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ピタゴラ装置だって、一回ではうまくいかないのだから。

ピターゴラースイッチ! なんとなく口ずさんでしまうテーマ曲がある。それがEテレで放送されている「ピタゴラスイッチ」のオープニングの曲だ。

ピタゴラスイッチという番組が好きだ。子どもに向けて作られている番組だけれど、わたしはいつもじっくり見てしまう。

いまピタゴラスイッチの公式サイトをみたら(はじめてみた)4〜6歳児を対象にした、と書かれている。37歳でも夢中になって見てしまうのだけれど……。でも、大人でも見入ってしまうほどの内容であるからこそ、子供の心にも響くのだろう。

ピタゴラスイッチの番組の中で、やっぱりいちばん目を剃らせないのが「ピタゴラそうち」である。そうち は漢字で装置と書くのだと思っていたけれど、公式サイトには「ピタゴラそうち」とひらがなで書かれていた。子供が読めるように配慮されているのだろう。

オープニングやエンディングなどで、放送されることが多い「ピタゴラ装置」。
ビー玉が転がりだす、そのたったひとつの動きから、さまざまな仕掛けやカラクリが作動する。ビー玉の動きに意外性があったり、ダイナミックな仕掛けがあって、見ていて飽きない。

「ピタゴラそうち」の派生的な展開として「ビーだま・ビーすけの大冒険」とか「ビーだま兄弟の大冒険」「ビーすけと黒玉王子の大脱出」がある。ビーだまのビーすけが、転がって進んいくさきには様々な仕掛けがある。閉じ込められたりとか、大きなボールに追いかけられたりして、手に汗を握る展開もある。

しょっちゅう番組を見ている人は目にしたことがあるかもしれないけれど、ピタゴラそうちを歌った「がんばれ!装置153番のマーチ」という曲がある。この曲がすごい。

ずーっと失敗を繰り返し、失敗の連続を歌にしている。

失敗失敗、失敗の連続〜。とまで歌っている。

YouTubeでもアップされているので気になる人は見てみてほしい。(公式のものではないので、ここに貼り付けません)

失敗は何度もくりかえされて54回目に、ついに……!という内容だ。

この歌をはじめて見たとき、かなり衝撃的だった。「めっちゃ失敗してる」からだ。「ピタゴラそうち」に対するイメージは一回でピタッと成功しているもの、というかなり勝手なものを抱いていた。もちろん、ドミノとかでもちょっと置く位置がずれてしまって、ぱたぱたと順調よく倒れていたコマが動きを止めてしまうこともある。それはわかっている。だから、ピタゴラそうちにしても、何度か失敗はあるにしても、まさか53回も失敗して、54回目に成功してようやく「ピ」と記された文字を見ることができるなんて、思ってもみなかった。

ひとつの動作がつぎの動作をうみだす。その動作が連続してピタゴラ装置は成り立っている。ひとつでも、思い通りに動いてくれないと、ピタゴラ装置としては失敗作となる。

おそらく、「理論上は、この動きとなるため成立する」とされるものが選び抜かれているのだろうし、研究の段階で成功して、「これは意外性のある動きもあるし、おもしろいね」となったものが、ピタゴラ装置として採用されているはずだ。撮影に挑むまえには高確率で成功していたことも予想される。いきあたりばったりで撮影に挑めるようなものじゃない。

準備万端で挑んだとしても、うまくいかないこともある。いきあたりばったりでも、難なくクリアできてしまうこともある。周りで見ている人からすれば「とっても簡単そう。あんなの、だれでもできるでしょ」っていうように見えても、思いのほか難しくてクリアできないことだってある。ピタゴラ装置だって簡単そうな動きの連続だけれど、ちょっとした加減ひとつで、装置153番のように最後までたどり着けない。おそらく、すべてのピタゴラ装置でなんども撮り直しがおこなわれていて、テレビで放送されているあの一回が選ばれているにちがいない。

簡単そうに見えても、一度で成功する、納得のいくもができるとは限らない。また、練習でうまくいっていたのに本番で失敗したということだってあるだろう。一回しかチャンスがないことだってもちろんある。けれど、たった一回失敗しただけで「もうだめだ」と思うのは早すぎる。

打たれ弱く、ちょっとしたことで胃が痛くなるわたしは、ことあるごとにピタゴラ装置153番の歌を思い出す。そのたびに「もうちょっとだけでも、がんばろう」と新たな気持ちで進むことができるのだ。




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