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だからJFAは森保さんを首にできないんだと思う

はい。久々にサッカーのことでも書こうかと思います。
アジアカップ準々決勝にてイランと対戦し押し込まれて敗退。結果としてアジアカップを取り逃がす結果となってしまった。

個の力は歴代トップクラスにありながらも、イランに敗れ去る結果となった日本代表。現在ネット上などでは「森保監督を解任すべき」という声が聴かれているが、おそらくJFAの中では彼を解任するという選択を取ることはないでしょう。

それはなぜなのか?


解任基準を見ていこう

Jリーグができて以降、日本代表監督を解任された監督は4名。実例を見ていきましょう。

ファルカン

アジア大会で韓国代表に敗戦後解任。

オフト氏からバトンを引き継いだパウロ・ロベルト・ファルカン氏はまず、ドーハの悲劇によってワールドカップ出場目前まで来た日本代表のレベル底上げのため、若い選手を積極的に登用します。実際にファルカン氏も大きな手ごたえを得ていたようで

「聡明に守りながらも常に攻める準備ができており、いざボールを得ればスピードと創造性をもって相手ゴールに向かう」

https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/football/jfootball/2022/06/01/post_59/?page=3

というチーム作りに着手していました。しかし、あまりにドラスティックなまでの変更に選手たちは戸惑い1994年に行われたアジア大会で準々決勝に韓国代表に敗戦したことを機に解任でした。

加茂周

ワールドカップ予選突破が危ぶまれ解任

そのファルカンからバトンを受け継いだのが日産自動車・全日空(のちに横浜フリューゲルス)の監督をしていた加茂周氏。
「コミュニケーション不足」を鑑みて日本で最も実績のある監督を就任させました。

当時世界で主流だったとされるゾーンプレスの導入、若いチームに徐々に移行させていくなど実績を出していましたが当初11ヶ月の契約期間の中で後任にネルシーニョ氏が浮上。一時は決定的となるもJFA幹部会の判断により土壇場で続投が決定。

しかし、1996年のアジアカップにてクウェートに0-2、バンコクでタイに1-3と敗れるなど足元をすくわれるケースも多々目立ち、最終予選でも初戦はカザフスタンに6-3で勝利こそすれど、2戦目のUAE戦は0-0で引き分け、3戦目の韓国戦では山口素弘さんのループシュートで先制されるも1-2と逆転負け。

そして4戦目のアウェイとなったカザフスタン戦で終了間際に失点し1-1で引き分け。これを受け、現地アルマトイで解任が決まり、後任にはヘッドコーチだった岡田武史氏が昇格。

その後岡田氏がワールドカップ出場を決めた時には「岡ちゃんが…岡ちゃんがやってくれたで」と号泣したのだとか。

アギーレ

八百長疑惑およびアジアカップで敗退後解任

ブラジルワールドカップで結果を残すことができなかった日本代表の中で新たにワールドカップを指揮した経験を持つアギーレ氏を招聘したのが2014年。

しかし、2011年5月に指揮していたサラゴサのリーガ残留をかけた試合での八百長疑惑が告発。
2月に事情聴取が迫る中行われたアジアカップではグループステージを無失点で3連勝し首位通過するも、決勝トーナメントでは準々決勝UAE戦でPK戦の末に敗れ、ベスト8で敗退。

結局八百長に関与した疑いにより、2015年2月3日、日本サッカー協会からサッカー日本代表監督としての契約解除が発表されることとなった。解任後も監督業を続けている。

なお、日本への印象が決して悪いわけではなく「明日にでも戻りたい」と言っているとか。

解任の基準を見ていくと、ある程度明確ですよね。

  • 重要な試合や大会で結果を残せなかった

  • コミュニケーションの不足

  • スキャンダル

この3点が解任基準として挙げられます。

ですが、4人目の監督解任は今でも影を落としているような気がしてなりません。

ハリルホジッチの解任事由

大会直前に選手とのコミュニケーション不足を受け解任

そのアギーレ氏の解任を受けてアルジェリア代表などの監督を歴任した経験を持つハリルホジッチ氏を招聘。

問題ある発言などがクローズアップされたりすることはあれど、アジアの強豪でもあったオーストラリア戦では完全に相手のストロングポイントを封じて勝利に導くなど「戦術家」としての一面を見せることがありました。一方で規律を求める厳しい一面はありましたが。

しかし、ワールドカップ直前「コミュニケーション不足」というのを理由として解任、強化指定部長だった西野朗氏が指揮を執ることに。結果としてベスト16までワールドカップは勝ち上がりますが……。

本田圭佑や香川真司、長谷部誠といった当時の中心選手たちの反発があれば代表監督は解任につながり、中心選手たちのご機嫌を取らなければ代表監督を追われるという「ありがたくないリスク」にも直面することに。

ハリル氏が会見で吐き捨てた「すべてが金とビジネスによってひっくり返っ
てしまった」というのは偽らざる本音だったのでしょう。

また、これが心証を悪くしており海外の代表経験者を含めた監督は日本代表の監督にはなりたくないというのが本音ではないでしょうか。正直自分もここの時点で日本代表から冷めてカタールではドイツとスペインを応援してました。

どちらも負けたので最悪でしたけど(笑)

話を元に戻しましょう。ハリルの解任が大きなポイントとなって、解任の基準がどこにあるのかがぐちゃぐちゃになってしまいました。何せ「選手たちの自主性を重んじなければ首になる」のですから。

厳しい規律を求めたハリルとは相性が最初から悪かったのでしょう(まあだからこそ、本田も香川も途中からそれほど活躍できなくなったのかもしれませんが)。

だからJFAは森保さんを首にできない

森保さんはピッチの選手たちにゆだねる。そういったことをさせるようにせざるを得ないのです。もともとサンフレッチェ広島の時も選手と対話し、その中で自主的な動きを促すと同時に個々の力にも最終的に依存するサッカーという印象でした。

ミシャ・ペトロヴィッチが見せていた攻撃的なサッカーとは打って変わって同じフォーメーションでも手堅いサッカーで優勝を果たし、黄金期だったサンフレッチェである意味で選手たちのモチベーションを維持することだけに腐心していれば良かったのかもしれません。

彼の人柄はとてもいいですし、森保さんのことを否定する気は毛頭ないですが、あえて言うならちょっと無策だったのでしょう。いろいろ試していたのかもしれませんが。
そんな「彼を続投させる以外JFAは選択できない」んです。次の会長が宮本さんですが、果たして彼に政治力があるかも甚だ疑問ですし、何より「JFAにとっても選手にとってもある意味で都合がいい人」なのでね。

森保さんがワールドカップでベスト16まで導いたのは素晴らしい実績です。

そこには戦術家としても定評のある横内昭展さんが森保さんを支えていたというのも事実です。私も別に森保さんを続投させるという点については異論はありません。
JFAがまだ森保さんの神輿を担いでいたのであれば。
ワールドカップに向けて横内さんのような優れた右腕を登用することも必要になってくるのでは?と個人的には思っています。

そんなところでしょうか。そういうわけですので、解任できないよねという個人的考えでした。それでは。

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