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なんでもない日なんて、ありゃしない。

ネコと暮らしていると「きのうと同じ一日」というのは無いんだと思い知らされます。

我が家にいるネコは、サイベリアンというすこし毛が長い種類です。自分で身体をベロベロ舐めて、丹念に丹念に、毛づくろいをしています。ですが、うちのネコは毛玉をうまく吐き出せないんです。

ネコ自身が毛づくろいをして身体の中に飲み込んでしまった毛は胃の中で固まり、団子状態になります。それを、猫の草と呼ばれている草などを食べて吐き出したり、糞の中に混ぜて、毛玉を身体の外に出す、というのがほとんどです。

最近ではすこし、猫草を食べるようになってくれました。ただ、食べるのがへたくそで、草のほとんどは枯れてしまうのですが……。

ネコと一緒に暮らし始めた頃、彼は猫草をまったく食べませんでした。草は引き抜いて遊ぶ、オモチャのようにしか考えていないようで、食べる素振りはありませんでした。市販されている「毛玉の排出をうながす」というフードを与えていました。

しかし、このフードだと毛の生え変わりがある季節の変わり目には対応しきれませんでした。毛玉が、腸で詰まってしまいやすい体質なのだろうと動物病院で言われることもありました。いまでは、療養食と呼ばれている胃腸の弱いタイプに向けたフードを食べて落ちついています。

お留守番が多く、運動不足のこともあり腸の動きが鈍いとか、長い毛をブラッシングするだとか。だけど、ブラッシングはやりすぎると嫌がられ、噛みつかれたりもするため、ネコの嫌がらない範囲でケアをしないといけません。

今日の、ネコの調子はどうかな?
毛玉は吐いていないかな? トイレはちゃんとしてるかな?

毎日、毎朝、仕事から帰宅したら。
ネコの様子をチェックして「変わりない、大丈夫」と思うとホッとします。
けれど、彼はあっという間に歳を重ねてしまいます。待って! もう少しゆっくり進んで! と祈ったところで、絶対に叶わない願いです。歳をとりはじめた彼は、また少し身体の心配ごとが増えました。

それでも、同じような毎日が過ぎていきます。朝5時から騒ぎ出しての、ご飯の催促。私が起きるまでは、絶対に諦めず、しつこくしつこく枕元でニャーニャー、ニャーニャー訴えてます。風呂場にいれてくれ。トイレするからみてて。コップから水が飲みたいなど、いつもと変わりないような毎日。

だけど、トイレの回数は増えていないか、または減っていないか。おしっこの色やにおいに異変はないか。糞のなかに毛玉がうまく排出されているか。水を飲む量は増えていないか。いつもより食欲が落ちていないか……。

あらゆる行動をよく見て、何も問題ないか記したり。いつもよりちょっとでも元気がなさそうだと「ちょっと元気なさそうだから、よく見て、続くようなら病院へ行こう」と夫と話したり。

同じような毎日が繰り返しているように見えるけれど、一日ずつ、確実に歳をとっていきます。ネコと暮らしていくとまざまざと思い知らされます。
ちいさなお子さんと暮らしている人も、たぶん、似たような感覚なんじゃないかと思います。

ぐずっている声のトーンや食欲、いつもよりちょっと熱っぽい身体。無邪気に笑っているように見えるけれど、何かを訴えている表情。気にしてほしいからと、わざとやるいたずら。

何でもないことのようだけれど、意味のある小さなものごと。ひとつずつを見ると、大したことないと素通りしてしまうようなできごと。こんなことが、さらさらと細いガラス管の中を落ちる砂時計のように、積み重なって毎日をつくりあげていてるんだなと改めて感じます。

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