仕事を取らなければいけない立場になって気づいたこと

編集者という、いかにもインドアな仕事に就いているけれど、ときには企画営業っぽいことをさせてもらっている。

お客さんの前に立ってプレゼンをすると、自分の手札の少なさや知見の浅さを思い知る。手応えが掴めないと自信を失い、ネガティブな気持ちが湧き出る。
「私にはそんなことできません」
「知識が浅くてすみません」

はじめて提案の場に立たされた私は、ついそんなことを口走っていた。

いまでさえ、お客さんと話していてもわからないアルファベット3文字がよく出てくるし、聞かれたことにストレートに答えられないことがよくある。

「あ〜あれですね。」なんて応答しながら、これっぽっちもわかっていない。メモをとるふりをして、検索窓に打ち込んでいるなんてことが日常茶飯事。そして私が理解してないということは、半分くらいのお客さんに見透かされている。

そんなハッタリを繰り返しているうちに、どこまではわかったふりをしなければいけなくて、どこからは聞き返してもいいのかの境目があること知った。「そんなことも知らないんじゃ信用がおけない」と思われては困るし、「わからないことを聞き返せない人じゃ信用がおけない」と思われても困る。ちょうどいいハッタリ具合を身につけなければいけないんだと思う。

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上司が放った、「自分の仕事は自分でとってきて」が耳に残っている。

編集者は作るだけでは食べていけないと知ったのは、ベンチャーのWeb制作会社に入ったことがきっかけだった。作ることにしか興味ががなかったかつての私は、「なんで私が仕事を取らなければならないんだ」とぶつくさ文句を言っていた。

いまも、営業チックなことは苦手だし、できることなら免れたいと思っている。でも人に説明する能力をちょっとだけ身につけたら、お給料が上がった。

クリエイターの営業力って大事だよなぁと再認識したのは、ツイッターで流れてきた画像がきっかけだった。

発注者と受注者の間には手数料を中抜きしている人がたくさんいて、受注者は搾取されている、という風刺画のように見えるけど、それは重要なメッセージじゃない。逆手に取れば、発注者から直接仕事を受けることができたら、何十倍ものお給料が得られるということ。

2年前、雑誌の編集部にいた私は、クリエイターが発注者と対等にコミュニケーションできないことに問題意識を持った。転職先にWeb業界を選んだのは、その解決策を得られそうだと思ったから。飛び込んですぐに知ったのは、発注者とコミュニケーションとるには、クリエイティブの理由を説明しなければいけないということ。
それがマーケティングの知識だったり経営的な目線だったりするのだろうけど、なかなかすぐには身につかないものだ。

営業って難しいと心底嘆いていたら、今日、お客さんがこんな言葉を発していた。

「Webなんて調べればだいたいのことはできる」

他人の知識や経験が無料で簡単に手に入る現在において、「やったことがないからできない」という考え方は言い訳でしかないということだ。それに、ものすごいスピードでトレンドが変わっていく。知見がなくてもノウハウが薄くても、「できます」と言ってしまうことは決して嘘じゃない。

できないことをできると言い切ってしまう姿勢は、嘘をついているみたいで好きじゃないと思っていた。誠実であろうとすればするほど、自身が持てないものを他人におすすめできない。私なんかではお役目果たせませんと、尻尾を巻いて逃げ出したくなる。

けれど私自身が、無意識のうちにやっていたことに気づく。わからない言葉を知っているように振る舞ったり、やったことのない制作をできると言い放ち、仕事をもらってきた。

しかも、そういうハッタリを使って得たお客さんの中にも、次の仕事をオーダーしてくれる人がいる。制作の裏側を支えたのが私の知見じゃなくGoogleの知識だったとしても、合格ラインは超えられるのだ。

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嘘じゃない程度のハッタリ力は、営業のスキルのひとつでしかない。相手の話を聞く能力や論理立てて説明する能力も必要だと頭ではわかっている。だけど私にはなかなか身につかない。

私は地頭がそんなによくないから、もしかしたら他の面でカバーするべきなのかもしれないし、やり方によってはクリアできるのかもしれない。仕事を取れる編集者になる必要があるのかないのかもわからない。というか願わくばやりたくない。

けどフリーランスとして、GIGのメンバーとして、仕事を取らなければいけない立場にある以上、免れようがない。
迷いながら、今日もせっせと働くのであった。

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まえかわゆうか / 編集者

プロフィール画像ほど激しくもない25歳です。とんがりコーンは一度指に差してから食べます。
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