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FOOTWORK vol.1連載10『高校生との約束』

7年教えている生徒がいる。彼は、現在高校2年生。
最初は中学受験のために指導していたが、合格して中学になってからは我が家で毎週授業をしている。質問はといえば、学校の科目に関する質問はもちろん、それ以外の質問も多い。
「宇宙の端っこはどこか」「画家はどんな感情で絵に向かうのか」「人間と魚類は似ているんじゃないか」
答えが見つかりそうもないことを僕に尋ねる。僕も答えが分かっているわけではないが、その場のノリで、なんとなくこうじゃないのと思うことを想像でたらたら話す。ただ、質問に対してわからないと答えたことはほとんどない。
そういう大人や同級生がほとんどいないだろう。答えがわからないくせに、浅はかにものを言うのだから、こんな「いい加減」な人はいない。僕にとって彼は友人の一人だったし、おそらく彼にとっても僕は歳の離れた友人の一人だったにちがいない。それを示すように僕は彼に「先生」と呼ばれたことがない。できる限り対等に、対話する気の置けない仲間という位置付けなんだと思う。

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