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長年絵が上達しない?!ならリアルタッチで描いてみてはどうか?

今日はリアル絵の勧めです。

「絵が上達しない」と悩む方々の話を聞く中で、ふとみなさんに共通する点があると気がつきました、

それはリアルタッチで描いてる人が1人もいなかった、

ということです…

皆さんアニメ系・萌え系の絵を描かれていました、
目標とする絵も萌え系で、模写など練習の際に参考にする絵も萌え系の絵。
(写真やポーズ集を活用されている方はいましたが、それをリアルタッチで描く方はいませんでした。)

また、みなさんかなりの長期間「上達を感じられなくて辛い」とも仰っていました。長期間というのは、具体的には4年とか5年とかです。8年という方もいらっしゃいました、

4~5年も上達を感じられない…
それは辛くて当然です、

むしろそれでも挫けず描き続けているということが凄いです。それだけの根性があるなら何でも出来ます!

だからそんなみなさんに是非とも試して貰いたいことがあります。

それがずばり

リアルタッチで絵を描いてみよう!

ってことです、


リアルタッチは流行りの絵柄ではありません、

ですが、リアルタッチを練習することで得られる恩恵は膨大です、
むしろ絵の描き方の「基本」が全て学べるといっていいでしょう。
中でもデッサン力は見違える程向上するはずです。
(デッサンって意味がよく分からない言葉ですが、簡単に言うと「リアルに描くこと」だと思います)


という訳で今日は、リアルタッチで描くことを薦める理由・その他メリットデメリットについても話したいと思います。

では、

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リアルタッチが難しいのは情報量が多いから...でも、それが最大のメリット?!

リアルタッチよりもアニメタッチのほうが可愛いし、描きやすいし、好き!、と言う人は多いでしょう、

一方、

リアルタッチは、なんだか気持ち悪いし、ごちゃごちゃしてるし、難しそう(嫌い)…

そんな風に思われているでしょうか



リアルタッチで描くことが難しいと感じる理由は「描かなきゃいけないものが多いから」だと思います。

言い換えると、目に見える情報が凄く多いのですね、

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↑ごちゃごちゃ~~~な情報群…

形(シルエット)、
色、
陰影、
反射光、
質感、
etc…


そしてそれぞれが密接に絡み合っていたり溶け合って見えるので、パッと見それを分解・整理できず何から描きはじめたらよいかすら分からなかったりします、

それほど膨大な情報量です

ですが…

これは逆に言うと学べることが多い、ということではないでしょうか?

情報が膨大・豊富=知るべきこと・学ぶべき事が沢山ある


これがリアルタッチで描くことの最大のメリットです。
そこには、絵を魅力的に見せる為の知識やテクニックがてんこ盛りに詰まっています。


アニメ系・萌え系の絵は描きやすいけど学べることが少ない、?!

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アニメ系・萌え系の絵は見ての通りデフォルメされています、
つまり本来あったはずの豊富な情報が何らかの都合で削ぎ落とされてしまっているということ、

漫画なんかは特に、モノクロで主に線だけで描いてあります。
形はよりシンプルに簡略化され、陰影なども省略されていたりデタラメだったりする事が殆どです。
程度の差こそあれリアルに比べて半分以上の情報が削られていたり改変されています

だから萌え絵は描くためのポイントが整理しやすく、比較的簡単に描けそうだと感じます。

ですが、それは悪く言えば学べることが少ない・正しくないということ。

本来学べるはずだった情報(知識)がゴッソリと削られ、偽りの姿(間違った情報)となってしまっているのですから…


長年絵が上達しない…

その原因の多くはここにあるのではないか、と僕は思っています。

「学べることが少ない&内容が正しくない環境」でいくら勉強しても上達が頭打ちになってしまうのも仕方がない事ではないでしょうか?

そろそろ卒業の時

長年上達出来ずにいると、
「やっぱり自分には才能がないのでは……?才能がないから上手くならないのでは?」という不安に負けてしまいそうになるでしょう…

ですが、そうではなくて
今の環境にはもう学べることが無くなってしまっただけなのかも知れません、


さらに上を目指すならもっと多くのことを学ばなければならない、

それだけのことだと思います
新たな学びがあれば絵も変わるはずです

だから、そろそろ「都合よく体裁を改変された萌え絵」を卒業して「豊富で正しい情報が得られる環境」にステップアップする時が来たんじゃないでしょうか


その学びの場が「リアルタッチで描くこと」だと僕は考えます。


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その他のメリット

私は萌え絵が描きたいし、萌え絵が好き!

....だけど

リアルタッチもちょっと勉強してみようかな....?
と少しやる気になってもらえたでしょうか?

そんな方のために、ほかにもリアルタッチで描くことのメリットを紹介します。(長文です)

デフォルメは実は高等技術

さっきデフォルメされた絵は簡単だと言いましたが、
確かにデフォルメされた絵を参考にそれと似たような絵を描くのは簡単です、

ですが、現実の風景や写真などを元にデフォルメされた絵を新たに描き起こすのは凄く難しいことです。
理由は後で話しますが、これは上級者にしか出来ないことだと思います。

リアルタッチはデフォルメせずにそのまま描けばいいから実は簡単

また、さっきリアルタッチは情報量が多いので難しいと言いましたが、描くものによってはリアルに描く方が簡単な事があります。なぜなら高等技術であるデフォルメをしなくていいからです、
見える情報をとりあえず全部描いちゃえばリアルタッチになりますので。

例えば、水とか金属とかを描く場合がそうじゃないかと思います。

水とか金属はデフォルメさせるのが凄く難しいです。

・水の透明感、映り込み
・金属の重厚感、光を強く反射する様子……鏡面への映り込み


こういった質感・特徴を損なうことなく出来るだけ描き込みを少なくする、(=デフォルメ)

これ……難しいです、

どの情報は描くべきで、どの情報は描かなくてもいいのか?

それを的確に判断するのは中級者でも難しいです。
情報の取捨選択を一歩間違えたら質感や特徴はすぐに失われてしまいます。
基本(リアル)のモノの見え方をしっかり勉強し、その情報の取捨選択の基準を日々の鍛錬の中で会得した上級者にしか出来ないことだと思います。

だからデフォルメ(情報の取捨選択)しなきゃいけないアニメ系の絵よりも、逆に目に見える特徴(情報)を全部描いちゃえばいいリアルタッチの方が意外と簡単な場合が多いんです。


キャラの顔のデフォルメだけはみんな出来る

たぶん初心者でも真似できるくらいデフォルメの方法が確立・普及されてるのはキャラクターの顔くらいかな、と思います。幾つかのテンプレがあると言ってもいいくらいに…

顔は比較的得意だという人が多いのはそのせいもあると思います、

ですが、同じ容量で顔以外もデフォルメして描こうとしても上手くいかなかったり、なんか薄っぺらいような安っぽい様な変な感じになってしまいませんか?

これはデフォルメが失敗しているのですね。
つまり省いてはいけない情報を省いてしまっているのです(情報の取捨選択を失敗している)

例えば、前述の金属や水の他に衣服の皺などもデフォルメするのは難しいです。

皺の正体は布の凹凸です。

それを無闇にデフォルメして線で描こうとしてもかえって難しいです、凹凸は陰影で描いてあげた方が上手くいきます。(←リアルタッチ)


そう考えてみると殆どのものがリアルタッチで描いてあげた方が手っ取り早く高クオリティの絵に仕上げることが出来る気がします。


リアルに描いていると描くべきポイント・コツがわかってくる

そして、もう一つの大きなメリット

実際にリアルタッチで描くようになると段々と分かってくることがあります。

例えば鎧や武器などの金属を描く場合なら、金属らしさに欠かせない特徴(情報)って何なのか?ってことが。

情報の取捨選択の基準が分かってくる

この情報さえちゃんと描いてやれば金属っぽく見せる事ができるってゆうポイントやコツのようなものが分かるようになってきます。これが分かってくれば高等技術であるデフォルメも出来るようになります。
描くべき情報を的確に選び、また捨てることが出来るようになるのですから。

これが本物の絵の描き方

そして、これがいわゆる「絵の描き方」ってヤツなんです。
どう描けばそれらしく見せることが出来るか?
それを自分で見つけて使えるようになることが「絵の描き方」を学ぶと言うことです。

描き方は人に教わるものじゃない

余計なことを言うようですが、絵の描き方というのは人に教わるよりもこうやって自分で気付くべきものなんです。
なぜなら、こうやって実際に描いていく中で得られた気付きや発見しか実戦で使いこなすことが出来ないからです。

(実戦というのは、オリジナルの絵を描く時のことです)

人に教わっても、わかったような気がするだけでイマイチ理解できなくないですか?
絵の教本を読んでても「へぇ…そうなんだ」となんとなくしか分からないですよね?

つまり、人に教わることはあくまで「そんなやり方もあるのか、ちょっと試してみよう」というきっかけにしかなりません。教わっただけではそれを自分の技術として使いこなすことは出来ないです。

実際に描いてみて、自分が描きたいものを上手く表現できたか?出来なかったか?
大切なのはそこです。

憧れの絵師様がどれだけオススメの方法として紹介していたとしても、自分の理想の表現が出来なかった方法は使い物になりません、上手く表現できた方法だけが「自分の描き方」として使えるようになるんです。

そしてそれを沢山見つけていくこと、それが「絵が上手くなる」ということです。


絵の描き方は自分の手で掴み取ろう

だから「絵が上手くなる方法」なんてネットで検索しても絶対に見つかりません、

上手い人に「絵が上手くなる方法」を教えて下さい!と尋ねても答えは得られません。

今説明したように、それは実戦(実践)の中で試行錯誤することでしか見つけることができないからです。

リアルタッチで描いてると自分で気付けるようになる→資料さえあれば絵の勉強ができるようになる

要は、リアルタッチで描いていると人に教わらなくても自力でそういった気づきや発見が得られるようになるということです。

描くべき情報が多いので、それをよく観察して描けば描くほどモチーフをモチーフらしく見せるためのポイント・コツが知識として頭に入ってきます。

アニメタッチを参考に勉強していても、その気づきが得られる前に描き終わってしまうんです。なぜなら描く量(情報量)が少ないので大して試行錯誤することなく描けてしまうからです。

資料さえあれば絵の勉強が出来る→独学でも上達できる

そう考えると、現実の風景や写真などリアルな情報が得られる資料さえあれば「描き方」を学べるようになります。

なので、自分独りでも絵の描き方が勉強できるようになります。

もう人に絵の描き方を教わる必要はありません、

目に見えるモノ・風景から全てを学べるようになります。

資料が何よりも優秀な教材であり、絵の先生になります。資料は嘘をつきません、いつもただそこにあって僕達に正しい情報を提供し続けてくれています。


現実に存在しないものを描く時は?

ではドラゴンなど実在しないものを描きたい場合はどうしたらいいでしょうか、

リアルな情報といっても、実在するものでなければいけない訳ではないです。
超リアルに描かれたイラストがその代わりを務めてくれます。
(一流絵師の作品はもはやリアルを超えていますので)

資料の探し方は?

現代は情報過多の時代。
資料がない、見つからないなんてことは有り得ないので心配いりません、
探せば必ず見つかります。(僕も見つかるまで時間がかかることはありますが、見つからなかったことはありません)

リアル系の資料探しにオススメの場所は

・Pinterestか、
・Art Station
がいいと思います。


ピンタレストは芋ずる式に「写真が出てくるわ出てくるわ」で尽きることがありません。観ているだけでも楽しいです。

自分の話

僕が独学でもずっと上達し続けてこれたのは、絵を描き始めてから早い段階でリアルタッチで描くようになったからだと思います。たぶん中学生のころにはリアルタッチを目指して描くようになっていました、

特に「やさしい人物画」を教材に使うようになって急激に変わりました。
たぶんリアルな人体構造を学んだことで絵の描き方の基本のようなものが身についたんだと思います。


アニメタッチじゃ駄目なのか?

話の流れ的に「アニメタッチを否定しているのか?アニメタッチで練習していてもホントに上達しないのか?」と思うかもしれません、

(どうしてもリアルタッチを生理的に受けいれられない・嫌いという方は特にそうでしょう…)


もちろんそれでも上手くなれる人はいると思います。
ですが、この記事はそのやり方で長年やってきたけど上達できなかった方に向けたモノです。

前述の通り、アニメタッチはデフォルメされています。
描き手の主観によって改変されています。
極端に言うと間違っているということ。

間違った情報から上手く描く方法を見出すのは難しいです。
それよりもまずは基本(豊富で正しい情報)からしっかり学んだ後で、それを自分にとって都合がいいように改変できるようになることの方が得策です。(=真のデフォルメ)

それに基本が身についているので、それを臨機応変に応用することも出来るようになります。
つまり描く絵柄を操作(コントロール)できるようになるってこと、

萌え絵でもリアル絵でもその中間でも、自分の「こう描きたい」という主観に合わせて描いてやればよいのです。

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そうする内に、ゆくゆくは自分にしか描けない絵柄が出来てくるでしょう
これはまさしくオリジナリティ・独創性というヤツですね。(←トップレベルの画力)


まとめ


長くなりました。
おさらいです。

リアルタッチのメリットは、

情報量が多く、学べることが多い
練習する中で情報の取捨選択のコツが分かるようになる=描くためのポイントがわかるようになる。←これが本物の「絵の描き方」、


人に教わらなくても、資料さえあれば絵の描き方が学べるようになる→独学でやっていけるようになる
目に見えるものが何よりも優秀な教材であり先生になる
 

絵柄を自分の趣向に合わせて操作(コントロール)できるようになる。=応用力がつく
→ゆくゆくはオリジナリティのある自分だけしか描けない絵も描けるようになる

デメリットは?

・描く量が多いので時間と手間がかかる
・慣れないうちは、夢のない地味な絵になりやすい………


…ということがあると思います。
2つ目は克服するのに苦戦する部分だと思いますが、慣れてくればそれを補って余りあるほどの恩恵があるのでやる価値は十分にあります。


という訳で、長年上達を実感出来ず悶々としておられる方は、一度リアルタッチで描くことを検討してみて下さい、
きっと道が拓けますよ。

ではまた

サポート頂けますと本当に励みになります!頂いたサポートは全て画力の向上に充てさせて頂きます。そしてその方法を記事にまとめて皆様にお返し出来るよう頑張ります。