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まるでレストランを予約するかのようにチケットを予約した


「旅が嫌いになりそう」


そう思って会社を辞めた。

学生時代の終盤、いざ就職活動となり自分のなかではっきり気付いたことは「旅」しかすきなことがないということ。

「なら旅行会社でいいじゃん」という安易な考えでも、なんとか希望の業界に入ることができた。

とても楽しかった。まわりの同期や先輩に、旅好きじゃない人なんてひとりもいない。「旅を売るからには旅をしろ」という方針。自分が知識を得れば得るほど、自分を通して旅を予約してくれる相手に喜んでもらえた。

「好きなことを仕事にできた」

旅行業界以外がすべて同じに見えていた自分にとってそう感じた。

仕事に慣れ始めたころ、知識量も充分、目標もほぼ毎月達成。まいにち旅を売っていればいい日常ができた。

それと同時に、日常の嫌なことは必ず旅と関係することになった。クレームだって、謝らなければいけないときはいつでも「どこかの国に行く人」が相手だった。自然とその人の行先の国が悪いイメージになってしまう。

大好きなGoogleマップをひたすら眺めているときだって、国名があの人の顔とイコールになる。


あぁ、わたしは旅行を「売りたい」のではなく、「行きたい」だけなんだ。

そう思った。


気付いたら、会社を辞めていた。そしてもうすぐその日から1年が経つ。

1年後のわたしは、「あ、安い」と思った直後に海外航空券を予約していた。まるで行きたかったレストランの席を予約するように。

その瞬間、だいすきな「旅に行くこと」を日常にすることができたと感じた。

そう感じて初めて、「あぁ、この道を選んでよかった。あのときの感情は間違いじゃなかった」と気付く。

気付かせてくれてありがとう。

これからもわたしは大好きな「旅に行くこと」をだいすきな人と共に楽しんでいく。

来年はどうなっているだろう。




.。oO(おこづかい