まえかわゆうか

アンファッショナブル生活。

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最近の記事

23区から島根の中山間地に引っ越して思った①マヨネーズ

杉並区で育ち、親元を離れてからも29歳まで都心暮らしをしていた、私は正真正銘の「都会の人」だ。ひょんなことから島根県西部の中山間地で暮らしている。 コンビニまでは車で20分。夜営業の飲食店は数える程。深夜にマヨネーズを切らしていることに気づいたら、買いに行くよりも手作りする方が楽である。そういう場所で暮らしていくことは、難しいことだろうと思っていた。 「マヨネーズを夜中に手に入れること」だけに焦点を当てたならば、田舎暮らしは難しい。しかし一度手作りマヨネーズを作ってしまえば

    • 海ほたるで突如消えた車

      うみほたるを上から眺めると変な気持ちになる。東京湾にまっすぐ伸びる水上の道路。その終着点で車たちは突如姿を消す。ああ、これは地下に潜ったから、見えなくなっただけだ。でも、こんな広い海の真ん中で?知識として頭の中にある事実に、実感が湧かない。海ほたるから東京湾を眺めたときもそうだった。なぜ車で、海のど真ん中にこれたのかがよくわからなかった。 そういうものが身の回りに溢れている。スマホの画面を触ると画面が切り替わるのは指の静電気を感知して操作が実行されるから。GPSで位置が特定

      • 塩を撒く

        まったく自慢にならない話だが、7年間で5回の引越しをした。断じて引越し自体が好きなわけではないし、むしろ金銭的にも精神的にも落ち着ければいい思っている。己が望むままに生きようとしたとき、高確率で引越しが伴ってしまっただけだ。 どういう仕事をするか、誰と生きるかが決まると、そのために最適な場所に住処を探す。部屋は毎日帰る場所なのだから、行動圏内の中心に据えておかなくてはならない。行動圏が偏ることは、心身のバランスを乱してしまうと、私は信じているからだ。歩き方の癖が骨盤を曲げて

        • 私は優しくないが、よく泣く

          「有香」という名前は、本当は、「優香」になる予定だったらしい。 母親曰く、優しい子に育ってほしいからと、「優」の字を入れようとしたものの、画数のおおい漢字を避けて「有」の字を採用したのだそう。 おかげで、電話口で名前を伝えるときには「有名のユウです」「有限会社のユウです」などと言わなければいけない。同じユウなら、「優しいという字です」と言いたかったのに。 それに、もしも私の名前に「優」が入っていたなら、もっと優しい子に育っていたかもしれないじゃない。 画数なんてどうでもいい

        23区から島根の中山間地に引っ越して思った①マヨネーズ

          「新卒は甲子園球児、2年目はプロ野球選手」

          取材でそんな言葉を聞いた。 「新卒は入社した途端、ものすごいスピードで仕事を覚え、貪欲に前に突き進む。そんな新卒に気圧され、2年目のメンバーが意気消沈してしまう」 それは悪いことなんかじゃなくて、単に人生のフェーズが違うだけの話だという。 「野球に例えるなら、新卒は甲子園球児、新卒以外は、プロ野球選手だから」 確かにそうだと思った。 新卒を積極的に採用する会社で働いたことがないからソースは3人程度だけれど、新卒の知人はみんな、そういう勢いを持っている。 眩しくて、ある

          「新卒は甲子園球児、2年目はプロ野球選手」

          池袋ロマンス通り、チャラ男語録

          「どんな人がタイプなの?」 そんな問いはナンセンスだと、男は言った。 「タイプの女性」を何を根拠に算出するかによるが、その多くは過去に付き合った女性の最大公約数みたいなところを指している。 ではその「タイプの女性」像になれば、男と付き合えるのだろうか。確かに付き合えるかもしれない。でも、「過去のあの人」に似た「新しい貴女」は、その男の一番になることはないという。 * 数ヶ月前、私は大学の友人であるその男と久しぶりに会った。日曜日のお父さんみたいな格好をして、「大学生の

          池袋ロマンス通り、チャラ男語録