?」と誘われて、その競技を始めてみる人もいるのではないだろうか。そうして、その競技の魅力にとりつかれてしまう。オリンピックに出場するかどうかは、置いといたとしても、だ。

ただ、その機会に恵まれるかどうか。
それをおもしろがることができる、好奇心があるかどうか。

これは、スポーツに限ったことではないのだろう。何かを学ぶきっかけ。気になるから調べてみようか? と思う気持ち。むくりと起き上がる好奇心。ちょっとした、けれどたくさんのものごと歯車のようにカシャンとはまると、物事は動き出すに違いない。

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間詰ちひろ

つれづれなる日々のこと

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